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いねむり先生 の商品レビュー

3.9

33件のお客様レビュー

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2016/05/01

80年代の色川武大と著者との交流を軸に書く自伝的小説。人付き合いにおいてとことんまで無防備な色川の姿が強烈。エピソードはほぼ事実だと思うけれど「書いてない」ことはあると思う。

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2016/03/17

とても楽しい(苦しい)時間の記録。 最後はそうだろうねえ。 陳健民さんが歩いてきてもそう思うでしょう。

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2016/02/23

友人が良かったよ、と貸してくれました。 伊集院静氏の本は一冊だけ、読んだことがあり優しい文章を書く人だなぁと思った記憶があります。この本も寂しいけれどもなんだか優しい本だと思いました。とは言えこの先生のことをよく知っている世代の方が面白く読めるんだろうな、とは思いました(11PM...

友人が良かったよ、と貸してくれました。 伊集院静氏の本は一冊だけ、読んだことがあり優しい文章を書く人だなぁと思った記憶があります。この本も寂しいけれどもなんだか優しい本だと思いました。とは言えこの先生のことをよく知っている世代の方が面白く読めるんだろうな、とは思いました(11PMとか、番組名しか知らないし)。 主人公のサブローさんはけして悪い人ではないんだろうけど近くにいる肉親は大変そう。友人だったらまだ遠慮があるからなんとかなりそうですが近親者だったら大変だったろうなぁ…。そりゃあ新婚の妻を病気で亡くした無念や悲しみは想像出来ないものがあると思うけど前妻との間に子供が居る、というセリフがあってちょっとびっくりしました。そうか、突然の妻の死は乗り越えられないけど前妻と子供は既に自分の人生から切り捨ててるんだろうな、みたいな。 まあそういう選択をして行かなければヒトは前に進めないんでしょうがそれでも自分で決めて、選択できるのだから幸せな人なんだろうな、となんとなく思いました。 悲しみも苦しみも嘘じゃないんだろうけどそれはきっと個人的なものであって、誰かと分かち合ったり、慰め合ったりすることは出来ないんだろうな、とも。反対にそう言う生き方を選べる人が作家になれるのかな、とか。とにかく一言でいうとセンセイという人物に惚れこんだ、ということなんだろうなぁ…  一冊まるまる先生への感謝状、もしくはファンレターのような小説だと思いました。

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2016/01/29
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似た者同士なのか、否か。わからない。 でも、ボクの中に何かを見出していたのは確か。 結婚してすぐに病気で妻を亡くしたボク。酒と博打におぼれ見守るしかない人たち。その時には気が付けない、本当は優しい人たち。 その中で、引き合わせてもらった「先生」。 偉い先生であるはずの先生は、偉ぶることなくボクに接してくれる。旅打ちをすることで救われていく。 幻覚から救う場面は、お互い同じ悩みを持つものだけしかわからない話かと。どちらが偉いなんて、関係ないもの。

