あの日、僕は旅に出た の商品レビュー
ブログに掲載しました。 http://boketen.seesaa.net/ 約30年にわたってインド・東南アジアを中心に世界中を旅してきたバックパッカーの半自伝。
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350ページ超あるけれど、ものの3~4時間で読めた。後半、出版社経営の苦しさばかりが目に付くけれど、そこには自分のやりたいことをやり、多くの読者に支えられたという実感、充実感もにじむ 。 純粋に旅行記を読みたい方は蔵前さんの他の著作を読むことをオススメするけれど、これは純粋に「...
350ページ超あるけれど、ものの3~4時間で読めた。後半、出版社経営の苦しさばかりが目に付くけれど、そこには自分のやりたいことをやり、多くの読者に支えられたという実感、充実感もにじむ 。 純粋に旅行記を読みたい方は蔵前さんの他の著作を読むことをオススメするけれど、これは純粋に「旅行人」というニッチメディアの歴史であって、おもしろいと思う人には本当におもしろい。 個人がメディアになる時代、といわれて久しいけれど、本当に読者に支持されるものになるにはやっぱり作り手の愛がないといけない。同時に、長く続けるためにはいい意味での「ゆるさ」と、そこにコミットしてくれる有志の存在が欠かせないんだなぁ、と。 あんまり商売っ気がなくて(もちろんある程度売れる公算がないと話にならないけど)、「ああ、この人ほんとに好きなんだなぁ」と思わせるものにはきちんと人がついてくる。そういう意味で、「旅行人」のコミュニティはすごく幸せに見えた。
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あの日、僕は旅に出た この書名をじっと見る。そしてその言葉から広がる奥行き。 「旅行人」の読者であった自分には、思い入れがありすぎて胸があつくなるような内容が詰まった本でした。 自身の旅の話、日本での仕事の話、偶然の出会いから動き出す事柄、などなど興味深いこと目白押しです。 出...
あの日、僕は旅に出た この書名をじっと見る。そしてその言葉から広がる奥行き。 「旅行人」の読者であった自分には、思い入れがありすぎて胸があつくなるような内容が詰まった本でした。 自身の旅の話、日本での仕事の話、偶然の出会いから動き出す事柄、などなど興味深いこと目白押しです。 出版社設立の経緯などドラマのよう…。 読み終えて、感慨深いなどというありきたりの言葉では表せない気持ちでいっぱいです。 他にはない旅の雑誌「旅行人」をつくってきた蔵前さん。 はじめは「遊星通信」というミニコミ紙でした。創刊にあたり二つの雑誌をモデルにしたそうです。 そのひとつが「本の雑誌」。 多くのミニコミモデルで憧れであった本の雑誌の、本が好きで好きでしょうがないという姿勢に惹かれたという蔵前さん。 >本が好きでさえあれば誰でも好き勝手にモノがいえるという雰囲気に満ちていた。執筆者も読者も、いろんなことをリラックスしてかたりあっているというそのスタイルが僕は好きだった。タテマエではなく本音で、金ではなく企画で勝負するという姿勢も素晴らしかった。 たくさんの蔵前さんの旅は面白いです。 エピソードはもちろんのこと、旅をして考え学び取る力があったのだと、その聡明さに感心します。 >初めてインドへ行ったところから始まった僕のおよそ三〇年を、そろそろ終わりにしようと思う。僕は、わが人生の来し方を振り返って、なにかえらそうな格言のようなものを書ける人間ではない。ただ、たまたま僕はこういう三〇年を過ごしてきただけである。 >どういうスタイルで旅をするにしても、日本ではあまり紹介されてはいないが、こういう国や地域には、こんな風景もある、あんな生活もある、こういう人々が住んでいるので実におもしろいぞ!と紹介する雑誌をつくりたかった。 そして、「旅行人」休刊へ。 この30年あまりを振り返り、世界の大きな変化に思いをめぐらせ、自分の人生を振り返られての心境が素直に綴られているのにじーんとしました。 >自分もまた変わる。旅に出る前の自分と、旅のあとの自分は同じではない。そして、世界も常に変わり続けている。自分が旅立つ前の日本と、旅から帰ってきたときの日本は、すでに異なっている。だから、旅人は二度と同じ場所へ帰ることはできない。それはまるで長い宇宙旅行から帰ってきた宇宙飛行士と同じであり、浦島太郎のようなものだ。それが旅の不思議な作用だと思う。 日本での出版社での仕事、貴重な取材と制作の苦労により形になった、価値のあるガイドブック。 おもしろいものを世に出したいと忙しく働いた成果に、尊敬の念さえ抱きます。 インドへ旅立ってからの30年が綴られているのを読みながら、自分自身の30年にも思いは及んでいく。 通り過ぎてきた場所や、若かりし頃の自分を思う。 旅先の時空と相まって、大きな流れに身を任せていることを意識できた奥行きのある本です。 今の蔵前さんの心境が、さっぱりしていて身軽にかんじます。 自分もなんとなくですが、こうやって日々生きているなぁとあらたまった気持ちになり、清々しくなりました。 大河の流れを進み行くような蔵前さんと同じ時代を生きているのがうれしいです。
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雑誌「旅行人」前史から休刊まで。椎名誠「哀愁の町に霧が降るのだ」「新橋烏森口青春篇」「銀座のカラス」「本の雑誌血風録」を思い出させる・・・っていうか、テイストはちょっと違うけど、蔵前仁一の自伝的旅本。 長く旅しているとよく言われる質問 「それがいったいなんの役に立つのだ?...
雑誌「旅行人」前史から休刊まで。椎名誠「哀愁の町に霧が降るのだ」「新橋烏森口青春篇」「銀座のカラス」「本の雑誌血風録」を思い出させる・・・っていうか、テイストはちょっと違うけど、蔵前仁一の自伝的旅本。 長く旅しているとよく言われる質問 「それがいったいなんの役に立つのだ?」に対して、著者はこういう。「ネパールがインドの北にあることを知っていることがなにかの役に立つとか、アフリカでクーデターが起きていることを知っていることが世渡りのためになるわけではない。しかし、世界を知ることができる。世界をリアルに感じることができる。それだけで十分なのだ。何かの役に立つから旅行しているわけではない。何度そういっても、なかなかわかってもらえなかった。」 そうなんだよなーと、激しく共感する。 しかし、帯に「バックパッカーの教祖」とあったが、彼はそうだったのか? 長い間「旅行人」を定期購読し、著書もほぼ全部読んでいると思うけど、そんなこと思ったことなかった―。本当にそうなのか?
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