必然という名の偶然 の商品レビュー
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短編集だった。腕貫シリーズを全く知らずに読んでたので、全くバイアスなしで。 1つ1つの短編は濃度の違いはあれ、おもしろかった。時間をいじった叙述トリックとか。 必然という名の偶然…。あくまで短編を束ねてるに過ぎず、全体を貫くテーマという訳では無いと思うんだけど、本のタイトルにした以上、なんらかの必然性がほしい。すべてが偶然の上に成り立つ事件だったことは間違いない。だけど、それが「必然という名」という言葉で括れるんだろうか?と考えると、ちょっと違う気もする。むしろ「偶然という名の偶然」というか。もちろん事件の背景にはなんの理由もきっかけもないということはありえないから、何かしらの必然はあったんだろうけど、それを偶然で包み込むためには相当な必然性を要するみたいなパラドックスが起きそう。書いていて、偶然ってなんだ?ってなんだかわけがわからなくなる(笑)。 解説を読む前にこの感想を書いたのだけれど、解説には「論理のアクロバット」とあった。ふむ。ネガティブに捉えれば、読む人にとっては、論理的ではない(というか現実的ではない?)という評価になるかもしれないということだろうか。このあたりに必然と偶然の線引や定義があるんだろうと思うし、論理とコンテクスチュアルな要素をわけて考える必要があるということなのかもしれないなと感じた。
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腕貫探偵シリーズの番外編。 前作のモラトリアムシアターを読んでから今作を読んだ方が私的には良かったのかも。
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腕貫さんの勤める櫃洗市で起こる、腕貫さんの出てこないミステリ短編集。櫃洗市を構成するホテル〈シンヒツ・ロット〉やら私立囲櫃学園やら国立櫃洗大学やら、お馴染みの舞台が登場する。 腕貫さん好きなので、出てこないとやっぱり淋しいけど、このシリーズのノリは好きだし各編ストーリー展開に意外性があって楽しく読めた。 6編のうち、最初と最後が同じコミュニティの話で、あとは登場人物はバラバラ。 「エスケープ・ブライダル」 同級生倉橋の4回目の結婚披露宴に出席すべくシティホテル「シンヒツ・ロット」に来たケーカクこと恵本角樹。倉橋の3番目の花嫁は、披露宴当日に蒸発し、死体で発見されていた。実は、4度目の結婚披露宴は犯人をおびき出すための狂言だった。 結局語り手のケーカクが犯人で驚いた(動機弱すぎ!)。解決してめでたしな感じだったけど、倉橋が2度結婚に失敗したのは事実だったことに気づいて後味悪かった(笑)。 月夜見ひろゑのキャラがマンガチック。裏腕貫さん的にシリーズ化できそう。 「偸盗の家」 最初の誤配エピソードが面白かった。同姓同名で前夫と現夫というなかなかこんがらがりそうな設定。そして継父と連れ子の愛憎…あなおそろしや。 「必然という名の偶然」 これも同姓同名トリックの変型と言えるかな。同窓会名簿の各卒業年度の7番目の人がここ数ヶ月で20日ごとに不慮の死を遂げてるらしい、という法則の信憑性を問題にした話。 いや確かにこれだけでその法則性を当てはめるのは乱暴かもしれないけど、逆にこれほど条件の合う同姓同名が沢山いるだろうか、との思いの方が遥かに勝る。法則性は正しいに一票(笑)。 「突然、嵐の如く」 豪雨で道が寸断されて櫃洗市と石間木市の行き来が出来なくなったことで起こった事件。石間木に居るはずの妻が、櫃洗市で車に放火しようとして体に火が移った挙げ句慌てて飛び出したところ車にはねられ死亡した、と警察から電話が入る。 携帯が今ほど普及してないとはいえ、他人の携帯から電話したら着歴で発信元バレるだろ、とツッコミ入れたくなる話だった。 男性教師をたぶらかそうとする女生徒、怖い。 「鍵」 この話は結構好き。かつて住んでいたワンルームの鍵を見付けたことで、出来心からそこに忍び込んでみる主人公(馬鹿)。ふいに戻ってきた今の借り主と思しき人物に慌て、思わず首を締めてしまう。警察が来て自白するが、殺したのは自分の妻だった。妻も自分をその部屋におびき寄せて殺そうと計画してた、って話。 まぁ、鍵は替えようぜ貸し主。 「エスケープ・リユニオン」 再び第一話に出てきた月夜見ひろゑやらオヤカタやらの同級生界隈の話。 西澤さんってたまに中年のコミュニティを扱うけど、これが結構私にハマる。この同級生達のやり取りも面白く読めた。 前半は第1話でいい雰囲気になった倉橋と鍵谷由衣を取り持とうと同級生達が即席の同窓会を企てるふりしてお膳立てし、彼らは退場、後半は残った同級生のうち芸能人の長渕が殺される。 中心のぼやけた話で、エピソード単位ではなく、時間単位で切り取った物語になってるところが珍しく感じた。
