ディアスと月の誓約 の商品レビュー
乾石さんの新作。 いつものシリーズかと思いきや、それにしてはなんか 表紙のイメージが違うなあっと思ったら 全く違うおはなしでした。 でも雰囲気はいつも通り。 濃い闇がない分、読みやすいファンタジー。 どの作品でも月ってのが結構重要な位置を占めてくるなあ。 にしても月を引き下ろ...
乾石さんの新作。 いつものシリーズかと思いきや、それにしてはなんか 表紙のイメージが違うなあっと思ったら 全く違うおはなしでした。 でも雰囲気はいつも通り。 濃い闇がない分、読みやすいファンタジー。 どの作品でも月ってのが結構重要な位置を占めてくるなあ。 にしても月を引き下ろして大地をつくる、とか いやー神話だ、すごい。 表紙はディアスなのだろうか?目、赤いし。 いやにかわいらしいので、ちょっとイメージ違うけど。 結構最初からもっと力強いイメージだった。 ナナニがいきなり助けてくれたのがびっくり。 まあ物語内ではそれだけの時間と心の交流がなされていた、ということか。 つーか、タンダについては結構スパイ疑惑ずっと あったんだけど、なにもなくてよかった。 毎晩殺される夢をみる、とか、ないわー、こわいわあ。 でも、やっぱディアスが背負うんだろうなあっと 思っていたんだが、まさかその手があるとは・・・。 傷つかない強さより、耐え忍び、そうしてまた立ち上がる強さ、かあ。 本当の強さ、欲しいなあ。
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めぐる命の物語。 ただのエピソードの一つかと思っていたらそれが実は伏線になっていて、本筋には関係のない話をしているようで、後々それが生きてくる。うまい書き手だと思う。最後は少し走り気味かもしれないけれど、そう解決をつけるのか、と面白く読めた。 すべてのものは生まれ、そして死ぬ。死んで、そして生まれる。永遠の繁栄、永遠の犠牲、でも必要なのは、ともに生きること。生きるために人はファンズを殺す。でもそれは必要な分だけ、命を頂く。皮も骨も、血の一滴さえも無駄にはしない。そうして生き、そうして死ぬ。生きるために必要なものは何なのか。緑の凍土のために殺されたファンズの命をあがなうために、今度は人の命を捧げる。同じだけ。そうして天秤が釣り合った時、もう一度、人とファンズの共生の時が始まる。愚かで傲慢な人間に対して、ファンズは知恵が満ちるのを待つのだ。ああ、これは世界の寓意。警告の書だ。
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初めて手に取る作家さん。ファンタジーが読みたかったのと、表紙の美しさに惹かれて。 かつて南からきた魔導師がふたつの月を引きずり降ろして築いた王国”緑の凍土”。極寒の地に唯一繁栄を続ける王国を支えるのは月を身に宿したサルヴィの角であった――― 主人公はこの王国の王子でありながら家臣...
初めて手に取る作家さん。ファンタジーが読みたかったのと、表紙の美しさに惹かれて。 かつて南からきた魔導師がふたつの月を引きずり降ろして築いた王国”緑の凍土”。極寒の地に唯一繁栄を続ける王国を支えるのは月を身に宿したサルヴィの角であった――― 主人公はこの王国の王子でありながら家臣の家で育てられたという設定。本人にその気がなくとも王位継承の争いに巻き込まれて追放され、サルヴィの角を巡る冒険に出ることになり・・・とわくわくする設定ではあるんだけど、なんだかあっさりしすぎ。試練はびっくりするほど簡単にクリアできるし、兄がふたりいるはずなのに一人はほとんど出てこない。しかも長男が。王道ストーリーなだけに物足りない。冒険に出たら失敗を重ね悔しい思いをしながらも成長してほしいし、王位継承といったらもっと謀略張り巡らしてどろどろしてほしい。なんだかんだいいつつ、平和で甘っちょろい国だなぁと。ご都合主義なところも目につく。もっと人物を掘り下げてエピソードも増えて本の厚さが3倍くらいになればもの凄く面白くなるかも。 景色の描写だけは本当にキレイで良かった。
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装丁に惹かれて手に取った一冊。 静謐な空気を纏いながらゆっくりと語られ始める物語。 神秘的な情景描写で紡がれる世界にいつの間にかどっぷりと浸っていました。 それがとても心地好い。 物語が進むにつれて成長していくディアスとアンローサの姿に心打たれます。 特に良かったのはアンローサと侍女ナナニの冒険。 ナナニのその後が気になりますね。 序盤がゆったりペースだった分、後半は駆け足気味に感じました。 後半部分でもうちょっと頁を増やしてくれても良かったかも、というのは欲張り過ぎでしょうか。 とても美しい物語でした。
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かつて魔法使いが月を引き下ろして創った王国〈緑の凍土〉。極寒の地で唯一豊饒の恵みを享受するその国を支えるのは、伝説の鹿サルヴィの角。それが崩れるたび、王国は災厄に見舞われてきた。王子でありながら家臣に育てられた少年ディアスは、そこで王位継承争いとは無縁の穏やかな日々をおくっていた...
