ビッグ・ドライバー の商品レビュー
「モダン・ホラーの帝王」スティーヴン・キングによる、2010年刊行の中編集"Full Dark, No Stars"から、既刊の「1922」に続く邦訳集。「1922」同様に”暗く容赦ない”2篇を収録。奇しくも、「1922」収録の2篇は男性が主人公だったのに対し...
「モダン・ホラーの帝王」スティーヴン・キングによる、2010年刊行の中編集"Full Dark, No Stars"から、既刊の「1922」に続く邦訳集。「1922」同様に”暗く容赦ない”2篇を収録。奇しくも、「1922」収録の2篇は男性が主人公だったのに対し、こちらは2篇とも、平穏な日常生活の中から突如恐怖と苦痛に見舞われた女性を軸に描かれている。 詳しくはこちらに。 http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2014-07-17
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理不尽に強姦された女性作家の復讐劇と、長年連れ添った夫が殺人鬼だと知った妻の恐怖劇の2編を描く、キングにしては珍しい超自然現象なしのクライム物。物語の進行が散漫で筋を追いにくいと思うのよねー…
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起こってほしくないこと、なってほしくない展開ばかりで、読むのがヤーな気持ちなのに、なぜかぐいぐい読まされる。伏線の小出し加減と、こっそりしのばせてあるユーモアのせいだな。 「ビッグ・ドライバー」は不愉快の割合が多いので、嫌い。「素晴らしき〜」はラムジーの造型が絶妙。
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2013年9月11日読了。「恐怖の四季(スタンド・バイ・ミー)」「午前4時を過ぎて」に続く、キングの3冊目の中編小説集。既読の「1922」とセットになっており、あちらの主人公が男性なのに対してこちらの2篇は主人公が女性。田舎道でレイプ犯に拉致され辛くも逃れた女流作家・テスの復讐を...
2013年9月11日読了。「恐怖の四季(スタンド・バイ・ミー)」「午前4時を過ぎて」に続く、キングの3冊目の中編小説集。既読の「1922」とセットになっており、あちらの主人公が男性なのに対してこちらの2篇は主人公が女性。田舎道でレイプ犯に拉致され辛くも逃れた女流作家・テスの復讐を描く表題作と、30年近く連れ添った夫が殺人鬼であることを知った妻の葛藤を描く「素晴らしき結婚生活」の2篇を収録。裏表紙のあらすじを読むだけで滅滅とした気分になるが、それでも先が一気に読まされてしまうストーリーテリング力はさすが!私が読んだ近年のキング作品の中では最も「面白かった(語弊のある表現だが)」。どちらも異常な環境とはいえ、現実に起こりうる脅威・シチュエーションについて描いており、テスの内部や夫ボブが隠し持っていた「狂気」の表現にはキングならではの書き込みを感じるが、ストーリーも「急転直下」というより、もし・現実でこのような事件に人が巻き込まれたとしても、このように対応するしかないのではなかろうか・・・と思わされる。それでいてどちらのお話もラストではちょっとホッとさせられるのが巧いところ。
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抜き差しならない状況に追い込まれた恐怖を描くことで人間の本性をあぶりだすのがキングという作家。キングの描く「抜き差しならない状況」というのは死に直面することだ。自分の命が危うい恐怖からさらにエスカレートして、相手の命を奪わなければならない状況に陥ったら・・・汗。 勧善懲悪の時代...
抜き差しならない状況に追い込まれた恐怖を描くことで人間の本性をあぶりだすのがキングという作家。キングの描く「抜き差しならない状況」というのは死に直面することだ。自分の命が危うい恐怖からさらにエスカレートして、相手の命を奪わなければならない状況に陥ったら・・・汗。 勧善懲悪の時代劇でもなく現代は法治国家であるなかで、この本に納められている2編では最終手段をとってしまう。相手はそうされても当然なのですが、なにか引っかかる描き方。どんな理由であれ、相手の命を奪った者が味わうことになる恐怖は「FullDark,No Stars」前半を収めた「1922」に描かれています。これで、無間地獄のようにもとに戻ってしまうという巧妙な構成にもなっており、もうキング凄すぎ! 「悪の行い」を法で裁こうとすることにより、さらに犠牲になってしまう人々をどうしたら良いのか?まったく恐ろしいシチュエーション。
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「1922」と同じ原著の後半で、同様に2つの長い中編小説が入っている。 気になったのは、どちらも主人公が情報収集する際、パソコンでインターネット検索をするところ。グーグルとか、グーグルアースとか、Firefoxとか、なじみ深い名前がそのまんま出てくる。キングはもともと、アメリカ人...
