血盟団事件 の商品レビュー
重要な本。 国家主義と日蓮宗が一体化し、当時の世相(不況、貧困)と相俟って、国家改造の思想へ。 革命という運動へ。切羽詰まって(?)、政党政治、資本家を対象に一人一殺を目指す血盟団に。 海軍も連携していたが、血盟団事件では関係が判明せず、5.15事件の首謀者に。 狙い通り...
重要な本。 国家主義と日蓮宗が一体化し、当時の世相(不況、貧困)と相俟って、国家改造の思想へ。 革命という運動へ。切羽詰まって(?)、政党政治、資本家を対象に一人一殺を目指す血盟団に。 海軍も連携していたが、血盟団事件では関係が判明せず、5.15事件の首謀者に。 狙い通りに、政党政治は転覆したが、軍事政権を招く結果に。 ☆革命後の日本の姿を描けない、描く必要がないとしたことが要因のひとつか。
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強烈なカリスマ性を持つ日蓮宗僧侶井上日召が中心となって作られた血盟団による要人暗殺テロ、その残党による五一五事件、そして二二六事件から始まった日本国の崩壊。つまりこの血盟団こそが日本敗戦への導火線となる存在であったのではないか。 そしてそのメンバーの殆どが高学歴、そして宗教集団。...
強烈なカリスマ性を持つ日蓮宗僧侶井上日召が中心となって作られた血盟団による要人暗殺テロ、その残党による五一五事件、そして二二六事件から始まった日本国の崩壊。つまりこの血盟団こそが日本敗戦への導火線となる存在であったのではないか。 そしてそのメンバーの殆どが高学歴、そして宗教集団。そうオウムを彷彿させるのだ。どの時代でも出てくる悩める高学歴バカ。ただ当時の貧困から来る革命への思想は否定出来ないんだが、テロはあかんやろ、な、共産党。 よくぞここまで調べ上げた破壊力のある内容に感服。読み応え有り! が、中島せんせ、あとがきで1920年代のきな臭いと言われる空気を今の政府批判に持って行こうとするのは頂けない。日本ちゃうで、世界中がきな臭さすぎるんやで。
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著者は血盟団事件をこうくくっている。「煩悶からの解放と理想社会の誕生を夢見て決行された宗教的供犠だった」と。しかし理由はどうあれ、世の中を変えるための手段として「テロ」に肯定される余地が存在すべきか?格差による国民の窮乏。私腹を肥やす既得権階級への憎悪。レベルは違えども、我々も同...
著者は血盟団事件をこうくくっている。「煩悶からの解放と理想社会の誕生を夢見て決行された宗教的供犠だった」と。しかし理由はどうあれ、世の中を変えるための手段として「テロ」に肯定される余地が存在すべきか?格差による国民の窮乏。私腹を肥やす既得権階級への憎悪。レベルは違えども、我々も同じような問題に直面している今だからこそ、この事件を正面から考えるべきである。
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こんな名称のついた事件があったことさえ知らなかった!そういう意味でもとても興味深い内容なんだけれど、なんとも読み辛く感じたのは宗教論というか精神論というか、そういったものにはどうにも腰が引けてしまうのと、引用文が多いせいもあるのかも。
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【若者たちが凶行に走った理由】昭和の歴史に残る連続テロ事件を起こした宗教家・井上日召。彼はいかにして悩める若者たちを束ね「血盟団」を生み出したのか。
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日蓮主義者・井上日召に感化された茨城・大洗の若者たちが引き起こした連続テロ、血盟団事件を紐解く。この事件が同年の5.15事件、1936年の2.26事件へとつながり、国民の不満が対外膨張主義へと回収され、日本は戦争への道を歩み出す。 茨城の若者たちがなぜこの凶行に至ったのかに迫る...