かつて魔法使いが月を引き下ろして創った王国〈緑の凍土〉。極寒の地で唯一豊饒の恵みを享受するその国を支えるのは、伝説の鹿サルヴィの角。それが崩れるたび、王国は災厄に見舞われてきた。王子でありながら家臣に育てられた少年ディアスは、そこで王位継承争いとは無縁の穏やかな日々をおくっていた。しかし異母兄オブンの奸計により、突如故郷から追放されてしまう。同じ頃、姪であり幼馴染みのアンローサにも危機が迫っていた。角の崩壊に怯え、度重なる危機に疲弊した王国、そしてディアスとアンローサが窮地に立たされたとき、彼らの選択が未来を切り拓く――。 オーリエラントの魔道師シリーズとして同じ世界観の小説を送り出している著者ですが、ハマる人はすごく好きなんだろうけど、ちょっととっつきづらさもあるなという印象のままここまできています。何だろう、爽やかさが足りないのかな・・・?小難しい感じがファンタジーのわりに重みを与えてるとは思うんだけど、でも純粋に魔法とかありえないものを楽しむという感じでもいい気がするんですよね。ディアスとアンローサが惹かれあう理由もよく分からなかったし。王もあんまり好きじゃないな。ナナニとアンローサの関係にほっこりしてました。戻ってきますように。装丁が毎回とても素敵で、それだけで読みたくなる。
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久しぶりのファンタジー。表紙の絵のほわほわ感に騙されるけどすごく熱いお話かなと思いました。あと色や風景の描写、言葉が綺麗。ただ使われる語彙が時折難しく感じたので乾石さんはすごく国語に詳しい方なのかなと思ったりした。勉強しよう…
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かつて魔法使いが月を引き下ろして創った王国〈緑の凍土〉。極寒の地で唯一豊穣の恵みを享受するその国を支えるのは、伝説の鹿サルヴィの角。それが崩れるたび、王国は災厄に見舞われてきた。 王子でありながら家臣に育てられた少年ディアスは、そこで王位継承者争いとは無縁の穏やかな日々をおくって...
かつて魔法使いが月を引き下ろして創った王国〈緑の凍土〉。極寒の地で唯一豊穣の恵みを享受するその国を支えるのは、伝説の鹿サルヴィの角。それが崩れるたび、王国は災厄に見舞われてきた。 王子でありながら家臣に育てられた少年ディアスは、そこで王位継承者争いとは無縁の穏やかな日々をおくっていた。しかし異母兄オブンの奸計により、突如故郷から追放されてしまう。同じ頃、姪であり幼馴染のアンローサにも危機が迫っていた。 角の崩壊に怯え、度重なる危機に疲弊した王国、そしてディアスとアンローサが窮地に立たされたとき、彼らの選択が未来を切り拓く……。(あらすじより) 久々に思いっきりファンタジーに浸って読んだ。 描かれる雪原の美しさ、恐ろしさが圧倒的で息をのんだ。 キャラクターも多く、関係が複雑だったり立場がさまざまだったりしたが、それぞれしっかりキャラが立っていて混乱することも少なかった。 特にアンローサの侍女ナナニと、ディアスの育ての父マイハイとその家臣キースはほんと優秀で頼りがいあって非常に素敵だった。アンローサとナナニの関係もいい。ナナニかわいい。 ディアスとアンローサのロマンスはベースにはあるけれどほんの少しで、絶妙な量だった。 しいて言えば、物語としての部分が多く、キャラクター同士のかけあいが少なめなのが少し寂しいか。せっかく魅力的なキャラクターたちなので、もっと読んでみたかった。 全体的に都合のよい部分も多く、描写がわかりにくいところも多かったけれど、神話のようなもの、として読むとすんなり落ちた。久々に楽しいファンタジーだった。
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装丁がとてもきれいで素敵です。 登場人物たちのイメージが、自分のよりかおさないけれども。 魔導師のような文体の装飾は少ないので、あの勢いに酔う感覚はあまり味わえないけれども、その分読みやすくはあった。 サルヴィの生まれるくだりと、ナナニがすきでした。すっくと立つ獣と月の歌。 あと...
装丁がとてもきれいで素敵です。 登場人物たちのイメージが、自分のよりかおさないけれども。 魔導師のような文体の装飾は少ないので、あの勢いに酔う感覚はあまり味わえないけれども、その分読みやすくはあった。 サルヴィの生まれるくだりと、ナナニがすきでした。すっくと立つ獣と月の歌。 あと、アンローサが苦労しながらも、うきうきと雪で洗濯をするところ。
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久しぶりに冒険ファンタジーを読んだ。初めての作家さん。 新刊本コーナーに並んでたので手に取ってみたのだけど、おもしろかった! 世界観とか人生観とかじんわりくる。 シリーズものも書いてるようなので、読んでみようっと。
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龍の力を得た魔法使いが世の理を無視して月をおろして創った王国、緑の凍土、群れなして駆けるファンズ、これらの美しい世界に魅せられます。最後に閉じられた環の要となったイェイルの言葉、『誰か一人におしつける運命ではなく、、、みんなで苦しみを分ちあい、、、」にほっとしました。
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