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大震災・原発とメディアの役割(2011年度) の商品レビュー

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2013/03/07

情報を十分に開示しないため、かえって不信感が生まれる。東日本大震災と原発事故を通して多くの市民が体感したことではないだろうか。 新聞やテレビがどれだけ信頼できるかという調査では2012年、すべてのメディアで信頼度が下がった。最も高いNHKが70点。前年より4点低い。 本書は震...

情報を十分に開示しないため、かえって不信感が生まれる。東日本大震災と原発事故を通して多くの市民が体感したことではないだろうか。 新聞やテレビがどれだけ信頼できるかという調査では2012年、すべてのメディアで信頼度が下がった。最も高いNHKが70点。前年より4点低い。 本書は震災と原発事故をめぐるメディアのあり方、役割、提言などを6つのテーマでまとめた論文集。3.11以前に、マスコミ報道が原発推進の一翼を担ってきたこと。社会的な危機の場面でメディアがどんな役割を果たせるか。ツイッターやフェイスブックなどSNSを使った情報伝達と連携の可能性。国内外の報道の検証など。 印象的だった部分を連ねると、原発立地は土地と漁業権を電力会社が取得することが決定的な鍵だった。外国は政治判断で計画が止められるのが、日本との違い。地域振興の合言葉で原発を維持・推進してきた地方紙。国策という単語が錦の御旗となって、地方は原子力政策を支えるべきだと迫る中央の論理があった。ジャーナリズムの立場はいずれの場合も推進側に厳しいのが基本であり、それこそがチェック機能。 海外メディアによる批判は耳が痛い。読者側の視点で報道すべきなのに、政府側に立って政府の言い分を繰り返したとの指摘。国内では広瀬隆氏の「混乱させてはいけない、というパターナリズムは犯罪であり、欧米メディアは最悪の事態確率論的に伝える」。 情報を得られる手段が増え、普通の市民が簡単に発信できる時代に、メディアはどうあればいいか。個人がメディア化することは引き換えとして、メディアに所属する記者らが個人化することを求める。誰のため何のために報道するのか。そう問い続けるしかない。

Posted byブクログ