ぎふちょう の商品レビュー
緻密な絵が美しい。 蝶の一生なので、じっと動かない蛹の時間が長い。 蛹は動かないけど、周りの季節も他の生き物も動いていく。鮮やかな四季と生命の巡りが、ただただそこにある。 姪の5歳になる誕生日にプレゼントしました。 絵を描くことや工作や、砂場遊びや虫捕りが好きな子だと感じるの...
緻密な絵が美しい。 蝶の一生なので、じっと動かない蛹の時間が長い。 蛹は動かないけど、周りの季節も他の生き物も動いていく。鮮やかな四季と生命の巡りが、ただただそこにある。 姪の5歳になる誕生日にプレゼントしました。 絵を描くことや工作や、砂場遊びや虫捕りが好きな子だと感じるので、自然や世界をじっくり観察して考えるきっかけになればよいかなと思います。 姪の妹(2歳)にも好評なようで、読み聞かせをせがまれていました。
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再読。 幼虫の状態で2か月活動した後、蛹の状態で10か月もの期間を過ごし、わずか10日だけ蝶として飛び回り卵を残す、という不思議な生態を持つ蝶の絵本。 蝶としての姿は美しく、葉上ではなく地上で過ごす幼虫の生活も面白いけれど、本作で印象深く、また紙幅も割かれているのはのはむしろ、地味なはずの蛹の時期だ。夏が秋になり、冬が来て、春が訪れるまで、蛹はただじっとそこにあり続ける。蛹を前景に、背景に、周りの生き物たちは生活し、生き物を食い、食われていく。あくまでギフチョウの生態を追う本であるからか、周りの生き物たちの生死は言葉でもっては語られない。しかし、カタツムリやマイマイカブリやヒキガエルが命を巡らせる様子は、鮮やかに彩色されて描かれている。 前作『しでむし』は背景の多くを敢えてモノクロにすることで、主役となるシデムシやアカネズミを際立たせていたけれど、今作は、背景や、ギフチョウ以外の様々な生き物たちも、鮮やかに彩色されている。ひとつには、蛹が季節の移り変わりの中で、それでもそこに変わらずあることを効果的に示すため、背景の色を強調しているのだろう。そして、主役となる生き物が彩色されていると考えるなら、今作での主役は単にギフチョウに留まらず、それを取り巻いて命を巡らせる生き物たち全体に広がっているといえるのかもしれない。
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