ル・コルビュジエ最後の風景 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
フランスのラ・トゥーレット修道院。ドミニコ会。 コルビュジェ以外にも、現代建築家による宗教施設を取り上げている。 外観はコルビュジェそのものだが、内部は敬虔さが漂う。 内壁が白く、青森県立美術館を思い出す。
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建築界のピカソと称され、建築愛好家がその作品の前では正気を失うとまで言われるル・コルビュジエ。この巨星の作品の1つであるラ・トゥーレット修道院に招かれたカメラマンの著者は、最新型のカメラを手に、春から冬までをこの地で過ごす。 ラ・トゥーレット修道院は、西洋近代における最も権威...
建築界のピカソと称され、建築愛好家がその作品の前では正気を失うとまで言われるル・コルビュジエ。この巨星の作品の1つであるラ・トゥーレット修道院に招かれたカメラマンの著者は、最新型のカメラを手に、春から冬までをこの地で過ごす。 ラ・トゥーレット修道院は、西洋近代における最も権威ある代表的建築物であるが、他の宗教建築に見られるような装飾はいっさいなく、無機的な宿舎にしか見えない。無神論者であったル・コルビュジエが伝統的なキリスト教の建築手法を拒否し、自身の建築スタイルを貫いたためだ。そのため、熱心なカトリック教徒である著者は当初、この建物を生理的に受け付けられなかったという。けれども、思考を放棄し、「ただ先進的なカメラで自由に対象を眺める」ようにしたことで、彼の中にあった矛盾や問題点は次第に、「ル・コルビュジエが創造した光と影の中で解けていった」。 ル・コルビュジエは自分の死後、遺体を一晩この修道院に安置するよう遺言を残した。神の不在を確信していたはずの彼は、神の祝福の光が注ぐこの場所で、最後に何を見ようとしたのだろう。
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