息もとまるほど の商品レビュー
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しっとりとした、そしてどこか仄暗さも感じられる杉原先生作品のなかでも印象的な作品のひとつです。兄弟同然に育ってきた従兄弟への恋心、好意を寄せられている幼馴染みの存在、育ての親……主人公の透はとても複雑な立場にあると思いますが、そこの葛藤がどちらかというと緩やかで、幼馴染みに打ち明ける場面も思ったよりもあっさりだったなと感じました。でも、杉原先生の情景や心情の描写は本当に丁寧かつ言葉の選び方がとても綺麗で今作でも何度も胸を打たれました。特に、透自身が「性の目覚め」と述べていた、スカートに手をいれられ太腿に触れられる夢を見る、あの場面はとてもドキドキしました。 しんしんと降り積もる田舎の雪のように、静かで澄んだ素敵な作品でした。
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幼い頃交通事故で両親を亡くした透は、伯父夫婦に引き取られる。年の近い従兄たち、幼なじみ、暖かい家族に囲まれて透は幸せに暮らしていた。とりわけひとつ年上の彰彦は、おとなしくて心優しい透を気に掛け、時には庇い、透にとって特別な存在になった。年長の従兄への無邪気な好意、憧憬は、やがて隠しきれない恋心へ変わっていく。お互い同じ気持ちであることがわかっても、透には大切な家族を裏切ることはとてもできなかった。 『家族だから』と言う透の一言で、ふたりの恋は永遠に封印されたはずだった。 長い年月が流れて、彰彦は突然透の元に戻ってくる。必死の思いで胸の奥底に葬ったはずの恋心はいとも簡単に再び引き出されてしまう。お互いの気持ちが少しも変わっていないことなど、すぐにわかってしまうのだ。 未熟だったふたりには決して乗り越えられなかった壁が、大人になった今は違う高さに映るのだろうか。 大切な家族を裏切ることはできない、悲しませたくないという思いは今でも変わらないけれど、決してお互いを諦めることもできないと気付くための10年だった。何と引き替えにしても決して失くすことはできないとわかるための時間。 結果、周りを取り巻く環境は何ひとつ変わっていないので、裏切る、悲しませるという後ろめたさは全く解消されない。ただ長い年月を経て、その事実をようやく受け入れる覚悟ができたということ。なので…両想い後の圧倒的な幸せ感は著しく乏しい…
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何かこう、しっとりじっくりくるお話だったかな。 萌え転がるようなのではなくて、読み終わった後にじわじわくる感じ。二人の絆がすごくよかった。家族との話し合いの結末は気になるけど、たぶん、そこが入ったら一気にこの余韻がなくなってしまうのだと思うので、このラストはこれでいい。
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なんかすごく良かったです。軽くもなく重くもなくお互いの気持ちが近づいていく感じがいい! そして別れを経ての再会愛なんだけれど、激しく求め合うわけではないのに、なんか地味に心にしみこんでくる感じの純愛でしたね。 意外に攻めがヘタレではないけれど、相手の事を思って身を引くあたりがちょ...
なんかすごく良かったです。軽くもなく重くもなくお互いの気持ちが近づいていく感じがいい! そして別れを経ての再会愛なんだけれど、激しく求め合うわけではないのに、なんか地味に心にしみこんでくる感じの純愛でしたね。 意外に攻めがヘタレではないけれど、相手の事を思って身を引くあたりがちょっと物足りなさを感じたけれど、 大事な人を裏切ってでも最後は攻と一緒にいる事を選んだ受が良かったです。
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