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史記 武帝紀(二) の商品レビュー

4.2

19件のお客様レビュー

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2013/09/20

北方謙三の中国歴史小説はいつもながら熱い。この巻では若い霍去病が活躍。霍去病ってちょっとした伝説ですね。解説の中で、北方謙三は中島敦に大きな影響を受け、「李陵」が短編であったことに対して、この長編を書き上げたとあった。僕も大好きな中島敦の「李陵」の名がこんなところで出てくるとは嬉...

北方謙三の中国歴史小説はいつもながら熱い。この巻では若い霍去病が活躍。霍去病ってちょっとした伝説ですね。解説の中で、北方謙三は中島敦に大きな影響を受け、「李陵」が短編であったことに対して、この長編を書き上げたとあった。僕も大好きな中島敦の「李陵」の名がこんなところで出てくるとは嬉しい限り。

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2013/09/01

遂に司馬遷が登場する。二十歳。彼が淮水に向かい最初の旅を終えたあと、将軍になる直前の18歳の霍去病と会話する。少し長いが、書き写す。 「私は、戦は嫌いなのですよ、霍去病殿。避け得ることができる愚かさが、戦だと私は思うのです」 帝が愚かだと言っているようなものだが、そういう意識は...

遂に司馬遷が登場する。二十歳。彼が淮水に向かい最初の旅を終えたあと、将軍になる直前の18歳の霍去病と会話する。少し長いが、書き写す。 「私は、戦は嫌いなのですよ、霍去病殿。避け得ることができる愚かさが、戦だと私は思うのです」 帝が愚かだと言っているようなものだが、そういう意識は司馬遷にはないらしい。 「司馬遷殿は、匈奴をどれほど御存知なのですか?」 「深く知っているわけではありません。しかし戦をせずとも、なんとか付き合っていく方法はあるはずです。それを言う廷臣はいないのですか?」 「匈奴は、戦のために生きるような民が、作っているような国です」 「片方では、関市などやりながらですか?」 「そうなのですよ。どんなに優遇しても、無駄ですね。闘わずにいられなくなるのが、匈奴の男たちです」 「平和に暮らしていれば、そして豊かさがあれば、戦など起きない、と思いますね」 「死んだ学識で考えれば、ですよ」 「私の学識が、既に形骸となっている、と言われるのか、霍去病殿?」 「そういう答しか出てこないなら」 司馬遷の顔が、蒼白になった。怒ると、顔を紅潮させるのではなく、青ざめるようだ。そのぶん、怒りは深く暗いものに感じられた。 それ以上の言い合いにはならなかった。 霍去病が、わざわざ入ってきて、司馬遷と話そうとしたのだということが、桑弘羊にははっきりわかった。霍去病の、人への興味の持ち方が、まだ桑弘羊には掴みきれない処がある。 「失礼します」 桑弘羊だけに言い、司馬遷は部屋を出ていった。 霍去病が、低い声で笑った。 「頭で、考えたことがすべて、という人ですね。」 「馬鹿にしているのか、霍去病?」 「まさか。あの人が政事に携わったらどういうごとになるのか、考えただけです」 「で、どうなると思った?」 「理路で割り切れないものを認めなければ、政事はできません」 「なるほど。それで戦は?」 「戦もですね。たったひとりの勇猛さが、戦の流れを変えたりします。勇猛さは理路では割り切れません」 「言っている意味はわかる。司馬遷に何がたりないと、おまえが考えているかも」 「あの人の足りなさは、政事でも戦でも、ほんとうに見ようとしていない処ですよ。それだけです。役人の考えようなことは、つまらないと決めてかかっている、と俺は思いました。それならば、役人が思いつきない大きなことを、陛下に語れるのか。それも駄目ですね。細かいごとに、入り込みすぎるのでないか、と思います」 「司馬遷はもっと深いところへ行く、という気がするがな。それにしても、おまえの生意気な言い方を聞いたら、衛青は張り飛ばすだろうな」(218p) まるで現代の尖閣諸島問答のようではある。この古典的な「武力優先か、話し合い外交優先か」論争の是非は置く。ここでは司馬遷の頭でっかちを年下の霍去病に批判させる処が面白い。確かに司馬遷は「現実」に即しては語っていなかったと思う。果たしてこれから司馬遷はどう変わってゆくのか。注目したい。 「史記 衛将軍驃騎列伝」で蘇健が戦い敗れて部下を捨てひとりだけ逃げ帰った場面が、この小説にも出て来た。衛青は処断がわからなくて、武帝に処罰を任せたのではなく、衛青自身の戦略の大きな判断ミスを蘇健の贖罪に変えてもらったことで、恩賞の代わりを受けたという形にしていた。判断は武帝にあったのではなく、衛青にあったのである。つまり、司馬遷の史記では武帝が(李陵と違い)蘇健の罪を減じたと描いたが、北方版では大将軍の判断だったとなったのである。 解説に於いて、この北方謙三「史記」執筆の動機が「高校の時に読んだ「李陵」を再現したい」ということにあったことを明らかにしていた。だとすれば、このあとの展開は司馬遷の見た「史記」とは全く違ったものになるだろう。 2013年8月11日読了

