幸福の遺伝子 の商品レビュー
「幸福の遺伝子」を持つ少女と男性講師の物語。「幸福の遺伝子」とは一体……結論はやや肩透かし感があるが、SNSやテレビなどのメディアが絡んでくるあたりが面白い。
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挫折した作家ラッセル・ストーンの、自信のないカレッジ講師っぷりが面白い。ということはだ、僕が高校生の時の、あの先生やあの先生も、手探りで悩みながら教えていたんだろうなぁと気付く。それが分かっただけでもこの本を読んだ意味がある。
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書くことと生きることに背を向けてしまった物書きが、サラリーマン講師として出会ったアルジェリア人女学生。 遠い異国の過酷な歴史と現状、それに対して彼女のもつ揺るぎない明るさに、彼は困惑する。 そして魅せられる。 確信をもって読み進められるメタフィクション。 踊るように歩き、泳ぎま...
書くことと生きることに背を向けてしまった物書きが、サラリーマン講師として出会ったアルジェリア人女学生。 遠い異国の過酷な歴史と現状、それに対して彼女のもつ揺るぎない明るさに、彼は困惑する。 そして魅せられる。 確信をもって読み進められるメタフィクション。 踊るように歩き、泳ぎまわる、豊かで確固たる手ざわりをもった物語。 物語。 こういうものを読みたい、といつも思っている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
巻頭にカミュの言葉。謎の女性はアルジェリア出身。作文講義の教師が不幸な生い立ちにも関わらず前向きな性格の女学生の存在に注目する。彼女はあえて「美人ではない」と表現される。外見から受け取る女性の恩恵はここでは影響されないことが示される。アルジェリア出身というのは苦難な生い立ちの代名詞。 チクセントミハイのポジティブ心理学が話題になったのは数年前からなのでちょうど流行に乗った内容なのかもしれない。 この物語を描いているのは誰か。幸福な遺伝子を持つタッサか、それを見つめる作家か、それともパワーズ本人の神のような手によるものか。 ** 「そうは言っても、あの場所はとても美しい。できれば皆に間近で、港から町を見てもらいたいと私は思う。きっと誰もが感動するだろう。生命にあふれる町。私たちの家(シェ・ヌー)。」 ときどき英語の詩や文章の中であえてフランス語で“chez nous”と表現を見かけるのだが、英語がネイティブの人にはどういうイメージが喚起されているのだろうか。「私たちの家」…それは私とその家族だけではなくて旅人もいらっしゃいというような朗らかな雰囲気のような気がするのだが。ムーミン谷のような。
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小説の中に世界がおさまっていて、尚且つ広がりを持っている。そういう小説を書けるのは私が知っているところではピンチョン、稲垣足穂、そしてこの人。
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読者力を試される作品。 本作品と「エコー・メイカー」の 2 作品しかまだ読んでいないが、 パワーズは圧倒的な力量を持つ作家だ。 メタ視点を持つ作品は好きだが、 視線の先の物語が充実してこそのメタ視点、 おいそれと使えるテクニックではないと思うが、 本作品では見事な読後感を味わえる...
読者力を試される作品。 本作品と「エコー・メイカー」の 2 作品しかまだ読んでいないが、 パワーズは圧倒的な力量を持つ作家だ。 メタ視点を持つ作品は好きだが、 視線の先の物語が充実してこそのメタ視点、 おいそれと使えるテクニックではないと思うが、 本作品では見事な読後感を味わえる。
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幸福の遺伝子を持つといわれた、アルジェリア人の女学生。 彼女をめぐり、大学講師、カウンセラー、遺伝子解析会社の社長、テレビキャスターなど様々な人が絡み合う。 文学の哲学? 科学の哲学?
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「エコーメイカー」が出たと思ったら、ずぐにこの本も出てうれしいかぎり。 私にとっては村上春樹よりリチャード・パワーズ、早速購入して読む。 本作はかなり科学の知識が導入されていて、なんだか理工系の本読んでいるような気になるのだが、それでもやはり人と人の距離感が近いというか、人の息...
「エコーメイカー」が出たと思ったら、ずぐにこの本も出てうれしいかぎり。 私にとっては村上春樹よりリチャード・パワーズ、早速購入して読む。 本作はかなり科学の知識が導入されていて、なんだか理工系の本読んでいるような気になるのだが、それでもやはり人と人の距離感が近いというか、人の息づかいが感じられるのがパワーズらしい。なんか“冷たい温かさ”とでもいうか。 メタ・フィクションであることは冒頭から読んでいてわかったけど、本作の核になるのは物語るということ。小説に対して真摯に向き合っている作者の態度が伺える。 このところガルパンにはまってしまっていて、読書ペースガタ減りだこりゃ。
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