日蓮主義者・井上日召に感化された茨城・大洗の若者たちが引き起こした連続テロ、血盟団事件を紐解く。この事件が同年の5.15事件、1936年の2.26事件へとつながり、国民の不満が対外膨張主義へと回収され、日本は戦争への道を歩み出す。 茨城の若者たちがなぜこの凶行に至ったのかに迫る。
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面白い面白くないとかそういうもんじゃないわけで。 全然血盟団事件なんて知らなかった。 いいこととか悪いことかじゃなくて、20歳にも満たないような子たちがこれだけ、国家とか天皇とか農民とか、日本のことを真剣に考えていたこと。 私って何にも考えてないなぁ・・・
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教科書のなかでは、背景も結果も語られずただ名前のインパクトだけあった事件。それが、昭和の不安の時代の流れのなかで、多くの青年の苦悩と、暗躍する軍部に結びついたものだったとは。これだから、歴史は面白い。 この事件にはオウム真理教事件との類似を感じた。社会の救いきれない孤独の受け皿に...
教科書のなかでは、背景も結果も語られずただ名前のインパクトだけあった事件。それが、昭和の不安の時代の流れのなかで、多くの青年の苦悩と、暗躍する軍部に結びついたものだったとは。これだから、歴史は面白い。 この事件にはオウム真理教事件との類似を感じた。社会の救いきれない孤独の受け皿に独善的な宗教がなるというのは問題だ。また、彼らがもう少し想像力をもっていたら、その手法の限界に気付いたろうに。
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凄い読書体験でした。ヤバイ。血盟団のひとりひとりの感情にシンクロしそうになります。瞬間、瞬間に対する登場人物の反応がシンプルな短い文章で積み上げられて行きます。事後からの分析的視点や批評的論点は全く感じないので、まるでその場にいるようです。(同じ大作でも松本清張「昭和史発掘」と全...
凄い読書体験でした。ヤバイ。血盟団のひとりひとりの感情にシンクロしそうになります。瞬間、瞬間に対する登場人物の反応がシンプルな短い文章で積み上げられて行きます。事後からの分析的視点や批評的論点は全く感じないので、まるでその場にいるようです。(同じ大作でも松本清張「昭和史発掘」と全く逆のアプローチだと思いました。)「テロ」という行為をおぞましい特異点として思考停止的に取り扱いがちな日常に冷や水を浴びせかけられます。自己犠牲という点での宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」との共通点の指摘が本章を離れ、最後の最後、あとがきで成されますが、そこに本書の魔力があるのだと思いました。捨石を志す、彼らの行為は5.15事件、2.26事件、政党政治の崩壊、軍部の独走、敗戦、そして現在の社会に繋がる、と思う時、気持ちが掻き乱されます。純粋さへの渇望のなんと甘く危険なことか。
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不況のなか極貧にあえぐ農村、富める者と奪われる者との格差がますます明確となりつつある都市の住人、哲学的な煩悶を抱える学生。 さまざまな生い立ち、さまざまな思想を持つ人物たちが、時代の閉塞感のなか、あるいは極右結社に惹かれ、あるいは左翼運動に共感をしながら、最終的に「一人一殺」の...
不況のなか極貧にあえぐ農村、富める者と奪われる者との格差がますます明確となりつつある都市の住人、哲学的な煩悶を抱える学生。 さまざまな生い立ち、さまざまな思想を持つ人物たちが、時代の閉塞感のなか、あるいは極右結社に惹かれ、あるいは左翼運動に共感をしながら、最終的に「一人一殺」のテロリズムに収斂していく過程をまとめた本。 五・一五事件の前段となる血盟団事件において、主要人物たちが抱いていた日蓮主義や革命思想は稚拙短絡で教条主義にすら満たないものではあるが、それが当時を生きる青年たちに提示された「可能態の世界」(私たちは何になれるか? 何ができるか? 何をすべきか?──という可能性/不可能性のイメージ)のひとつの反映物であると考えることが必要と思われる。 それにしても、もう少し分析的な記述が欲しかった……。
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