「1922」と同じ原著の後半で、同様に2つの長い中編小説が入っている。 気になったのは、どちらも主人公が情報収集する際、パソコンでインターネット検索をするところ。グーグルとか、グーグルアースとか、Firefoxとか、なじみ深い名前がそのまんま出てくる。キングはもともと、アメリカ人の日常生活を極めて具体的に描くから、野球選手や歌手、車の名前なども頻繁に出てきた。それと同じ流儀で、今度はいよいよパソコン活用の日常が、流れ込んできたのである。 もうひとつ、キングが描出する危機的状況は、まず「孤独」の輪郭が強調されるという点。まるで他者たちと隔てる四方の壁に囲まれて、そこに当然帰還するとでもいうように、主人公らは「孤独」に戻ってくる。そして、つぶやく。このへんが、現代人の状況を適切に描写していると思った。 この本の2編とも、他者との隔絶がまずあって、主人公は「孤独」のなかに舞い戻る。個室でインターネット検索をすることが、とりあえず彼女らの「やるべきこと」である。壁の向こうの他者は恐怖の対象である。だから個室が必要であり、個室に戻らなければならない。 その意味で、はじめから典型的現代人は「地下生活者」なのである。「地下生活者」の無力感、救済不能性を、この2つの小説は暗示している。
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「ビック・ドライバー」と「素晴らしき結婚生活」の2本の短編。 分冊された「1922」の片割れ。 「1922」がとことん救いがなかったのに対して、こっちは救いと言えないにしろ、真っ暗ではない。 が、やっぱ、後味が悪いんだよね。そこがキングたるゆえんなんだろうけど。 2...
「ビック・ドライバー」と「素晴らしき結婚生活」の2本の短編。 分冊された「1922」の片割れ。 「1922」がとことん救いがなかったのに対して、こっちは救いと言えないにしろ、真っ暗ではない。 が、やっぱ、後味が悪いんだよね。そこがキングたるゆえんなんだろうけど。 2作とも、帯にあるように「日常が引き裂かれ、」た女性の話になる。彼女たちは「圧倒的恐怖」からもがき立ちあがろうとうする。 と、書くと称賛される行動のように思えるのだが…。 彼女たちも結局は、怪物、だからなのだろうか。 そう、善良なおびえる被害者であると見せかけて、彼女たちは決してそうではない。それは彼女たちが行動を起こしたからというわけではない。 いや、その行動の根底にあるのは強烈な<自己保身>だからなのではないだろうか。 きっと、同じ話を他の作家が書くと、彼女たちは戦うヒロインとして描かれるのだろう。 キングだって、一応そんな風に描いている。 が、それは所詮<エゴ>なのだと、キングはページの向こうでうすら笑ってるそんな気がした。 にしても、なんで毎度分冊しちゃうんだろうな。 「ランゴリアーズ」&「図書館警察」はやたらゴツかったので仕方ないなって思ったんだけど、コレと「1922」なら分けなくても、と思うんだが。 分けない方が原題「FULL DARK,NO STARS」が染みてきたと思うんだけどな。
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「素晴らしき結婚生活」は、長年連れ添った夫の正体に気づく場面の緊張感と夫に対する吐き気を催すような不快さの描写が良い。 「ビッグ・ドライバー」は復讐が簡単すぎるだろ!とは確かに思うけど、この女性が悲惨な状態からなんとか逃げ帰るまでがキング。 起承転結の「転結」よりも「起承」の部分...
「素晴らしき結婚生活」は、長年連れ添った夫の正体に気づく場面の緊張感と夫に対する吐き気を催すような不快さの描写が良い。 「ビッグ・ドライバー」は復讐が簡単すぎるだろ!とは確かに思うけど、この女性が悲惨な状態からなんとか逃げ帰るまでがキング。 起承転結の「転結」よりも「起承」の部分が見せ場だと思う。 そういう意味では、物語はオチが面白くないと、っていう枠からははみ出ている。
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妄想がまざっているとはいえスーパーナチュラルじゃないから不愉快さが際立つ。上手い。この手のはなしは家で読みたくない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日常が引き裂かれ、闇から圧倒的恐怖があふれだす! 巨匠キングが贈る「暗く容赦なき物語」2編 「ビッグ・ドライバー」 中年女性ミステリ作家のテスは、地方の図書館にイベントの講師として招かれる。 その岐路、ちょっとしたことから変更したことが、彼女の日常を引き裂くことになる。 拉致・暴行の末殺害されかかるも命からがら逃げかえる。 翌朝、彼女の心には「復讐」が刻まれていた。 日常的な飼い猫とカーナビを擬人的に描写し違和感なく会話させていることが素晴らしい。 「素晴らしき結婚生活」 もしも長年連れ添ってきた夫が連続殺人犯だったら…… 主婦のダーシーは、骨董屋の夫ボブが連続殺人犯であることを示す証拠を、 ひょんなことから発見してしまう。 これまでの結婚生活が、子どもたちの成長含め素晴らしいものであったことが彼女を苦しめる。 やがて本人の口から明かされる過去の犯罪。 そして彼女がとった行動とは――。 疑惑の翌朝に、夫が隣で自分を起そうとしたところに恐怖した。 長年連れ添った夫婦でさえ、相手を理解することのむずかしさ。 途中経過は残酷なものの二編共に結末は裁かれない。これは救いなのかもしれない。 また、実は著者あとがきが一番おもしろかったりする。 ミステリ :☆☆ ストーリー :☆☆☆☆☆ 人物 :☆☆☆☆☆ 読みやすさ:☆☆☆☆☆
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