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OURS TEXT(001) の商品レビュー

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2020/03/09

山本理顕の横浜国立大学退任記念イベントとして開催したシンポジウム 「建築をつくることは未来をつくることである」の内容。 この本を読みながら、未来を作るには、まだ遠いと感じた。 未来自体のイメージができていないことによるのかもしれない。 その姿勢をかうことが、できると思うけど。 ...

山本理顕の横浜国立大学退任記念イベントとして開催したシンポジウム 「建築をつくることは未来をつくることである」の内容。 この本を読みながら、未来を作るには、まだ遠いと感じた。 未来自体のイメージができていないことによるのかもしれない。 その姿勢をかうことが、できると思うけど。 地域社会圏主義を唱えている 山本理顕は、 これまでの建築のあり方では、住む人に未来がないという。 そして、2011年3月11日を経験した建築家として、より一層想いを強める。 帰心の会 (KISYN)による 復興後の提案を進める。 隈研吾(K)伊東豊雄(I) 妹島和世(S)山本理顕(Y)内藤廣(N) 伊東豊雄の みんなの家 の実践を協力し合う。 3月11日の衝撃が、建築家にあったことを知る。 そして、建築家が 無力であり、復興に対して、なんのアドバイスもできない。 そんな中で、何が問題なのかを えぐり出す。 建築家は、誰のために建築しているのか? つくる主体と使う主体の分離。 高度経済成長の時には、一致していたが、 大きな時代の変化の中で乖離が進んだ。 「毎日行きたくなるような公共施設を作る」 復興に、土木は積極的に関わるが、建築家は呼ばれない。 建築家は、個人のデザインが中心になって、復興への地域ビジョンを出せない。 みんなの家を作りながら、建築家としての自分とただ一人の自分と向き合う。 プライバシーとセキュリティをどう扱うのか? 一住宅一家族 という考え方を作り上げた。 集合住宅には、共有部分が、廊下とエレベーターしかない。 人の幸福とは、家を持つことである。その家のローンを一生払う仕組み。 住宅を私有化することが、大きなフィクションとなった。 1戸建ではなく、マンションの増加による日本の疲弊。 その中で、コミュニティをどう作り上げて行くのか? なぜ、コミュニティが必要なのか? 私有に頼らない共同性。 何が、問題なのか?が見えているが、それを突き破る 方法が見えていないような気もする。

Posted byブクログ

2013/02/08

 横浜国立大学の大学院・建築都市スクール(Y-GSA)の主催した2回のシンポジウム《建築をつくることは未来をつくることである》を採録したこの小冊子『OURS TEXT 001 未来の住人のために』(nobody編集部 刊)は、サブプライム危機に端を発する2007年のリーマン・ショ...

 横浜国立大学の大学院・建築都市スクール(Y-GSA)の主催した2回のシンポジウム《建築をつくることは未来をつくることである》を採録したこの小冊子『OURS TEXT 001 未来の住人のために』(nobody編集部 刊)は、サブプライム危機に端を発する2007年のリーマン・ショック、そして2011年の東日本大震災が、日本における建築という分野の試練、いや理念的な破綻を招いたと定義づけている。日本の土地政策、土木・建築政策はすべて間違っており、狭小な国土であるにもかかわらずアメリカ式の持ち家信仰を奨励し、同時にソビエト式の公団システムも推進したが、それらの政策はここへきて完全に行きづまり、国民の富が住宅ローンの呪縛によって不毛に吸い上げられ、一生が台無しとなっているのだという。  そして、大震災の被災地域における仮設住宅のあり方をパネリストたちが熱く話し合うが、この議論を読んでいると、ひょっとして日本建築の新たなパラダイムは、被災地の仮設住宅が鍵を握っているのではないか、という夢想さえ抱かせる。  それと、私も以前からうすうす感じていたが、改めて認識したのは、日本の住居は戸建てにせよマンションにせよ、セキュリティとプライバシーがいたずらに追求されすぎているというのである。個人主義が未発達な日本、地下鉄で居眠りしてもスリに遭わず、個の緊張を欠いた日本、などとよく言われるけれども、その反面じつはこれほど住空間が隣近所や通行人と隔絶している国もめずらしい気がする。  「ヨーロッパの古い建築が連なっている街は、ある意味で日本の住宅などよりも厚い壁なのに、一つひとつの建物に住んでいるというより、なんとなく街に暮らしている感じがあります。ホテルの窓から見ても、どの住宅の窓も開いていて中がよく見えます。日本では建築のつくり方がいけなかったのかもしれないし、以前からそういう構造だったのかもしれない。」(妹島和世談 本書59-60頁)  たしかにヨーロッパの住宅は窓が開放的で、カーテンを神経質に引くこともなく、昼夜を問わず内部が丸見えであることが多く、住人がワインを飲みながら食事をとる光景や、好さそうなランプのもとで読書をしている姿が外部の視線に晒されてまったく憚ることがない。

Posted byブクログ