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シベリア抑留全史 の商品レビュー

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2013/12/13
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長勢了治『シベリア抑留全史』原書房、読了。「飢餓」「酷寒」「重労働」。独ソ戦で荒廃した国土の復興のために労働力への強制徴用。それがシベリア抑留だ。その数は70万人に及ぶ。本書は抑留記録のほか、旧ソ連の資料や研究を統合的に踏まえ、その実態を明らかにする浩瀚な労作である。 抑留詩人石原吉郎曰く、「詩における言葉はいわば沈黙を語るためのことば、沈黙するためのことばであるといってもいいと思います。もっとも語りにくいもの、もっとも耐えがたいものを語ろうとする衝動が、ことばにこのような不幸な機能を課したと考えることができます」。「沈黙するための言葉」。 シベリア抑留とは、旧ソ連による不正義の収奪である点を否定することはできない。しかし抑留にいたる経緯をだれが設置したのか。ていよく利用して棄民する……この体質は残念ながらほとんど変わっていない。だからこそ、単純に「国益ガー」などと宣うべきではないのだ。

Posted byブクログ