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刺青の男 新装版 の商品レビュー

4.3

13件のお客様レビュー

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2024/04/25

ブラッドベリのどこが好きかと言われたら、物語の終わり方がいつも最高な所と答えます。 男の全身に彫られた不思議な刺青が、18編の物語を演じる形で進む短編集。下記は特に好きなもの。 「形勢逆転」 差別を加害者と被害者の立場が逆転した時、被害者だった方はどう動くか。よくある心温まる系...

ブラッドベリのどこが好きかと言われたら、物語の終わり方がいつも最高な所と答えます。 男の全身に彫られた不思議な刺青が、18編の物語を演じる形で進む短編集。下記は特に好きなもの。 「形勢逆転」 差別を加害者と被害者の立場が逆転した時、被害者だった方はどう動くか。よくある心温まる系の話ですが、最後の言葉が響きます。 「火の玉」 火星に宣教師が布教に行く話。神のあり方を今一度考えさせられる。 「今夜限り世界が」 終わる話。蛇口を閉めるシーンが印象的。 「町」 2万年待ち続け復讐する町の話。終わり方が最高にカッコいい。 「ゼロ・アワー」 ブラッドベリの書く子供は時折異常に怖い。錠が溶けるシーンから怖くてしょうがない。

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2023/06/08

短編集。 ブラッドベリの華氏451度が良かったので他も読もうと思い手に取った。 刺青の物語が動き出すってなんか変な導入だがSF感があっていいね

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2023/02/06

永遠の命いらない派の人間だったけど、揺籃期を越えた人類がどうやってものを考えるのか知らないで死ぬの、やだなと思わされた でもたぶん、この本みたいにふるさとあたらしさは常に在り続ける

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2021/02/19

全身に18の刺青を彫った大男。月あかりを浴びると刺青が動き出し18の物語を演じ始める。この前提は何?ブラッドベリにそんな理屈を求めても仕方ないので単純に18のストーリーを楽しむ。それは宇宙や原水爆、宗教、人種問題など当時関心の高かったテーマを取り上げている。そして不穏なエピローグ...

全身に18の刺青を彫った大男。月あかりを浴びると刺青が動き出し18の物語を演じ始める。この前提は何?ブラッドベリにそんな理屈を求めても仕方ないので単純に18のストーリーを楽しむ。それは宇宙や原水爆、宗教、人種問題など当時関心の高かったテーマを取り上げている。そして不穏なエピローグ。ここに来てブラッドベリが言いたかったことがわかる。世界には多くの問題が溢れ人類は互いに殺し合い滅びていく。当時広く浸透していた悲観的世界観を感じさせる。

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2020/01/30

青年の前に現れたのは、全身に美しい刺青が彫られた一人の男。未来を予言するというその刺青は、夜な夜な勝手に動き出すという。そしてある夜青年の見ている前で、刺青は動き出し様々な物語を語り始め…… というプロローグなのですが、しょっぱなからブラッドベリ節が炸裂します! この刺青の動く...

青年の前に現れたのは、全身に美しい刺青が彫られた一人の男。未来を予言するというその刺青は、夜な夜な勝手に動き出すという。そしてある夜青年の見ている前で、刺青は動き出し様々な物語を語り始め…… というプロローグなのですが、しょっぱなからブラッドベリ節が炸裂します! この刺青の動く描写というのが、妖しくも幻想的で、そして美しい。ブラッドベリを読むのは久々でしたが「これこれ!」とテンションが上がってしまいます(笑) そして刺青から語られる短編も多種多様。未来のテクノロジーを扱ったものから、タイムトラベル、宇宙ものなどなど。読み心地も幻想的な描写が光るものもあれば、切ないもの、心温まるもの、不気味なもの、奇妙なもの、とこちらも多種多様。このあたりはさすが名手だなあ、と感じます。 以下、印象的だった短編をつらつらと。 『万華鏡』は宇宙船が事故で壊れ、宇宙空間に投げ出されてしまった宇宙飛行士たちを描く短編。 確実な死という絶望と恐怖が近づく中で、最期に人は何を思い、願うのか。広大な宇宙空間を想像させるやりとりに、切なさや感動のある作品でした。ブラッドベリの自選短編集の表題作にもなっているそうですが、それも納得の出来! 『形勢逆転』火星に移住した黒人たちのある決断を描く短編。 ブラッドベリの、そして全人類の祈りと願いの詰まった作品だと思います。ストレートな話なのですが、このストレートさが気持ちいい! 『長雨』はずっと雨が降り続ける惑星が舞台。 個人的に雨自体はそこまで嫌いではないですが、靴のつま先や底に雨が染みてくると、途端に嫌いになります(笑)この話に登場する探検隊は、数日間、野宿のときもレインコートが役に立たないくらいの雨の中を行進するのですが、そりゃストレスだろうなあ。 そしてただの雨がここまで、不気味さを醸し出すとは…… 『ロケット・マン』は宇宙飛行士の父を持つ息子の話。 家族を愛しながらも、宇宙に囚われはるかな空を見上げ続ける父親。それをバカだとか、家族をないがしろにしていると言うのは簡単ですが、でもそうした愛すらも超えるロマンがあるというのも、また事実なのかもしれません。 ブラッドベリの『火星年代記』を読んだときも思ったのですが、ブラッドベリ作品の幻想や美しさは宇宙や未知の惑星に対しての、一種のロマンの結実なのではないか、と個人的には思うのです。この『ロケット・マン』も、切り口は違えど、そんな宇宙や未知の惑星への憧れが表われた作品のように思います。 『狐と森』は1938年のメキシコにタイムトラベルをした夫妻を描く話。 話の結末は割と分かりやすいのですが、この作品に描かれる監視・管理社会のイメージが強烈で、それがまたサスペンス感を盛り上げます。 『ロケット』は裕福ではない家庭の宇宙旅行をめぐる短編。 この作品集は全体的に不気味さのイメージの強い短編が多かったのですが、だからこそこの短編の優しい雰囲気は、強く印象に残りました。そしてこれもまた、宇宙への憧れやロマンが詰まった話でもあるように思います。 テーマや切り口はいろいろあるのですが、ところどころで『火星年代記』や『華氏451度』といった、ブラッドベリの名作のエッセンスも感じることができる短編集でもありました。

