開店休業 の商品レビュー
「戦後思想界の巨人」吉本隆明氏による食のエッセイと、その長女ハルノ宵子さんによる追想文。ちなみに次女はあのよしもとばななさん。 文庫本「キッチン」を何度も読み返してきた。悲しいことがあるたびに繰り返し開いては、強くなったようなまだまだがんばれるような気がした。 こんなに芯の強い女...
「戦後思想界の巨人」吉本隆明氏による食のエッセイと、その長女ハルノ宵子さんによる追想文。ちなみに次女はあのよしもとばななさん。 文庫本「キッチン」を何度も読み返してきた。悲しいことがあるたびに繰り返し開いては、強くなったようなまだまだがんばれるような気がした。 こんなに芯の強い女性を描く人の背景には、きっと幼い頃からお母さんの作る変わらない味があるに違いないと勝手に思い込んでいた。 ところが、その吉本家のお母さまは料理を作ることも食べることも嫌いで、「“お袋の味”は存在しない」というではないか。驚いた。そういえば本の中に出てくるのも、「家の近くにできた店のびっくりするくらいうまいかき揚げ丼」とか「ふらっと立ち寄った店のかつ丼」だったなぁ。 食べるものは、たしかにその人をつくる。身体も思い出も。でも人は、食べたものだけに左右されるわけではない。
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戦後思想界の巨人と呼ばれたかの思想家の後年の穏やかな食エッセイ。刺々しく荒々しく道を歩んで来られた方もいろんな方向に己を持った人だたのだろうな。 娘さんは父親が母親が大切だったのだろうなあ、 とも思わせてもらえました。 その当人達にしか分かり得ない部分をこうやって世界に届ける事に...
戦後思想界の巨人と呼ばれたかの思想家の後年の穏やかな食エッセイ。刺々しく荒々しく道を歩んで来られた方もいろんな方向に己を持った人だたのだろうな。 娘さんは父親が母親が大切だったのだろうなあ、 とも思わせてもらえました。 その当人達にしか分かり得ない部分をこうやって世界に届ける事に なるのはこの家族の生き方なんでしょうが。
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吉本隆明の晩年の食に関するエッセーと、両親の介護をやり遂げた長女さんの追想記。思想界の巨人はお体裁はしない本音の人だった。 買い物かごをさげて谷中辺を歩いていると、昔聞いたこともある。糖尿病が進行しておもらしをしても、家の中をいざって移動しても、隆明さんらしくてとても素敵な人。 ...
吉本隆明の晩年の食に関するエッセーと、両親の介護をやり遂げた長女さんの追想記。思想界の巨人はお体裁はしない本音の人だった。 買い物かごをさげて谷中辺を歩いていると、昔聞いたこともある。糖尿病が進行しておもらしをしても、家の中をいざって移動しても、隆明さんらしくてとても素敵な人。 後期のエッセーの内容はもう頭の中がぼんやりしているんだ。最後の食事は「どん兵衛」だったとか・・・、本当に人間らしいわざとらしくない生き方を優しい眼でみていた(世話していた)長女さんのレクイエムになっている。
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食べ物の話でありながらそうでもないような。という書評?が どこかに書かれていましたが、うん確かにそんな感じであるような。 長女さんは漫画家だったのですね。知りませんでした。 偉大な吉本さんであっても家庭においては困った父さん。 なんだか吉本さんが身近にかわいらしく感じられました...
食べ物の話でありながらそうでもないような。という書評?が どこかに書かれていましたが、うん確かにそんな感じであるような。 長女さんは漫画家だったのですね。知りませんでした。 偉大な吉本さんであっても家庭においては困った父さん。 なんだか吉本さんが身近にかわいらしく感じられました。 開店休業、というタイトルも吉本さんらしい。 事情は違うとはいえ母が料理をほとんどしなくて父が台所の メインを司っていたところは我が家と同じ。 我が家の父の料理は吉本さんと違って?なかなか上手でしたが 親近感を覚えながら読了しました。 匂いも味も、その人を失ったら再現することはほとんど不可能。 美味しかった料理よりまずかった料理のほうが 懐かしいのはもうそれを二度と食べることはないと わかっているせいなのでしょうかね。 坦々とした長女さんの文章に、長女さんだけの悼みを 静かに感じます。
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ずっと読みたいと思っていた吉本隆明さんの本。 食のエッセイなら読みやすいかなと手に取ってみた。 まず「dancyu」で連載されていた吉本隆明さんのエッセイを読んで、そのエッセイの隠れ(?)エピソードやその他の思い出をハルノ宵子さんの書き下ろしエッセイで読むという構成。 お父さん...
ずっと読みたいと思っていた吉本隆明さんの本。 食のエッセイなら読みやすいかなと手に取ってみた。 まず「dancyu」で連載されていた吉本隆明さんのエッセイを読んで、そのエッセイの隠れ(?)エピソードやその他の思い出をハルノ宵子さんの書き下ろしエッセイで読むという構成。 お父さんの思い出話に娘さんが冷静につっこむ図と言っていいかもしれない。 もちろん愛のあるつっこみです。 毎日家族で囲む食卓は、いつも美味しい料理が並ぶわけではない。(毎日作ってくれているお母さん、ごめんなさい) 時には食事中に喧嘩をしたり、誰かが怒り始めたり、はたまた泣き始めたり、毎日一緒にいるとそういう時間も避けられない。 この本を読んでいると、そういう時間の温かさを感じる。 家族間で食の好みが合わなかったり、病気になってしまって食事制限が必要になったり、食事をめぐるあれこれは簡単に解決することばかりではなかったはず。 でもハルノ宵子さんのエッセイが描き出す家族の食卓は、そんな困難を笑い飛ばすかのような明るさがある。 家族で共有しているいろんな思い出をお裾分けしてもらって、私も自分の家族の食卓のあれこれを本当は愛しているのかもしれないなと思った。 この本を最後まで読み終えたら、ちっとも特別じゃない毎日のごはんが愛おしくなるはず。 もちろん美味しそうなごはんの話もたくさんあるので、空腹時に読むのは要注意。
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彼がもうこの世にはいないということが、 実感をもって迫ってきました。 亡くなったことがまだ実感できていなかったけれど、 時系列にならんだこのエッセイは、 彼の最期の日々を静かに伝えてくれました。 みんないなくなってしまうなぁ
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ばななファンにはお馴染みの吉本家の食のおはなし。 これから少しずつでも吉本隆明さんの残したものを読んでいきたい。
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【読前メモ】 13060911産経新聞読書欄に紹介。 評者の松崎之貞氏曰わく「吉本氏のエッセイを完全に食っている」という宵子さんの文章に興味がわいた。
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思想界の巨人の最後の仕事がdancyuの食のエッセイだったいうのは意外。そして巨人の大好物が「味の素」だったというのは、さすが、の一言。
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