放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ の商品レビュー
被曝治療の専門家による著作。放射線の発見の歴史から、ガンとの関係、遺伝性疾患、医療における放射線治療、原発と廃棄物(他の発電方法との比較を含む)、といった複雑な問題を説明している。 タイトルどおり冷静に記述しており参考になる。ただし、原子力発電の廃棄物処理方法についてはスッキリし...
被曝治療の専門家による著作。放射線の発見の歴史から、ガンとの関係、遺伝性疾患、医療における放射線治療、原発と廃棄物(他の発電方法との比較を含む)、といった複雑な問題を説明している。 タイトルどおり冷静に記述しており参考になる。ただし、原子力発電の廃棄物処理方法についてはスッキリしない。 福島原発から排出された放射線物質を海に捨てることは「ひどいこと」としながらも、大量の海水による希釈と競争(生き物がセシウムをカリウムと似たものと認識すること)によりセシウムが海洋生物に与える影響は小さい、という説明がされている。理性ではわかるのだが、感情としては納得しにくい。海にいつも行く人間と行かない人間では捉え方が違うのだろうと感じた。
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著者はチェルノブイリや東海村、福島で被ばく者の救援活動に携わった医師。放射線についてわかっていることについて全方位的に概略を説明しようとした本。放射線による健康被害を、ほかの要因(例えば火力発電による空気汚染や喫煙など)による被害と比べた場合に、格段に恐れるべき統計データは見つか...
著者はチェルノブイリや東海村、福島で被ばく者の救援活動に携わった医師。放射線についてわかっていることについて全方位的に概略を説明しようとした本。放射線による健康被害を、ほかの要因(例えば火力発電による空気汚染や喫煙など)による被害と比べた場合に、格段に恐れるべき統計データは見つかっていない、らしい。だからといって、放射線は心配しなくていいと結論付けていないところには好感が持てた。
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原発、放射線の是非について最低限、踏まえなければならない事実がたんたんと述べられている。しかし、これを読み込んで議論できる人はどれだけこの日本にいるのだろう。 私は感情的に原発はダメ、理性的には仕方なかろう、という立場だったが、本書によって、大幅に立ち位置を変えざるを得なかった...
原発、放射線の是非について最低限、踏まえなければならない事実がたんたんと述べられている。しかし、これを読み込んで議論できる人はどれだけこの日本にいるのだろう。 私は感情的に原発はダメ、理性的には仕方なかろう、という立場だったが、本書によって、大幅に立ち位置を変えざるを得なかった。まさしく、「冷静」になったわけだ。 分かったことは、 ・エネルギーの問題を極端に論じてはいけない。 ・医療と被曝のことは意識的になった方がよい。 ・喫煙は放射線被曝が絡む。 ・放射能という現象にあまりに神経過敏になる必要はない。 ・放射線殺菌技術の吟味。 ・核テロは実害よりも心理的パニックが怖い。 ・被爆の遺伝性はほぼない。 ・原爆で死亡した人のほとんどが爆風と熱線。放射線は1割。 ・日焼け止めはメラノーマ対策のとしてはいまいち。 ・日焼けマシンは発がん要因。 ・地球生物は放射線に耐えるために進化した部分をもっている。 ・従来の太陽エネルギー発電はメガワットあたり、原発より放射線量が多い。 ・石炭発電はさらに多く、100倍。
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第1章 リスクの評価 第2章 放射線の発見から今日まで 第3章 放射線の現実 第4章 放射線とがん 第5章 遺伝性疾患、出生時障害、照射食品 第6章 放射線と医療 第7章 爆弾 第8章 原子力発電と放射性廃棄物 第9章 まとめ
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筆者は白血病の権威だそうで、被曝の影響や医療被曝のリスクについては詳細で説得力のある論を展開しており、非常に勉強になった。その一方で、核戦略やエネルギー問題については非常に雑駁なデータを根拠にしているようで説も乱暴だ。餅は餅屋ということか。
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