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現代の観光とブランド の商品レビュー

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2016/03/01

和歌山大学観光学部の研究者陣による23の論考集です。 観光学は学問スキームではなく、あくまで研究対象分野であることが全体を通して読み取れます。つまり、好意的に見るとかなり学際的であると言えますが、言い方を変えると雑多な印象を受けます。ともかく、マーケティング論、文化論、農学、情...

和歌山大学観光学部の研究者陣による23の論考集です。 観光学は学問スキームではなく、あくまで研究対象分野であることが全体を通して読み取れます。つまり、好意的に見るとかなり学際的であると言えますが、言い方を変えると雑多な印象を受けます。ともかく、マーケティング論、文化論、農学、情報工学、文学、言語学、地学、ケーススタディと分野が多岐にわたっていますので、個々の論考はを極めているわけではないですが、全ての章を理解するのは多少難しいでしょう。 13章のブランドの定義は、ケビン・レーン・ケラー氏のメインストリームであるブランド・マネジメント理論を極めて簡潔かつ充分にまとめたものであり、わずか8ページで価値のある説明がなされているため、観光を専門としない人にとっても読む価値があります。他方、本の題目のためか、ブランドという言葉が13章で示された定義に沿わないで使われている章も幾つかあるのは残念な点です。また、4章と11章もマーケティングにおける標準的なスキームを観光に適用しているため興味深いと言えます。 観光について、何がテーマになりうるのか、どんなことについて考えるべきなのかが概観できるという点で手元に置いておく価値はあります。

Posted byブクログ