ヨハネスブルグの天使たち の商品レビュー
「スペース金融道」の作者で割と最近ちょこちょこ聞くので、借りてみた。 DX9というアンドロイドを軸にすすめられる短篇。 2篇目の「ジャララバードの兵士たち」がよかった。 流浪の日本人、ルイ(本名・隆一)とアメリカの軍人ザガリーの道中。 殺されたかつてのルイの同級生、ナ...
「スペース金融道」の作者で割と最近ちょこちょこ聞くので、借りてみた。 DX9というアンドロイドを軸にすすめられる短篇。 2篇目の「ジャララバードの兵士たち」がよかった。 流浪の日本人、ルイ(本名・隆一)とアメリカの軍人ザガリーの道中。 殺されたかつてのルイの同級生、ナオミをめぐって展開する軍の暗部。 DX9は単なるアンドロイド、ではなく本来は金持ち用の歌う楽器として流通したが、武器として改造されたり、人格の転写をしたりと多機能。 余談だが、初音ミクが三次元化するとこうなるんかなーと思ったりした。
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時間軸が現代のSFとでもいえるのだろう。 歌姫こと日本製玩具のDX9が全編に登場する連作となっています。 毎日大量のDX9が空から降ってくるという設定、これが現実だとしたらシュールすぎる世界ということになるのかな。 民族問題など関係ないやと思っている自分に対して「そうではない。目...
時間軸が現代のSFとでもいえるのだろう。 歌姫こと日本製玩具のDX9が全編に登場する連作となっています。 毎日大量のDX9が空から降ってくるという設定、これが現実だとしたらシュールすぎる世界ということになるのかな。 民族問題など関係ないやと思っている自分に対して「そうではない。目を背けるな」と言われている気がしました。 かなり異色の作品ですが、一読をお勧めします。
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戦争やテロを題材にした連作集。1作目、2作目あたりは興味深く読んだがそれ以降は登場人物や舞台がごっちゃになってうまく話が入ってこなかった。やっぱり通勤で細切れに読んでるとだめですね。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日本製の愛玩AI玩具ロボットDX-9が全編通じて重要な役割となる連作短編集。歌うロボットだということで、初音ミクのイメージもあれば、名称からして往年のキーボード名器を彷彿とさせる。 ただその扱いはひどいもので、愛玩されるシーンなどひとつもなく、ある時は顔を潰されて自爆兵器として、ある時は言論思想監視の先手として、ある時は耐久実験中に企業が夜逃げして自動的に何度もビルから落ちて…、可哀想になってくる。 昔々に読んだ、ディックやバラードの作品を思い出す風味。デストピアまでとはいかないが、重たく苦しい、そして十分ありうるから光景が想像しやすい近未来予想図。読後感はなんともやるせないが、この空疎な感じがこの作品集の味わい何だと思う。これはこれで好きな読後感である。
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南ア、NY、アフガン、中東でのテロやゲリラ、戦争など、今の新聞の国際面に頻出する地域・テーマを扱っていて、こうしたリアリズムと同時代性が注目されたのだろう。DX9みたいなロボットがほぼ当たり前になりつつある今、これだけリアルに描かれると、もはや事実に取材したフィクションに思えてく...
南ア、NY、アフガン、中東でのテロやゲリラ、戦争など、今の新聞の国際面に頻出する地域・テーマを扱っていて、こうしたリアリズムと同時代性が注目されたのだろう。DX9みたいなロボットがほぼ当たり前になりつつある今、これだけリアルに描かれると、もはや事実に取材したフィクションに思えてくる。そしてこれはSFではないと思う。SFはもっととんでもないサイエンス&フィクションでもって、未来を正確に予測し、人間や世界の真実を突くものだ。この本は、限りなく現実のことでもって現実のことを書いている。 『ヨハネスブルグの天使たち』マンデラを思わせる少年と少女の物語に、旧訳聖書の時代を思わせるようなエピローグ。一番SF的? 『ジャララバードの兵士たち』アフガン米兵ハードボイルド。いやこれも現実に起きてそうな話。 『ハドラマウトの道化たち』オリエンタリズムが濃厚。多様性の中の同一性と同一性の中の多様性について考えさせられる。ほか自己同一性のこととかちょっと考えさせられすぎ? 『北東京の子どもたち』団地以外のエリアのことが気になり過ぎちゃって。 『ロワーサイドの幽霊たち』この話を読み飛ばしていて、大森望の解説まで読んでから気づいて。結果いちばん衝撃を受けた。9.11についてはあまり向き合いたくないというか、やはりショックでずっと避けていると思う。タワーに突っ込んだテロリストの人生なんか気にとめる価値もないと思っていたけど、モハメド・アタという名前があることに気づくと何とも言えない気持ちになる。もう、そろそろ、9.11のことをたどっていってもいいのかもしれない。
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(収録作品)ヨハネスブルグの天使たち(直木賞(2013上/149)候補)/ロワーサイドの幽霊たち/ジャララバードの兵士たち/ハドラマウトの道化たち/北東京の子供たち
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人間の業と本質、国家・民族・宗教・戦争・言語がテーマだそう。 なかなか理解するのが難しい。 今までに読んだことのない世界観ではある。 この雰囲気でミステリを描いてくれたら好きかも。
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南アのヨハネスブルグ,アフガニスタンのジェララバード.ニューヨークは9.11などテロや紛争が背景となっている近未来SF.登場人物は話によって変わるがDX9という日本製のロボットがどこでも登場する.全体的にちょっと切ないトーンでまとめられてる.
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図書館で借りる。近未来のSFストーリーなんだろうけど、人の在り方は変わらない。自分がその世界にいたのならと思える程リアリティのある世界観で、とても面白いと思った。 アニメーションとか映像で見たいと思った。
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廉価で耐久性の高い日本製ホビーロボット・DX9。世界中に普及し、本来の用途とは違う想定外の様々な使われ方をしている。それは5つの都市それぞれの混乱と絶望と少しばかりの希望を映し出すーー。 かつてのディストピアはあり得ない世界、或いは退廃というファッションでした。しかし昨今のSF...
廉価で耐久性の高い日本製ホビーロボット・DX9。世界中に普及し、本来の用途とは違う想定外の様々な使われ方をしている。それは5つの都市それぞれの混乱と絶望と少しばかりの希望を映し出すーー。 かつてのディストピアはあり得ない世界、或いは退廃というファッションでした。しかし昨今のSFのそれは、避けられない衰退と混沌の未来、現在とつながる地平にある。生活水準が下がっても生きていける覚悟をしておこうと思っています。。
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