決壊石奇譚 の商品レビュー
鉱物に持っている漠然とした印象と、登場人物たちの生真面目さやひたむきさや瑕疵や頑なさが――とても近しく思われて、切なくなった。 それでも、時間を経てもそこにある石から感じる、安定と安心とが彼らの心を迎えてくれることを――期待できるラストシーンだったと思う。
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11月に行われたジュンク堂でのトークイベントでサインを入れてもらった大切な一冊。ほんとうは年が明けてから読もうと予定していたのに……あと1日を我慢できずに読んでしまった。しょうじき、浅慮すぎたのではないかと考えずにはいられない頑なさに、ひとの想いをこじらせないでほしかった、とおも...
11月に行われたジュンク堂でのトークイベントでサインを入れてもらった大切な一冊。ほんとうは年が明けてから読もうと予定していたのに……あと1日を我慢できずに読んでしまった。しょうじき、浅慮すぎたのではないかと考えずにはいられない頑なさに、ひとの想いをこじらせないでほしかった、とおもわずにはいられなかった。悲劇のうえに輝く友情は一度でじゅうぶんだし、その不自由を甘んじて受けなければならない理由は個人にはない。けれど、琥珀が記憶したあのひとの生きざまはあまりにも気高かったから、理解されにくかったのかもしれない。
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人の気持ちなんてわかるはずないのに、決めつけてしまうほど、裏切ったという罪の意識は強かったのだろう。 でもきっと誤解だってわかるはず。そう感じるラストでよかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルに惹かれて手に取った一冊。 石の不思議な力や様々な作用、石の記憶を読み解く能力等ミステリアスでファンタジックな設定がとても好みで楽しめました。 "石が決壊する"とか言葉選びのセンスがとても良いですね。 登場人物達の人を想いやる心の尊さと、想いが深過ぎてしまったが為にすれ違ってしまう苦しさが丁寧に描かれていて、読んでいて切なくなってしまう部分も。 ラストも良い余韻を残してくれる素敵な作品でした。 想いを引き継いだ二人が良い方向へ向かってくれれば、と願うばかりです。
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三木さんの新作♪ 期待を裏切らない面白さでした!鉱物好き、男子の友情、時を超える記憶、と個人的な萌え要素がこれでもかーという感じで、しやわせな読書のひとときでした。 舞台は遠野かなーそれとも新潟あたりかなー?前半は、天狗とも噂される大地と、都会からの転校生 徹の穏やかなエピソー...
三木さんの新作♪ 期待を裏切らない面白さでした!鉱物好き、男子の友情、時を超える記憶、と個人的な萌え要素がこれでもかーという感じで、しやわせな読書のひとときでした。 舞台は遠野かなーそれとも新潟あたりかなー?前半は、天狗とも噂される大地と、都会からの転校生 徹の穏やかなエピソード。中盤になり、徹の父 航が帰省して大地と出逢い、動き出す過去の記憶。大地の祖父、伝が死ぬまで待っていた人とは?航が大地を連れて、逃げるように地元を離れたがる理由は?そこにあるのは友情なのか、それとも裏切りと復讐なのか…?ドキドキわくわく。 コレクターではないけど、鉱物は昔から好きです。オーケン石が見たくて、遠くの博物館まで遠征したり、岩手の海岸で瑪瑙を探したり。テレビ石ことウレキサイトは、今も手元にあります。またミネラルフェアに行きたくなったぞ。 ラストがかなり引っ張るので、どうなっちゃうかと心配したけど、明るい可能性を匂わせる終わり方に、ほっとため息。このラストシーンも好きだけど、もうちょっと長く読みたかったかも?
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思わせぶりな物語の〆方!どーしてくれんのよ?この悶々と切ない気持ちを。ハッピーエンドを想像できるからまだ良いけど。世代を引き摺る程の後悔の念を継承していながら(主人公の父)、逃げの一手ばかりと言うのは解せないな。それ程強い後悔なら「どうぞ気の済むようにしてくれ」って潔くならないも...
思わせぶりな物語の〆方!どーしてくれんのよ?この悶々と切ない気持ちを。ハッピーエンドを想像できるからまだ良いけど。世代を引き摺る程の後悔の念を継承していながら(主人公の父)、逃げの一手ばかりと言うのは解せないな。それ程強い後悔なら「どうぞ気の済むようにしてくれ」って潔くならないものかな。守りたいもの(主人公)があるからかな。ところで三木さんの作品って、どれもそこはかとなく何気にビミョーに腐センサーの針を反応させる様な気が…。
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導入部はなかなか凝っていたが、恐れの対象が人間相手では、あそこまでは。 理屈の通じない化け物相手がしっくりくる?
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近頃、なんだか石づいてます。 呪いのかかった殺生石、火星からの隕石、ときて、今回は「決壊石」。 人が強い想いを抱いて石に触ると、その想いが石に流れ込む。 それが石の器としての容量を超えて溢れ出したときを石が「決壊」したといい、その石は決壊させた人の強い想いを記憶として宿す。 ...
近頃、なんだか石づいてます。 呪いのかかった殺生石、火星からの隕石、ときて、今回は「決壊石」。 人が強い想いを抱いて石に触ると、その想いが石に流れ込む。 それが石の器としての容量を超えて溢れ出したときを石が「決壊」したといい、その石は決壊させた人の強い想いを記憶として宿す。 決壊石の記憶を読むことができる特殊な力を持ち、祖父から石と記憶を引き継いだ大地。 舞台である北国の田舎に越してきた徹は、駅に降り立ったときに感じた一陣の風に似た大地と、彼の語る石(鉱石)の話に惹かれる。 徹と大地の話を中心に、良治(りょうち)と伝(つたえ)、航(わたる)と賢一という彼らの祖父や父親の世代の話がそれぞれの決壊石を通して、絡みあいつながっていく。 石の記憶は読み取るだけならまだしも、後悔などの感情までも自分のものとして受け継いでしまうので不条理というか、厄介……。受け継いだ子たちが自分のものではない苦しみに囚われて不憫です。 読者目線だから思うことだとわかっていても、徹も良治も航も、もっと自分と相手の信頼関係に自信を持ってほしいと思うことが度々。 相手を大事に思うあまり、嫌われること・赦されないことを怖がり、一人で秘密や罪の意識を抱え込んで、苦しむ姿がもどかしくて、見ていて悲しい。 徹と良治と航。血のつながりなんて関係なく、真面目すぎて優しすぎるところがとても似ている。 闇に囚われた徹が、大事だと想い・想われている人たちのもとへ還ってきますように。 明治~昭和の中期頃と思われる時代がお話ととても合っていて、きれいで少し哀しいけれど優しい世界でした。 三木笙子さん、次は帝都シリーズを読んでみよう♪
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個人的にはちょっと期待外れ。 この本を読む(浸る)のに自分は年齢が高過ぎなのかも。 設定・アイデアは面白いけど、お話は物足りなかったです。
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