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2016/07/02

幻想的で抒情的なSF。この中の一つ「ゼロ・アワー」を原案に昨年アメリカでドラマが製作されました。シリーズ化には至れなかったものの中々の良作だったので原作に手を出したわけですが、ゼロ・アワーは期待したほどではなかったかなと。むしろこの短い話でよく13話もドラマ作れたなとドラマの方に...

幻想的で抒情的なSF。この中の一つ「ゼロ・アワー」を原案に昨年アメリカでドラマが製作されました。シリーズ化には至れなかったものの中々の良作だったので原作に手を出したわけですが、ゼロ・アワーは期待したほどではなかったかなと。むしろこの短い話でよく13話もドラマ作れたなとドラマの方に感心。「今夜限り世界が」「ロケット」「万華鏡」の3つが特によかった。半世紀以上も前の作品なのにみずみずしい。「珠玉の」という言葉がぴったりの短編集でした。

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2016/05/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

身体㊥に刺青の入った男。 あるときであった、老婆にも若い娘にも見える人に入れてもらった。昼間はただの刺青だけど、夜になると、動くんです・・・。 身体㊥の刺青が物語を語る。そして・・・ 男の右肩に描かれている刺青の物語を観ると・・・ 観るなよ と 言われると見たくなる。それが心理というもので・・・

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2016/02/13

「火星年代記」の次に読む、ブラッドベリの作品・・・。果たして今度はどんな物語が待ち受けているのだろうか・・・→またしても火星ものじゃねーか!!というのが率直な感想。でも、こちらは「地球から観た火星」の話が描けるから少し収録話の毛並みに違いが出せるかな。 「形勢逆転」はこの世に戦争...

「火星年代記」の次に読む、ブラッドベリの作品・・・。果たして今度はどんな物語が待ち受けているのだろうか・・・→またしても火星ものじゃねーか!!というのが率直な感想。でも、こちらは「地球から観た火星」の話が描けるから少し収録話の毛並みに違いが出せるかな。 「形勢逆転」はこの世に戦争や差別が残る限り、色あせることがない名作、1000年残るな。 藤子不二雄の絵柄で脳内再生される話が多かった。 非常に読みやすい。

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2014/04/27

2014/04/01/Tue.〜04/27/Sun. 「万華鏡」に出会えて良かった。泣いた。 『サイボーグ009』のラスト、ジェットの有名なセリフ「ジョー!きみはどこにおちたい?」とその後に続くシーンは、このお話が元ネタだそうで。 「今夜限り世界が」も好き。 「長雨」は、『...

2014/04/01/Tue.〜04/27/Sun. 「万華鏡」に出会えて良かった。泣いた。 『サイボーグ009』のラスト、ジェットの有名なセリフ「ジョー!きみはどこにおちたい?」とその後に続くシーンは、このお話が元ネタだそうで。 「今夜限り世界が」も好き。 「長雨」は、『ウは宇宙船のウ』(大西尹明 訳/創元SF文庫)にもあったね。雨の描写とラストが印象的。 「ロケット・マン」は、同じく『ウは宇宙船のウ』の「宇宙船乗組員」と同じお話(久々に読んでも泣けた…)。 「亡命者たち」は「亡命した人々」。 「ロケット」は「宇宙船」。 訳者が違うと、文章から受けるイメージも変わる(細かい部分でだけど)もんだなー。 読み終えた後、ゾ〜ッとする話は色々あったけど、中でも「コンクリート・ミキサー」は静かにジワジワと怖い。 先述の「ロケット」に登場するフィーオレロ・ボドーニさん。 なんて素敵なお父さんでしょう! いつか、彼も彼の家族も自由に宇宙を旅することのできる未来を願わずにいられません。 十八の短編を挟んだ、プロローグとエピローグもピリリと効いてます。

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2013/08/24

一日に一話ずつちょっとずつ読んでいきました。 読後に、独特の尾を引く感じは、何なんでしょうかね。いうなれば、それはブラッドベリの豊穣な想像力に触発されて、物語が終わった後もその続きをあたまで追っている感じ。それだけのパワーが18編のそれぞれの作品に宿っています。なんて、贅沢なんだ...

一日に一話ずつちょっとずつ読んでいきました。 読後に、独特の尾を引く感じは、何なんでしょうかね。いうなれば、それはブラッドベリの豊穣な想像力に触発されて、物語が終わった後もその続きをあたまで追っている感じ。それだけのパワーが18編のそれぞれの作品に宿っています。なんて、贅沢なんだ。 宇宙への進出が可能性に溢れた時代。それは想像力の挑戦であり、無限の源泉でもあったように思えます。 宇宙への進出が現実のものとなり、一歩ずつ前へ進んでいる現在。だからこそ、逆に、その可能性は区画整理され、宇宙進出の限界を無意識に理解しているように思えます。それだけに、そんな現在だからこそ、本書のような想像力に満ち満ちた作品は却って貴重な存在なのかもしれません。

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