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団塊ロストワールド の商品レビュー

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2016/02/24

日本の社会保障制度の限界に関して、 数字的な羅列が続き、 知っていることなのですが勉強となった1冊です。 参考文献としてやくに立つ1冊だと思います。

Posted byブクログ

2015/01/19

 本書は、現在の日本が置かれている現状について「人口減少・高齢化・雇用・所得・消費・財政・社会保障・産業構造・雇用情勢」と多岐にわたって考察しているが、それぞれの項目への深い切込みと考察の全体の整合性には、強い説得力がある。  「団塊の世代」が2007年から60歳を超え始め、20...

 本書は、現在の日本が置かれている現状について「人口減少・高齢化・雇用・所得・消費・財政・社会保障・産業構造・雇用情勢」と多岐にわたって考察しているが、それぞれの項目への深い切込みと考察の全体の整合性には、強い説得力がある。  「団塊の世代」が2007年から60歳を超え始め、2012年から65歳となることへの社会への影響は、既にさまざま語られてきているが、本書の「人口減少と高齢化による歪み」の姿は衝撃的である。  「今後の日本は県単位の人口が次々と消えるほどの影響を日本に及ぼす」との結論。  そして「年金制度」や「財政」などへの影響の詳細な分析と、「打出の小槌などない」との当たり前な結論は、日本は今後どうなってしまうのかとの思いを持つ。  その「労働市場」への影響や「団塊世代への年金受給で毎年2兆円以上の社会保障増」との冷静な考察。そして「貿易収支」や「金利・貯蓄投資」などのマクロ経済分析もそれぞれ個別では時折耳にする内容もあるが、本書のようにそれらの全てを改めて鳥瞰するように読むと、危機感は一層強く迫ってくる。  本書の内容で驚いたのはそれだけではない。「GDP比でみれば日本はアメリカ並みの小さな政府」だというのだ。  OECD諸国の数値を比較すると、「日本は政府支出も少ないが、それ以上に税収も少ないという特殊な条件にある」「経済規模でみれば社会保障費は少ないが、その給付が高齢者に偏っている」という。  ということは、日本は「税収構造や配分システム」の抜本的・全面的な変革が必要だということか。  本書で読む日本の現状は、社会システムを抜本的に組み替えるほどの全面的な変革が必要である。しかし、ひとつの改革も満足にできない現在の日本の政治にそんなことができるのだろうかという暗然たる思いを抱いた。  本書は、アベノミクスを取り上げているわけではないが「人口動態の側面から見て実質2%成長は困難」とも分析している。やはり「アベノミクスで明るい日本」というのは「見果てぬ夢」なのだろう。  本書では「活力ある日本経済維持への挑戦」としての課題も取り上げてはいるが、どれをみても実現は困難としか思えない。  また、本書では「円高」などを「六重苦」と経団連の代弁のように取り上げているが、日本経済の現状を見ると「円安」になったから「輸出」が伸びるほど単純ではない。  本書は、現状分析においては評価はできるが、「解決策」については今ひとつという思いをぬぐえないとも思えた。

Posted byブクログ