時代劇の見方・楽しみ方 の商品レビュー
大河ドラマの時代考証や歴史番組でよく名前をみかける大石学氏。専門は江戸時代の歴史だが、1998年に時代考証の仕事を始めた。昔は時代考証家といわれる人が職人芸的にやっていたが、その資料は番組終了とともに消えていった。氏は時代の知識や情報を蓄積する必要性を感じ、歴史学、建築史、風俗史...
大河ドラマの時代考証や歴史番組でよく名前をみかける大石学氏。専門は江戸時代の歴史だが、1998年に時代考証の仕事を始めた。昔は時代考証家といわれる人が職人芸的にやっていたが、その資料は番組終了とともに消えていった。氏は時代の知識や情報を蓄積する必要性を感じ、歴史学、建築史、風俗史、食物史、被服史、遊戯史、民俗学、技術史、地域史などを総合する「時代考証学」を構想。 その背景にはチャンバラ(殺陣)を中心とする従来の「時代劇」の衰退と、江戸時代観の変革があったという。江戸時代は現在と断絶した理解不能な大昔ではなく、近代・明治へと続く助走期間であったというもの。 確かに時代劇で食事風景を撮るといった場合、家の作り、間取り、食事の内容、食器、家族の並び方、家族の服装、セリフ、など多様な歴史考証が必要だ。歴史学だと古文書をもとに細分を追求するが、劇となるとなるほど大変なんだなあと本を読んで改めて思った。 大河ドラマの「篤姫」や「龍馬伝」「新撰組!」など実際に担当した番組での時代考証の実際を説明しつつ、その歴史的背景も説明。記述が分かりやすく知らずに歴史も学んだ感じ。 たとえば「篤姫」は制作では「家族」がテーマになっているという。薩摩から将軍家へと、自分の家族を求めた篤姫の物語として番組は進行。そこで「家族」とはいつごろ生まれたか、という説明が入る。近世史研究では江戸時代を通じて形成されたと考えられているという。中世までの農業経営や家族形態をみると、土豪や地侍などが大経営の農業を営み、そのもとで一般の男女は働き、自立して安定的な家族を形成しにくかったという。 教科書には普通に乗っている言葉、「島原の乱」「大塩平八郎の乱」「安政の大獄」などこれは時間が経って言われた言葉で、当時は「島原の一揆」「大塩平八郎の騒動」「井伊大老の大獄」というセリフにしたという。 2013.8.1第1刷 図書館
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