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実定法学入門 の商品レビュー

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2009/10/04

ロースクール時代に入る前に著された書籍であるが、ロースクールが日本に造られた現在にこそ相応しい法学入門だと思う。真面目に法学を学ぼうとする人は、是非手にとって欲しい一冊だ。 ロースクールというものの現実の状況は、法学に対しての認識が若干甘いのではないかと思われる。 法学において...

ロースクール時代に入る前に著された書籍であるが、ロースクールが日本に造られた現在にこそ相応しい法学入門だと思う。真面目に法学を学ぼうとする人は、是非手にとって欲しい一冊だ。 ロースクールというものの現実の状況は、法学に対しての認識が若干甘いのではないかと思われる。 法学において、一応充分なレベルとはどんなレベルか。わたしの考えでは、超有名判例くらいは既に読んでおり、さらに自力で判例や論文が一応読み解けるレベルではないかと思う。 しかし、そうしたレベルに達するような教育というのは、実は相当厳しい教育である。 この法学入門は、執筆当初は易しい部類に入る法学入門であったようだ。団藤重光先生の法学入門などと比べると、たしかに易しい(というより、団藤先生の法学入門は、すでに入門ではないといって差し支えない)。 しかし、月日が経つうちにだんだんと難しい書籍になり、今では「いきなり判例を読めと指示される恐怖の入門書」という扱いではなかろうか。畳の上の水練はせずに、いきなりプールに放り込む方式をとる、というのは本書の中の言葉であるが、なかなかに手荒い方法ではある。 とはいえ、法学においての一応充分なレベルというのは、判例を自力で読めるレベルであるから、このくらいの方法を取る方が合理的である。 とにかく法学は、ビシバシと鍛え、読んで考えて書いての繰り返しでやるほかない。それは、どのロースクールの生徒にも等しく求められていることのはずである(一度でほとんどを理解するある種の天才は別としても)。 そしてそれをした後に、初めて深く理知的な議論があるのだということを感じさせる本である。

Posted byブクログ