壺中の回廊 の商品レビュー
時代は昭和初期。歌舞伎や演劇の世界を舞台に、主人公である戯作者が事件解決に挑む推理もの。関係者への丁寧な聞き取りからヒントを得て、真犯人の特定と事件解決を進める典型的なストーリーだが、昭和初期という時代背景や、歌舞伎という特殊な世界の事情をよく織り交ぜた複雑で味わい深いものになっ...
時代は昭和初期。歌舞伎や演劇の世界を舞台に、主人公である戯作者が事件解決に挑む推理もの。関係者への丁寧な聞き取りからヒントを得て、真犯人の特定と事件解決を進める典型的なストーリーだが、昭和初期という時代背景や、歌舞伎という特殊な世界の事情をよく織り交ぜた複雑で味わい深いものになっている。主人公も何やら抱えている様子。続編が楽しみなシリーズが見つかって嬉しい。
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予想を上回る大満足の一冊!これほどの筆力と才能になぜ今日(こんにち)まで出会えなかったのか不思議…よくある五角形のレーダーチャートに例えるなら最大値の奇麗な五角形。文体・文学性・ミステリの要素と質・オリジナリティー・楽しみパーフェクト作品♪
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うーん。これなーちょっと。。 松井さん、こういう芸道に絡む人間模様とてもうまく描く方という印象なんだけど、×ミステリーになっちゃうとなぁ。 起こった事件もあまり、なぜ?どうやって?だれが?という喰いつきもできなかったし、すごくドラマティックなんだろうけど、身近じゃなさすぎて、遠い...
うーん。これなーちょっと。。 松井さん、こういう芸道に絡む人間模様とてもうまく描く方という印象なんだけど、×ミステリーになっちゃうとなぁ。 起こった事件もあまり、なぜ?どうやって?だれが?という喰いつきもできなかったし、すごくドラマティックなんだろうけど、身近じゃなさすぎて、遠い位置のまま読んだという印象。 だからすごい時間かかっちゃった。真犯人の理屈もぜんぜん腑に落ちなくて、なんだろうー消化不良。 登場人物も散らかってるしなぁ。澪子メインだったらもうちょっと喰いつけたかもしんないな。 私には合わなかった、すんません。オススメはしない。
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一気読み!! 素晴らしかった。 登場人物も、ストーリー展開、 謎解き、そして、 生き方、人としてのあり方、ものの見方、 それが見事に芝居という芸術に絡められていて。 読後、深い溜め息。 満足感たっぷり!
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他者に出会うことこそ人生 時は昭和の初め。 関東大震災を経て復興した東京。 その木挽座で、名優と名高い蘭五郎が死亡しているのが発見される。 先祖に狂言作者を持つ大学講師の桜木が素人探偵となって死の真相に迫る......。 歌舞伎というと敷居が高く感じられ、私なぞは一度も見たこと...