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2013/08/27

霍去病、才能の片鱗を見いだし始める。 世界史にも出てきたけど、この史記でなるほどーと。 それにしても敵味方関係なく、魅力的な人物がたくさん出てくるなー。

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2013/07/07

1巻よりもさらに面白さはアップ。キャラクターもますます個性を増し、輝き出してくる。 しかもついに司馬遷登場。ここから彼がどうなっていくのやら。 面白いのは、主役級の人物、衛青とか霍去病とか武帝とかに、あまり共感を抱けないんだよね。冷酷だったり生意気だったり傲慢だったりして。 で...

1巻よりもさらに面白さはアップ。キャラクターもますます個性を増し、輝き出してくる。 しかもついに司馬遷登場。ここから彼がどうなっていくのやら。 面白いのは、主役級の人物、衛青とか霍去病とか武帝とかに、あまり共感を抱けないんだよね。冷酷だったり生意気だったり傲慢だったりして。 でもサブキャラの匈奴の王とか漢の文官とかにはすごく感情移入できる。 そういうちょっと「倒錯した読み」ができるのも、僕がこの小説にずいぶん入れ込んでいる要因の一つなんじゃないかな。

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2013/07/02
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※このレビューにはネタバレを含みます

電車の中で少しずつ読んでいたので、読み終わるまで1週間以上かかってしまいました。。。 昔に比べて本当に本を読むスピードが遅くなっています^^; 三国志や水滸伝に比べると登場人物は若干地味ですが、基本的には史実基づく話なので臨場感はありますね^^

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2013/06/30

武帝記その2巻。 衛青の活躍で江南(今の長安の西の地域)を奪った漢。匈奴の単宇が亡くなり、内部争いでその間平和。でも漢は次を武帝が考えて衛青に指示を。霍去病が表の舞台に。いろいろ新しい登場人物が出てきておもしろくなってきています。司馬遷も出てきています。 続きが見たい!

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2013/06/27

何だか面白くなってきたぞ。素直な感想である。 第二巻になり、さらに登場人物が現れ、ますます話の展開が楽しみになってきた。

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2013/06/23

張騫が帰って来れたし、司馬遷も登場! 年齢を重ね大将軍となった衛青と、若い衛青を見ているかのような霍去病との対比が印象的でした。

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2013/06/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

★2013年6月22日読了『史記 武帝紀 2』 北方謙三著 評価B+ たびたびその将軍としての資質を皇帝劉徹から試されたたたき上げの衛青は、遂に将軍まで昇進。対匈奴戦の中心人物になる。漢はオルドス河南の地を奪還し、匈奴は大打撃を受ける。 一方、匈奴では、一族の長、単于を伊穉斜(いちさ)が奪取。漢の衛青将軍と匈奴の伊穉斜単于の争いとなる。 一方、張騫は、匈奴を逃れ、部下の大半を失いながら、不毛の砂漠を抜け、西へ、大月氏国、大宛などを訪問し、帰国を目指す。

Posted byブクログ