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短編ながら長編さながら事件が巻き起こり、あっという間にふわっと解決で物足りないわ櫃洗スピンオフだけに、氷見刑事やら月夜見さんなどなどでてきたけど、腕貫さん成分も欲しいな。そしたらスピンオフにはならないか…。
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櫃洗市が舞台の連作短編。しかし、腕貫探偵はいない。最初と最後の事件は登場人物が共通しているが、後は別に人物が登場する。男女のどろどろや嫌な関係のものが多いし、ほとんどが後味が悪い。恐らくはそれを狙っているのだろう。ただ、倉橋君と鍵谷由衣さんは上手くいってほしいな。後日談はあるかな...
櫃洗市が舞台の連作短編。しかし、腕貫探偵はいない。最初と最後の事件は登場人物が共通しているが、後は別に人物が登場する。男女のどろどろや嫌な関係のものが多いし、ほとんどが後味が悪い。恐らくはそれを狙っているのだろう。ただ、倉橋君と鍵谷由衣さんは上手くいってほしいな。後日談はあるかな。
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腕貫探偵のスピンオフ? シリーズでお馴染みの登場人物も出てきますが、腕貫探偵が不在なことで物足りなさは感じました。 事件は解決してるけど、なんとなく腑に落ちない感じ。
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そんなキャラ強くないと思ってたのに いざ腕貫さんがいないと途端に味気ないというか。 連作なのにまだ救われたけど 大富豪探偵だけじゃちょっとはまりきれないみたい。
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櫃洗市を舞台にした短編集。大富豪探偵月夜野ひろゑは最初と最後の2編に登場。1、男のくだらない見栄で殺された二人と残された人がかわいそう。最終話で残された二人に新しい未来が訪れてよかった。2.すっかり騙された。榎本裕子が犯人かと思った。3.一つの考えに固執しちゃいけないのね。でも偶...
櫃洗市を舞台にした短編集。大富豪探偵月夜野ひろゑは最初と最後の2編に登場。1、男のくだらない見栄で殺された二人と残された人がかわいそう。最終話で残された二人に新しい未来が訪れてよかった。2.すっかり騙された。榎本裕子が犯人かと思った。3.一つの考えに固執しちゃいけないのね。でも偶然?4.最後まで読んで「えー、そっちにいっちゃうの?てかこの女子高生なんなの」5.奥さん夢の為にだんな殺そうとしたの?こわっ!!6.いじめたほうは忘れてもいじめられたほうは忘れない。
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〇 概要 櫃洗市を舞台としたミステリ。大富豪探偵,月夜見ひろゑが探偵役を務める作品が2作品,氷見,水谷川の二人の警察が活躍する作品が2作品,探偵役が登場しないミステリが2作品。「日常の謎」系とはいいながら,殺人事件も多く、「腕抜探偵」シリーズより,ミステリっぽさは上がってる。 〇 総合評価 櫃洗市を舞台とした短編が6つ収録されている。一番面白いと感じたのは「鍵」という作品。これは,倒叙ものっぽい話で,ミステリとして十分楽しめる。大富豪探偵である月夜見ひろゑが登場する話が2つあったり,氷見,水谷川の警察コンビが活躍する話もあったり,櫃洗市シリーズらしい雰囲気がある作品もあるが,そうでもない作品もある。