他者に出会うことこそ人生 時は昭和の初め。 関東大震災を経て復興した東京。 その木挽座で、名優と名高い蘭五郎が死亡しているのが発見される。 先祖に狂言作者を持つ大学講師の桜木が素人探偵となって死の真相に迫る......。 歌舞伎というと敷居が高く感じられ、私なぞは一度も見たことがない。 何を言っているのかわからないし、一見さんお断り、といわれているようで.....。 そんな不安を持って読んだがこれがよい意味で裏切られる。 舞台は(文字通りの意味でも)歌舞伎であるが、そこにいる人々に焦点が当てられているので時代小説という古めかしさもないし、難しい言葉が延々と羅列されているわけでもない。 著者の技量の賜物というべきであろう。 男女の愛憎、資本主義に進みながら思想の弾圧が強くなっていった時代の背景、先進的な考えを持つ若者と保守的な高齢層。 相対するものとして描かれながらいたずらにその対立を煽った文章でなく、葛藤する自らの心の中を中心としているので、誰に対しても感情移入しやすく胸の内を慮ることができる。 誰が犯人かは最後まで読み解けず、ミステリとしての面白さも満点だ。 沢之丞が最後に語る言葉は「親」としての心がよくでている。 「若い頃の自分はいかにきれい事で生きてたかってのをねえ。 人間がみんな平等だなんてのは嘘っぱちだって(中略)思い知らされるでしょうよ。 けどまあ、若い者は皆あいつのようでなくちゃいけないよ。 若いうちから自分さえよけりゃいいなんて考えるやつは、ろくな死に方をしやしないさ」 また、苦い終わりかたの中での希望が示される。 「いつの時代も、人間が短い一生のうちにできるのは、ただ他の人間に出会うことだけなのだ」 イプセンの劇がとても象徴的であり、それが解決のヒントになっている。 あのときああすればよかった、これがなければ、などと人間は思いがちだが、それを乗り越えて人はどう生きていくかが大切だ。 いや、そんなことはわかっている、だからこそそうなれない自分に幻滅してしまうのだが。 芝居、映画、そんな文化を通して見る人生。 自分の役を全うして花道を飾りたいものだ。
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昭和の始めの歌舞伎俳優たちの物語.早稲田の教師の桜木が中心に動いて、殺人事件の真相を解明するが、登場人物がそれぞれ個性があって面白い.また、特高の影響が出始めた時代背景も詳述されている.真犯人は意外だったが、桜木の推理や澪子のややモダンな行動が楽しめた.当時は今以上に貧富の格差が...
昭和の始めの歌舞伎俳優たちの物語.早稲田の教師の桜木が中心に動いて、殺人事件の真相を解明するが、登場人物がそれぞれ個性があって面白い.また、特高の影響が出始めた時代背景も詳述されている.真犯人は意外だったが、桜木の推理や澪子のややモダンな行動が楽しめた.当時は今以上に貧富の格差があった感じだ.
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「風姿花伝」シリーズの後に読むと,子孫?たちの登場ににんまりします。梨園はともかく,警察関係も。。。あれ,笹岡家と薗部家は親類じゃないのかな?
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昭和初頭、時代の不穏な空気の中、歌舞伎の大劇場に脅迫状が届き、人気役者が不審な死を遂げる。歌舞伎界を舞台とし、時代の風俗も織り込んだミステリ。 昭和5年、亀鶴興業が運営する木挽座に「掌中の珠を砕く」と脅迫状が届いた。 狂言作家であり大学講師でもある桜木は、木挽座の役者たちとも親...
昭和初頭、時代の不穏な空気の中、歌舞伎の大劇場に脅迫状が届き、人気役者が不審な死を遂げる。歌舞伎界を舞台とし、時代の風俗も織り込んだミステリ。 昭和5年、亀鶴興業が運営する木挽座に「掌中の珠を砕く」と脅迫状が届いた。 狂言作家であり大学講師でもある桜木は、木挽座の役者たちとも親しい。歌舞伎界は特殊な世界だ。外部のものには伺えないその壺中の入り組んだ回廊も知る立場にある桜木は、知り合いの警部に頼まれ、素人探偵の真似事をする羽目に陥る。 きれいごとばかりではない芸の世界をしたたかに生き抜いてきた一癖も二癖もある老獪な大看板たち。階級の違いに憤りを感じ、歌舞伎界にも改革が必要だと訴える若手役者。安月給で、おそらく一生、日の目を見ることがない、「その他大勢」の下っ端役者たち。 歌舞伎界のねっとりとした因習に、労働争議でざわめく時代の空気が混ざり込む。 