流水浮木 の商品レビュー
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ミステリ仕立てなのは良いんですが、発端となった殺人事件、殺された人は結局何でそんなに慌てたのか、という部分と、その人を殺したひとは本当にどうやってその人を見つけ出して殺したのか(本当に通り魔なの?という疑問が)が、説明不十分の感じあって……。 他の人のレビュー漁ってみましたが、佐吉の唐突な出奔と死に至る経緯は全然触れられてなかった。 「えっ? 主人公があれだけ疑問視してこだわってた話は、この真相で決着なの?」 という消化不良の感がある。 じゃあ佐吉を手にかけたアイツは本当に通り魔的犯行だった訳か? 読み返してみると、 「主人公の婿が、絶家とされた隠密だよー(本当の隠密を隠すための囮らしい)、という情報を、幼馴染4人組の一人から聞かされた佐吉。狼狽した彼は、同心株を売って町を出ることにした。徳利一本で赤ら顔なのに飲み屋できこしめし、小判で払ったりするもんだから『羽振り良さそう』と目をつけられ、通り魔的強盗殺人に遭う」 という、屋上屋を重ねた偶然と不自然な真相でした。 情報を伝えた幼馴染「まあ佐吉と晋平の仲なら、すぐ問いただして修復できるやろ」→狼狽しきって問いただすどころじゃなかったという不幸な偶然 同心株売って町を出よう→その決心の経緯が、作中の誰も語ってない上に、故人の手記とかもない、不自然さがある 徳利一本で赤ら顔になるのに、飲み屋で飲んでる→だから不自然んんんーーー!(誰かと飲んでたのか、そもそも何で飲もうとしとったんじゃ、的なことは何の説明も無かった) 小判で支払いして、質の悪いのに目をつけられる→一般の暮らしでは銭で足りる、というのは百人町住民なら常識だろうに、それやっちゃう不自然。(何の説明も無かった) 他のエピソードが結構『裏のある』構造だけに余計、全ての発端となった殺人の真相がこれでいいんか?という肩透かし感ある。 請負隠密とか出てきたせいで、そこにも謎を求めてしまったんだが、本当に、ミステリ期待してたのに肩透かしですよ。 あと、魅力的な探偵補助役!と思って読み進めていたら二人とも途中退場していった。 なので、ミステリ仕立てだと思って読んだら違っていたでござる、の肩透かし感もあった。
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周五郎でもなく、州兵でもない時代劇の味を堪能させる。それこそ、江戸期の手仕事職人の様ないぶし銀の香り。 青山氏の作を読んでいくと、得も言えぬ馥郁とした香りを認める。 江戸中期であろう舞台。伊賀者の家に生まれつつ、父親の言葉にその血を思わせるのみで日ごろはさつき栽培に精魂を傾ける...
周五郎でもなく、州兵でもない時代劇の味を堪能させる。それこそ、江戸期の手仕事職人の様ないぶし銀の香り。 青山氏の作を読んでいくと、得も言えぬ馥郁とした香りを認める。 江戸中期であろう舞台。伊賀者の家に生まれつつ、父親の言葉にその血を思わせるのみで日ごろはさつき栽培に精魂を傾ける晋平。 62歳と言えば、この時期、すでに老境。「手足の筋はすっかり植木職のそれになって 何とか50本ふり終えると 両の腕が固くなる」はよく表れた情景。 一人娘千瀬と婿平太とたまに会う位のさつき栽培一筋の日々に起こった事件。 盟友3人の相次ぐ不審死・・本来は煙が立つはずのない伊賀者の矜持が覚醒してからのラストは筆が冴えた。 伊賀者とお庭番、幕小屋の美剣士など周囲の描き方は隅々まで細かく、実に学者的な検証が行われていてじっくり読ませる。 退屈と思う向きもあるだろうし、波がなさすぎる凡庸と語る方もいるだろう・・私には江戸期とはこういったことどもが泡のごとく怒り、消えて行った時間に間違いないと思わさせれた作品だった。
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青山文平氏の初期の作品。 江戸時代の軽輩の暮らし、新宿界隈の発展具合など当時の生活や風俗が横糸に、事件が縦糸になって物語が進む。幼馴染3名を失い、主人公晋平は62歳にして初めて人を斬った。重い気持ちになりながらも残り長くない人生は続く。味わい深い作品だった。 以下Amazonより 老いてなお、命を懸けねばならぬ時がある。侍の誇りを刻む本格時代小説誕生。幼馴染が殺された。伊賀を知らぬ伊賀者だった。大金を手に死んだ友に何があったのか。探るほどに見えてくる裏の隠密御用、伊賀衆再興の企て、危険な火縄の匂い。そしてまた一人旧友が斬殺された。サツキ栽培で活計を立てながらも、一刀流「浮き木」の極意を身に秘めた老練の武士が、友の無念をはらすべく、江戸の闇に鯉口を切る!
