消しゴム の商品レビュー
ギリシャ時代の戯曲『オイディプス王』が悲劇を書いたものならば、その遠い反響である本作はさしずめ「書かれてしまった悲劇」とでも呼べば良いのだろうか。「この小説が語るのは、銃弾が三、四メートルの距離を通過するのに必要とした時間―すなわち〈余分の〉二四時間なのだ」という著者の言葉は、本...
ギリシャ時代の戯曲『オイディプス王』が悲劇を書いたものならば、その遠い反響である本作はさしずめ「書かれてしまった悲劇」とでも呼べば良いのだろうか。「この小説が語るのは、銃弾が三、四メートルの距離を通過するのに必要とした時間―すなわち〈余分の〉二四時間なのだ」という著者の言葉は、本作の主体とは〈物〉であり〈物化された主体〉であることを的確に示している。つまり、機械仕掛けの物語。それは人間の主体を主題とする実存主義の反動として書かれたのだと指摘する解説は60年代フランス作品が持つ小難しさを解きほぐしてくれる。
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話の進行につれて、主人公がどんどんと疲れていき、読み手も疲れていく。どんどん話が理性的でなくなっていく。 神話を題材にしている という点が、ミシェル・ビュトールの『心変わり』と似ている。これはヌーヴォー・ロマンの特徴なのだろうか。 心変わりのほうが好み。
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ロブ=グリエといえば、昔『去年マリエンバードで』は観た、 が、その脚本を書いた人だという以外、知識なし、でも、 某誌を捲っていて、この本の広告が目に留まったので購入。 脚本も手掛けた人――という先入観のせいかどうか、 小説なんだけど、何だか台本を読まされている気分だった(笑) い...
ロブ=グリエといえば、昔『去年マリエンバードで』は観た、 が、その脚本を書いた人だという以外、知識なし、でも、 某誌を捲っていて、この本の広告が目に留まったので購入。 脚本も手掛けた人――という先入観のせいかどうか、 小説なんだけど、何だか台本を読まされている気分だった(笑) いろんな人物が出てきて、時間が前後に行ったり来たり。 構造主義だのヌーヴォー・ロマンだのと言われても難しいことはわからないけど、 これは倒叙ミステリの一種かもしれない……ぐらいに考えて読んでいったら そこそこ面白かった。 被害者と犯人が序盤で明らかにされており、 探偵役がいかにして「正解」に辿り着くか、あるいは辿り着けないか ――を、楽しめばいいのだな、と。 ちなみに、タイトルは主人公の捜査官が身分を明かさず聞き込みを実行するため、 文具店で繰り返し、要りもしない消しゴムを購入することに由来。 尚、訳者の解説を先に読んでしまうと、若干ネタバレ感があって興醒めしかねないので、 本編読後に読んだ方がいいかも、です。
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カフカを分かりやすくしようとするとこうなるのかなー。 消しゴムのくだりは好き。 これはこれでいいけど、解説が納得いかないな。 安部公房や保坂和志がこの作品の影響を受けている?!うーん。
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ミステリ小説の構造を利用した、ヌーヴォー・ロマンの代表作。 解説によると、ロブ=グリエの作品は一部のSF小説にも影響を与えたそうで、確かに『消しゴム』にもニューウェーヴSFに通じる雰囲気があった。 ねっとり描かれる細部の描写が気持ちいい。難を言うなら訳文がややアッサリ系なことか。...
ミステリ小説の構造を利用した、ヌーヴォー・ロマンの代表作。 解説によると、ロブ=グリエの作品は一部のSF小説にも影響を与えたそうで、確かに『消しゴム』にもニューウェーヴSFに通じる雰囲気があった。 ねっとり描かれる細部の描写が気持ちいい。難を言うなら訳文がややアッサリ系なことか。もうちょっとねちっこい文章でも良かった気がするな。
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