黒い壁の秘密 の商品レビュー

グリン・カー(著者),堀内瑛司(訳者)

2022/08/22

なかなか読み進まずちょこちょこ読んでやっと読み終えた。あだ名呼びや敬称など呼び方が変わるので人物名が分かりづらく誰のことを言ってるのか分からなくなるが、慣れれば読める。総合的には悪くはないが、ちょっとたるかった。また年月を置いて読みたくなる事があるかも。

2013/11/26

表紙に惹かれて評価を見たら良かったので購入。
読み始めて数ページで、この本大好きだなぁ…と、結末も知らないのに思ってしまった。
リューカーとジョージーの夫婦の掛け合いも面白くて、ツルリと光る頭のずんぐりしたオジサンがすごくイイ声で芝居の台詞を引用して喋ってる姿が自然と頭に浮かんでくるような…。
古典文学からの引用が多々出てくるが、全く詳しくない私でも気にならない、読みやすい訳だった。

黒幕は、割と早くにこの人じゃないかねと感じてしまったけれども、事件とは別でテッド青年の成長？を追う物語としても最後まで楽しめた。
リューカーシリーズは別名義も含めると今作が6作目らしく、この後も12作あるみたいなので、是非同じ創元推理文庫から全部出して欲しい。

2013/10/16

主人公は風貌と声がアンバランスな希代の名優、舞台監督、登山家。彼が3ヶ月の舞台[リチャード3世]を終えて、妻と休暇に訪れた田舎にて遭遇する遭難事故。実はそれは事故ではなく殺人事件だった。容疑者っぽい人物が次々と登場するのは一種のミスリードで、ミステリー好きには、ちと物足りないかもしれない。芝居じみた言動を繰り出す主人公と、それをたしなめる妻という夫妻の姿と、被害者の友人だという若い男女の対比が作品の中心をなす。沙翁の台詞はオリジナルじゃなく旧約聖書からの引用が多い、ということに自分の無教養を恥じる。

2013/08/23

湖水地方にやってきた俳優兼舞台監督のアバークロンビー・リューカーと妻のジョージナ。酒場で飲んでいるとユースホステルに滞在しているテッド、ヴェラから山に出かけたまま行方に分からないゲイの捜索を依頼される。後頭部に傷をおい川に浮かんでいたヴェラの遺体。数日前にも同じような場所で起きた事故。事件として捜査に当たるグリメット警部に協力するリューカー。州警察副本部長サー・ウォルターの語る水彩画を運んでいたトラックの事故。ユースホステルの管理人メイリオンの秘密。ユースホステルに滞在するジョーンズの嘘。リューカーから見つけた滝の黒い染み。

2013/06/04

イギリスを代表するシェイクスピア俳優兼舞台監督のリューカー。休暇で訪れた湖水地方で、新しくできたユースホステルの利用者が事故死した話を聞かされる。この地方には「太古の魂」による呪いや魔術の噂があって…。
このリューカー氏、元諜報部員で登山家でもあるという多才な人なんですが、見た目は「道楽者のブッダ」だそうで。すぐにシェイクスピアの言葉を引用して奥さんに呆れられています。(この奥さん、登場場面は少ないのですが妻の鏡だと思います。掛け合いは楽しいし、適度な控え目さと人懐っこさと頭の回転の早さ。素晴らしい。)けど人生経験を積んでいるため、疑問をもっても即捜査、と突っ走ることはありません。ドタバタの賑やかな素人探偵ものも好きですが、こういう落ち着きのある探偵も安心して読んでいられる良さがあります。スリルを味わわせてくれるのはクライミングや探検の場面。冒険映画みたいで、リューカー自身の楽しんでいる様子まで伝わってきます。文字の向こうに風景が見えてくるような描写もとても印象的。同じ景色を見てみたい。
方向オンチな自分には場所の位置関係が分かりにくかったのと、山岳に関する言葉から場所をイメージするのが難しかったのが残念。簡単でもいいので地図をつけてくれると助かったのですが…絵にしちゃうとほぼネタバレにもなるし…悩みどころですね。