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子どもへの性暴力 の商品レビュー

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2013/08/16
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※このレビューにはネタバレを含みます

表現規制反対を唱えるばかりで、現実に居る子どものケアを全くかえりみない団体が見受けられる中。本書は、執筆者が全員、被害者の支援に携わっている。 私が高く評価する点は3つ。 1 、性的問題行動について、時代の変遷による性的な役割やジェンダーの価値観の違いに触れている事。同性愛やトランスジェンダーのことを、積極的に取り上げてもいないが、性的問題行動として扱ってもいない。 2 、事例が具体的に、会話などを交えて表現されている事。子供の問題だけでなく、保護者に対して差し伸べられるべき支援の問題や、支援者自身が自身のPTSDによりトラブルを抱える可能性のあることなど、まさに『現場の支援』の諸問題を網羅しようとしている。 3 、文献が充実していること。また、法的支援の情報も充実していること。これに関しては、執筆者が学術的な背景を持ち、かつ現場の人でもあるためと言える。テレビやラジオで、上から目線のコメントを垂れている人、 『ではない』ということ。 以上の3つのポイントからもお分かりの通り。私はこの本を高く評価しています。 文字ばかりの本なので、一般向けとは言いにくいかもしれません。 しかし、 『曖昧な感情論や、厳密な根拠のない情報』では、子どもへの性的虐待を論じることはできません。 理想化された子供像や、性的な道徳を、『親業』と称したり、 『健全な青少年の育成のために』と称したりして、偏った情報や曖昧な感情論を押しつけてくる本も、少なくありません。 そのような意味では、この書物は、 「今まさに苦しんでいる子どもを助けるにはどうしたらよいのか」 と言う点を第一として、丁寧に解きほぐして、感情論や一面的な道徳論を排除した、支援のあり方を示してくれています。 私はそれを高く評価します。 性的虐待からの、サバイバーとして、とても高く評価します。

Posted byブクログ