熱望 の商品レビュー

水生大海【著】

2013/06/22

初、水生作品。とても読みやすく短時間で読了。
レビューでイヤミスとあったので手にしてみましたが、イヤミス度が低かったので、てっきり作者は男性かと思ったら女性でしたね。でも、おもしろかった。
人間、ちょっとしたきっかけで自覚もないままに落ちてしまうのかもしれないな。

2013/06/20

▼もしも春菜が悪事に手を染めずに普通に生活している女性なら、なかなか好印象な人だろうな。困ったときにすぐ助けてくれる人が現れるし、すぐ新しい環境にも馴染んじゃう。
▼人を騙すようなヒドイ女の話なのに、都合良く自己中心的に物事を考えているのに、なぜか、根っこからの悪い女じゃないんだろうね・・・と、庇ってしまいたくなるキャラクターでした（もともと騙された側だったし）。料理や掃除を手際よくこなしたり、人に対して適度に愛想良く関わっていたり、どこかポジティブで、ごく普通の女性としての一面が見え隠れしていたからかな？　
▼悪事に対して垣根が低いというか、まぁいっかーと軽く流されてで悪い方へ足が向く春菜。ちょっと立ち直るきっかけがあったらよかったのに･･･。
▼老人たちの情報網って侮れないのね。春菜を良いようにこき使って、じーさん、ヤルなぁ〜と思いました。やはり年の功ですかね。そして、ラストもビックリ。ここにもウワテがいたのね。

2013/05/30

清原春菜・３１歳。
結婚詐欺にあった上に派遣切りされ、満足に食事もできなくなった彼女はある日気付く。
取られたものは取り返せばいいのだ。

今回も素敵に厭な女を描いてくれました。これはもう流石です。

春菜はかなりの自己中ではありますが、でもその論理の組み立ての一つや二つは身に覚えのあるもので。
ああ、いるよな、あるよな、って思っているうちに、あれよあれよと転がり落ちていく春菜。
そして何が凄いって、ものすごい転落人生なのに悲壮感が全くない。
ついでに葛藤と後悔もないからか。
このポジティブさに引っ張られて、どんどん読み進めてしまいました。

春菜と絡んだ人たちも強烈でした。
中でも老人会。キッついわぁ～。
あとインタビューに答えてたもえちゃん。
彼女たちの境遇を想像するとしんみりしちゃうんですが、そこでほだされないのも流石。

ある意味とても爽快なイヤミス。堪能しました。

2013/05/15

痛々しい女が結婚詐欺にあい、自らも犯罪に手を染めていく。やってることは悪いけど、どこかコミカルで楽しめた。
でも、彼女もそもそも自分のことをもっとわかっていればこんな転落人生を歩むことなく普通の幸せを手に入れられたのかもしれませんね。
詐欺に合った男性はまあいいとして、助けてくれた喫茶店のご主人がお気の毒。それに、おにいさんのお嫁さんのもえちゃんも被害者だろうな。

2013/04/30

オンナが不幸になる話はあまり好きじゃないんだけど、なんだろ、この小説への好感度は。
犯罪に手を染めながらもそのキャラの憎めなさのせいか、堕ちっぷりの潔さのせいか。どうしようもないオンナなのに不思議といつの間にか味方したくなってくる。
イヤな話なのにイヤじゃない、こんなイヤミス読んだことない。