全体的にブラックなテイストの話が多いが,何よりとりとめがない話が集められているという印象。つまらないという訳ではないが,面白みもそれほどなく…平凡な短編集というデキかな。 〇 エスケープ・ブライダル 倉橋譲という男は,大学時代に結婚を約束した女に逃げられ,その後も2度,結婚式前に女に逃げられている。数年前には結婚式当日にほかの男と心中され,今回が4度目の結婚式へのトライ。その結婚式に呼ばれた恵本角樹と岡館眞人が主人公。恵本角樹と岡館眞人は,ことあるごとに賭けをしていて,前回の結婚式では恵本角樹は「今度も逃げられる」に賭け,あろうことか仁科純代という花嫁を鎮西耕平という人物に拉致監禁させ,口封じのために心中に見せかけ二人を殺害していた。そのことに疑いの目を向けていた鍵谷由衣という女性が,倉橋譲の4回目の結婚式の花嫁になるという偽装工作を行い,恵本角樹に「今度は逃げられない」に賭けさせ,何らかの動きをしないか,監視していたのだった。裏で大金を使ってこの計画をサポートしたのが大富豪探偵の月夜見ひろゑだった。 恵本角樹の犯行の動機にさっぱり説得力がない。恵本角樹視点で描かれている部分があり,少し叙述トリックっぽい記述もあるのだが…いくらなんでも荒唐無稽過ぎる。意表を突くストーリーではあるのだが…。 〇 偸盗の家 テレビのローカルニュースで有名な女子アナウンサー「榎本裕子」が主人公。この作品は,時制を錯覚させる叙述トリックが使われている。榎本裕子の夫である「榎本忠純」が殺害され,裕子の娘「智恵美」が容疑者になる。真相は,裕子は「榎本忠純」という男と別れ,同姓同名の男と再婚しており,最初の夫があとの夫を殺害したというもの。時制の叙述トリックを使われているのだが,ミステリというより奇妙な設定を楽しむ短編。なお,氷見と水谷川の刑事コンビが解決にあたる作品である。 〇 必然という名の偶然 標題作だが,それほど面白くない。主人公「江原広和」のところに,旧友の「研野太加嗣」から電話が掛かってくる。研野は,同窓会名簿の7番目の名前の男が謎の死をしていること気付いたという。最新の同窓会名簿で7番目の名前になっているのが「江原」であり,事件が起きるとすれば今夜だという。探偵役を務めるのは広和の姪の嘉穂。研野は過去に何らかの犯罪を起こしてしまった様子であり,そういった経緯から注意して同窓会名簿を見るようになり,この偶然に気付いたのではないか。結局,江原は死なず,代わりに羽生野由佳という女性が死んだ。そして研野が自首をする。さらっと読んでしまったが,オチらしいオチもなかった。何か,裏があるような気もするのだが…。 〇 突然,嵐の如く 和田宏という男性が主人公。宏は高校教師である。宏の妻は櫃洗高校の駐車場で,駐車場で火だるまになって死体となって見つかる。どうやら,宏の妻は不倫をしていたようであり,その痕跡を隠すために,火を付けようとして事故死した様子である。オチは,二三枝から宏が迫られるというもの。短編小説のデキとしてはいたって平凡。登場キャラもそれほど魅力的でもない。作品の設定としても,櫃洗市が舞台である必然性も乏しい。 〇 鍵 萩本昌司その妻,里恵が主人公。昌司が,里恵をかつて住んでいた部屋で誤って殺害してしまうが,実は,里恵が昌司を殺害しようとしていたという話。倒叙ものっぽいが,昌司が犯人であることがばれたのは,奇妙なオブジェがある部屋に入った際に,全く驚かなかったことを氷見と水谷川が不審に思ったからというもの。これはミステリとしてなかなかよくできた作品。ただ,櫃洗市が舞台である必然性は乏しい。 〇 エスケープ・リユニオン 再び月夜見ひろゑが登場。同窓会名簿の住所などを手掛かりにいろいろと推理をするが,いろいろあって竹原という人物が長渕という男を殺害してしまうという話。登場人物こそ,エスケープ・ブライダルと同じだが,まぁ,ごく平凡な話
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腕貫さんのいない櫃洗市は殺人ばかり…さくさく解決するんだけどちょっと動機が怖い。 やっぱり物足りないのは私が腕貫さんの存在を必要としているからです。
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