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2015/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 伊集院静の自伝的小説。  妻(夏目雅子)が壮絶な闘病の末亡くなり、その後アルコールやギャンブルに溺れ、心身ともに病み、2年も働かずに放浪している主人公サブロー。彼を心配したKさん(黒鉄ヒロシ)に「会って欲しい人がいる」と言われ、酒場で眠りこけている『先生(阿佐田哲也・色川武大)』に出会う。  ナルコレプシー(すぐ眠ってしまう病気)でどこでも突発的に寝こけてしまう先生。だらしなくて、大食漢で、ギャンブルに目がなくて。それでいて驚くべき記憶力を持ち、人に麻雀をさせている横で原稿を仕上げる。自分のことは大事にしないくせに、弱い人間にはどこかやさしい。先生の周囲にはどこからかそんな人間が寄ってきて、自分のそばに少しでも長くいて欲しいと願う。その現実離れした憎めない存在は、サリンジャーの「フラニーとゾーイー」での太っちょのオバサマのような、どこか神がかった愛すべき存在なのである。  主人公サブローと先生は、恐らくドラッグのフラッシュバックも関与しているであろう「発作(幻覚・幻聴)」に悩まされている。先生との「旅打ち(ギャンブル旅行)」で精神の安定を保っていたかのようなサブローも、たびさきでの映画館のポスターで妻の笑顔を見てから、その均衡が崩れる。  世間ではそれこそ神格化している、彼女の早過ぎる死。私も父親を亡くしてわかったことだが、愛する存在が消えたとき、その悲しみは何度でも唐突に甦り、何も手につかなくなってしまう。その時期をやり過ごすため静かに喪に服し、亡くなったことから目を背けようとしても、彼(伊集院静)はマスコミや興味本位のデバガメにに追い回され、何度もその現実を眼前に突き付けられたことだろう。  はじめは先生の面倒をみている主人公は、いつしか先生に心配される存在になっている。同じ作家として、小説を書かなくなった彼を憂い、どうして書かないのかと気にかけてくれる。弥彦(日本で唯一の村営開催による競輪場がある新潟県の村)に旅打ちに行った際、先生と主人公は妻子を事故でなくした男と酒を酌み交わす。そのうちに男が持っていたドラッグを、先生と男が飲んでしまう。薬が効いてきた男が、妻子の名を叫びながら棚田の中に入っていく。その彼を宥め止めようと泥まみれになる先生の姿に、主人公を発作から掬い上げようとする先生の姿が重なる。  私自身はギャンブルが苦手で、自分には才も運もないと思っているので単純なゲームですらのめり込めない。酒に弱い生前の父が「酒を飲めない者は飲める・飲みたい人の気持ちがわからない。だから宴席などでもてなす際には人の気持ちを汲め」と言っていたが、ギャンブルもそういうものなのだろう。そういうわけで私は子供にゲームをさせるのもあまり好きではないが、この本での先生の考えになるほどと思った。日本全国で同じような時間に子供たちがゲームをしていて、屋根をはぐって俯瞰してみると、ひとりではなく皆でゲームをしているのと同じだ、というのである。先生はギャンブルにそのつながりのようなものも求めているのでは、と思えた。  人間は弱い。そんな弱い人間同士だから救われることがある。私も父が死んで2年目に入るが、つらいとき、先生の丸い手が「大丈夫だよ」と私の前にも現れてくれないかなあ、などと埒もないことを思う。

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2015/02/03

“サブローくん”の“先生”に対する愛情のフィルターが心地よくて、読んでいると暖かい春の日にそよ風が吹いているような感じを覚えます。 阿佐田哲也氏の本をまた読み返したくもなりますが、心地よさが懐かしくなってまたこの本に帰ってきそうな気も。汐湯の後、ベンチで居眠りしている「あんな風な...

“サブローくん”の“先生”に対する愛情のフィルターが心地よくて、読んでいると暖かい春の日にそよ風が吹いているような感じを覚えます。 阿佐田哲也氏の本をまた読み返したくもなりますが、心地よさが懐かしくなってまたこの本に帰ってきそうな気も。汐湯の後、ベンチで居眠りしている「あんな風な先生」の方が私も好きです。

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2018/12/30

20140517 作家の再生の物語。感性が合うかどうかで肩透かしされた気になるかも知れない。静かだけど激動しているような感じ。

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2014/04/03

著者の自伝的小説。 最愛の人を亡くした「ボク」は、酒とギャンブルに溺れ、自暴自棄の日々を送っていた。 そんな中で出会った「先生」は、ギャンブルの神様と呼ばれる作家。 「先生」に誘われ一緒に「旅打ち」に出かけるようになる。そこで描かれる二人の友情が、とても切なくて優しくて、温かい。...

著者の自伝的小説。 最愛の人を亡くした「ボク」は、酒とギャンブルに溺れ、自暴自棄の日々を送っていた。 そんな中で出会った「先生」は、ギャンブルの神様と呼ばれる作家。 「先生」に誘われ一緒に「旅打ち」に出かけるようになる。そこで描かれる二人の友情が、とても切なくて優しくて、温かい。 奇妙・チャーミング・子供みたいな不思議な「先生」は、全てを寛容に受入れて認める愛深い人。 優しくて純粋な眼差しでそっと、絶望から抜け出せない「ボク」を包み込んでくれた。 「先生」との出会いで「ボク」は生きる気力を取り戻しはじめる。 言葉少なくとも存在する信頼関係と互いの想いやりが、行間からもにじみ出ている。 痛みをわかってくれる懐の深い情愛。じんわりと癒されます。 「先生」(色川武大/阿佐田哲也)の作品も読んでみたくなりました。

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2014/03/12

これほど人が人を敬愛することなんてあるんだろうか?というくらい深い絆を感じさせる作品だった。自分はなかなか年上の人を尊敬する気持ちになれない。素直に「ありがとう」と言えない。この作品を読んで、もっと人を好きならないと人生がつまらなくなる、と思えた。

Posted byブクログ

2014/02/01

私小説を初めて面白く読んだ気がする。阿佐田哲也の魅力と、文章の魅力、両方いいなあ。他の方が書かれた阿佐田哲也も読んでみたい。 (飛行機の中に置き忘れてきたが、読み終わったところで良かった)

Posted byブクログ