女体質屋 の商品レビュー
着眼点の面白さと退廃的な雰囲気は良かった
タイトルおよび第一章の章題「女体を質草に取る質屋」で内容的にはほぼ説明済みな作品である。実に面白いところへ目をつけたものであり、このオリジナリティ溢れる着眼点は秀逸と言わねばなるまい。質屋だから質流れもある。本作の「質流れ品」は言うまでもなく預けられた女性自身となる。この時点で女...
タイトルおよび第一章の章題「女体を質草に取る質屋」で内容的にはほぼ説明済みな作品である。実に面白いところへ目をつけたものであり、このオリジナリティ溢れる着眼点は秀逸と言わねばなるまい。質屋だから質流れもある。本作の「質流れ品」は言うまでもなく預けられた女性自身となる。この時点で女性の地位に関して多少なりとも向上心のある人は苦虫を噛む思いを抱くかもしれないが、最初から男の古臭くて独善的な価値観が横たわっているようであり、むしろそのような価値観を前面に出して挑発的に挑戦しているかのような作品とも言えそうなのである。 金策に困り果てて駆け込んでくる男達に連れられてやって来る女達の、いつか金を工面して来てくれる、自分を取り戻しに来てくれると信じているところには古風な「じっと耐えて待つ女」のニュアンスも感じられたが、そもそも相手が自分を質屋に連れて行くような甲斐性無しにつき金を工面できるハズもなく、大体はあえなく質流れとなり、別の男へ買われていく。その際に買い付け希望者の趣味や性癖に見合うような調教が施されるところに本作の官能的な見どころがある。 様々な境遇の女達が出てきては様々な反応で抗うものの最後は堕ちてしまう淫猥さは出ていたし、何より表紙のカバーイラストよりもずっと古めかしくて重厚な雰囲気にも意外性があって良かったのだが、どうしてもエピソードを繋いでいく形となってしまい、エスカレートこそしていくものの、物語としてはやや一本調子となってしまったところが惜しまれる。
DSK
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