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江戸中期頃、戦乱の世から百何十年が過ぎた時代、武士が武士として存続できる意味や矜持を自ら問うとなればややこしい問題とならざるを得なかったであろうと思う。実際、当時の武士がその辺をどう考えていたのか、浅学につき知らないし、調べてもほとんどわかりようもないのではと思うが、作者はそのこ...
江戸中期頃、戦乱の世から百何十年が過ぎた時代、武士が武士として存続できる意味や矜持を自ら問うとなればややこしい問題とならざるを得なかったであろうと思う。実際、当時の武士がその辺をどう考えていたのか、浅学につき知らないし、調べてもほとんどわかりようもないのではと思うが、作者はそのことを軸に置いてストーリーを進める。それだけではなく、さらにその軸に絡めながら、そもそも人はその人生において何を成すべきであり、如何にその身を処すべきかまで掘り下げて話を綴っていく。 職も身分も親から子、孫へとただ無事に受け継がれることこそが尊ばれるようになった世において、登場する人物それぞれ、それをひたすら全うしようとしてきたはずが、ある時から本来目を向けてはいけないはずの、あるいは目を向ける必要もなかった、己の生き方と真正面から向かい合うことを強いられ、それぞれにその運命をたどっていく。そのきっかけとなった事件については、物語の最初からほとんど終わりの方になるまで動くことがなく、ずいぶん緩やかに話が進められるなとややもどかしい思いもしながら、読み進めることになる。最後に、畳み込むように話が進み、結末を迎えるが、振り返ってみると、しかし、もどかしく感じた部分も含めて、作者が読者に語りたかったこと全部が、この構成の中できちんと成立し、これでよかったのだな、とすっと腑に落ちた。面白かった。
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かけおちる、に続く青山氏の江戸中期物、 この世は、誰もが何かを考えているようでいて、実は、誰も、何も考えていないのだ、 この世に、重い荷を抱えていないものなどいないのかもしれない、
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ミステリーの要素も強く感じた。 友を殺された男が、真実を探り、仇を討つ。 とはいえ、青山さんの作品なので、背景とか人物の想いとかが、丁寧に描かれていて読みごたえある。
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山岡晋平は佐吉、太一、勘五郎と幼なじみだが伊賀者としての矜恃を隠し持っている.佐吉が惨殺され、それを探る中で太一も殺される.同郷の源三の子 征士郎の振る舞いが少し面白い.勘五郎が真相を突き止めるが、死んでしまう.最終的に晋平が娘婿の平太の的確な捜索によって、幼なじみの仇を取るが、...
山岡晋平は佐吉、太一、勘五郎と幼なじみだが伊賀者としての矜恃を隠し持っている.佐吉が惨殺され、それを探る中で太一も殺される.同郷の源三の子 征士郎の振る舞いが少し面白い.勘五郎が真相を突き止めるが、死んでしまう.最終的に晋平が娘婿の平太の的確な捜索によって、幼なじみの仇を取るが、彼自身の葛藤をじっくり描写しているラストが良い.やや難解な語彙が出てくるが面白く読めた.
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先祖が伊賀出身の流れをくみ、サツキを育てる生業としてた幼友達4人の老武士が伊賀者としての因縁に巻き込まれて行く姿を描く。人の深層心理を考えさせる一冊だがちと難しい内容で最後は斜め読みして完読する。
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