そんな中、「忠臣蔵」の上演中に、事件が起こる。現場は舞台の裏。わずかの隙を突き、大勢の目をかいくぐって犯行を成功させた犯人とは何者か。 え、おもしろい。おもしろくないはずがない。 のだが。 正直なところ、個人的には、残念ながら開演の期待が終幕までは保たない物語だったといわざるをえない。 読み終わって考えてみると、プロットはよくできている。 特高やデモの光景も時代の空気をよく掬い取っているし、桜木の姪が小劇場で役を得る劇も非常に象徴的な内容だ。 何よりも役者1人1人にもモデルがいるという、木挽座の描写が秀逸である。 時代背景をきっちりと調べ込んでいるのだろうというのもとても感じる。 だが、読者に「後で考えたら、プロットはよくできている」と言わせるというのは、娯楽小説としてはどうなのよ?というところなのである。 ミステリとして今ひとつ乗れなかった。その理由はおそらく2つ。 1つは、視点が主に探偵役の桜木のものであり、犯人の心情や事情に多分に桜木の推測が混じっていること。それが説明的に示されても、「ふぅん、そうかもしれないけどね・・・?」「え? それ、桜木先生だけ知っていて、ずるくない・・・?」と感じてしまう。 もう1つは、著者が歌舞伎界について突出して詳しいこと。いや、それ自体はもちろん、素晴らしいことだ。楽屋裏や役者の心情、芸道の「修羅」が非常に説得力を持って書かれ、冒頭の吸引力は特筆に値する。だがしかし、そこに加わるミステリとしてのプロットが、今ひとつ「取って付けた」感がぬぐえない、のである。 著者は歌舞伎の企画制作・脚色・演出にも携わった人である。長年、歌舞伎に慣れ親しんだ著者が熟知している歌舞伎の世界に比べて、いくら背景を調べ込んだとはいっても、物語の鍵を握る財閥のお屋敷や、捜査に当たる警察の場面は、どうしても見劣りがしてしまう。致命的なのは、歌舞伎界の外のとある重要人物の描かれ方が、歌舞伎役者の十分の一にも満たないと感じる点だ。そういう意味で、バランスが悪い、と思う。 こうなると何も、ミステリでなくてもよいような気がしてくるのだ。変死事件や謎解きを織り込まなくても、歌舞伎という壺中には、怖ろしい反面、魅力も持つ、「魔」が巣くうている、のだろう。 いっそ、著者のこの冴えた筆で、ノンフィクションでもフィクション仕立てでも、この時代の役者の一代記や歌舞伎座クロニクルを存分に描き出してほしい。 読み終わっていささか消化不良な気分の中で、そんな思いも涌いている。 *亀鶴興業に木挽座に。それこそ忠臣蔵の塩冶判官や大星由良助のような、「いや、それ、丸わかりですからっ」的ネーミングです(^^;)。 *いろいろ文句をつけておいて何ですが。調べ物のすごさにもちょっと圧倒されました。小劇場で演じられる設定のイプセンの『幽霊』(『人形の家』の続編にあたる作品)がなかなかの問題作でびっくりしたり。ちょっとこれ、読んでみようかなぁ? いやぁ、ほんと、なかなかのプロットだと後で思うんですけどねぇ・・・。 *松井今朝子さんはこれが5作目、かな・・・?『吉原手引草』『大江戸亀奉行日記』『仲蔵狂乱』『吉原十二月』ときて、本作。好き嫌いでいえば、『吉原手引草』が一番よかった。著者もカメ好きと聞いて読んでみた『大江戸・・・』がいまいちだったのが残念でした。意外に自分にとっては当たり外れがある著者さんなのかもしれません。
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昭和5年という時代を、歌舞伎・演劇を通して描かれているのが興味深かった。 主人公の狂言作者の末裔で、大学講師の家の様子の部分は、『小さいおうち』を思い起こさせた。 殺人事件が起き、犯人探しなのだが、推理小説としては特に感慨もわかなかったので、『歌舞伎』のカテゴリに入れた。 梨園と...
昭和5年という時代を、歌舞伎・演劇を通して描かれているのが興味深かった。 主人公の狂言作者の末裔で、大学講師の家の様子の部分は、『小さいおうち』を思い起こさせた。 殺人事件が起き、犯人探しなのだが、推理小説としては特に感慨もわかなかったので、『歌舞伎』のカテゴリに入れた。 梨園というのは限られた世界なので、こういうネタはつきないだろうと思う。 なので、推理小説風で描くのではなく、ドキュメンタリーのほうが面白いと思う。なにせ、『事実は小説より奇なり』を地でいくような世界だと想像しているので。
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