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アメリカ黒人の歴史 の商品レビュー

4.1

15件のお客様レビュー

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2014/06/21

評価すべきはキング牧師以後、 すなわち公民権運動以後に1/3近くのページを割いていることであろう。 他書では割と公民権運動以後の記載が薄い。 それはまだこの時代のことを歴史として俯瞰されていないとも言える。 その様な中で70年以降のアメリカ黒人の歴史についての考察は 非常に興味...

評価すべきはキング牧師以後、 すなわち公民権運動以後に1/3近くのページを割いていることであろう。 他書では割と公民権運動以後の記載が薄い。 それはまだこの時代のことを歴史として俯瞰されていないとも言える。 その様な中で70年以降のアメリカ黒人の歴史についての考察は 非常に興味深く読める。 また、様々な人種差別是正政策の裏に、 政治的意図がどのように働いていたのか、 公民権運動以降の黒人の中での多様化についても知る所が多かった。 彼らのアイデンティティはどのように変わっていくのだろうか。 そしてこれは他人事ではない。 国内での人種の多様化が進もうとしている今、 そこに至るまでのバックグラウンドは米国と違えど、 彼らと同じような課題を我々は持つことになるのではないだろうか。

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2014/05/06

 岩波新書の『アメリカ黒人の歴史』の内容を、「その後の時代状況の変化を踏まえ、また、この間のアメリカ史研究の蓄積に基づいて、書き直すことを目指したもの」(p.213)。読み比べると「この間にいかに歴史認識が変化・発展したかを知」(p.215)ることができるらしい。具体的には岩波新...

 岩波新書の『アメリカ黒人の歴史』の内容を、「その後の時代状況の変化を踏まえ、また、この間のアメリカ史研究の蓄積に基づいて、書き直すことを目指したもの」(p.213)。読み比べると「この間にいかに歴史認識が変化・発展したかを知」(p.215)ることができるらしい。具体的には岩波新書の方は公民権法が成立してキング牧師が殺されて、というところでほとんどが終わり、20ページ程が90年代の黒人の貧困について、ということだったが、本書では4分の1程度が公民権以後の話になっている。  でも岩波新書の方を読んだのがだいぶん昔なので、読み比べというのができずに残念。結局、人間平等、とかいう思想はどうでも良くて、政治家の票取りゲームなんだなあということがよく分かる。ブラウン判決が現在では「骨抜き」にされている、というのがちょっと驚いた。現在の状況については、黒人で刑務所があふれかえっているということについての歴史というよりは社会学的な分析になっている。(14/05/06)

Posted byブクログ

2013/06/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

上杉忍『アメリカ黒人の歴史』中公新書、読了。副題「奴隷貿易からオバマ大統領まで」、四百年にわたる合衆国の繁栄を支えた裏面の差別史を的確かつ簡潔にまとめた一冊。歩みを振り返るだけでなく、今なお残された課題の指摘も忘れないすぐれた米国史。これぞ「新書」の力か。 http://www.chuko.co.jp/shinsho/2013/03/102209.html 黒人は人口比およそ数十%、彼らは一貫して最底辺に沈澱する人々であった。著者は黒人を炭坑ガイドのカナリアに喩える。それはアメリカ社会の危機をいち早く伝える役割を果たしてきたからだ。南北戦争と世界大戦、公民権運動…。エッジに全てが集中する。 危機をアメリカ社会に知らせる「カナリア」は同時に社会変革の最前線に常に立ってきたことをも意味する。自由と平等の建前の内実を実らしめんとしたのは最も虐げられた人々である。証言でその消息を綴る。読みやすく立体的に理解できるのも本書の魅力である。 改善と是正の漸進主義が米国黒人史の流れだが、過去四半世紀は白人保守革命の時代。脱人種の「新自由主義」は、かえって差別の構造を肯定し強化する方向へシフトする。このことはアメリカだけに限定される話ではない。多くの人に手にとってほしい一冊。

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2013/05/17

アメリカ史を黒人にスポットを当てて説明する一冊。 内容は非常にスッキリとまとめられており、読みやすくわかりやすい。 後書きでも触れられているとおり公民権運動以後の内容が 特におもしろく、産獄複合体に関する話題や、 監獄を農村部に作ることによる農村部のメリットなど 現代のアメリカが...

アメリカ史を黒人にスポットを当てて説明する一冊。 内容は非常にスッキリとまとめられており、読みやすくわかりやすい。 後書きでも触れられているとおり公民権運動以後の内容が 特におもしろく、産獄複合体に関する話題や、 監獄を農村部に作ることによる農村部のメリットなど 現代のアメリカが抱える問題に歴史の文脈の中で知ることができた。 ひとつひとつの話題に対する掘り下げが薄いのは 新書である以上仕方ないところか。

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2013/05/06

奴隷を最大限に働かせるために日常的に暴力が振るわれ、奴隷の衣食住コストは最低限にとどめられたが、奴隷は搾取できる労働力であり貴重な財産だから、価格が高騰してくると奴隷の健康維持、出産にはそれなりの配慮が払われた。 奴隷も白人、自由黒人の協力を得て北部やイギリスへ脱出した。 アメ...

奴隷を最大限に働かせるために日常的に暴力が振るわれ、奴隷の衣食住コストは最低限にとどめられたが、奴隷は搾取できる労働力であり貴重な財産だから、価格が高騰してくると奴隷の健康維持、出産にはそれなりの配慮が払われた。 奴隷も白人、自由黒人の協力を得て北部やイギリスへ脱出した。 アメリカの黒人大学で学んだ学生が母国に帰って独立運動に参加し、これらの国々が次々と独立したことが南部の黒人学生に勇気を与えた。

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