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2014/11/05

ホスピスにみずから、または家族の入院を希望される人の多くが、入院前の相談に来られた際「家族の心のケアはしていただけるのですか?」と尋ねられる。「もちろんですよ」とお答えするのが常だが、何か答えるとき後ろめたい感じがする。もちろんそうした注意が必要となりそうな家族を見逃さないように...

ホスピスにみずから、または家族の入院を希望される人の多くが、入院前の相談に来られた際「家族の心のケアはしていただけるのですか?」と尋ねられる。「もちろんですよ」とお答えするのが常だが、何か答えるとき後ろめたい感じがする。もちろんそうした注意が必要となりそうな家族を見逃さないように注意しているし、必要なときには医学的介入もためらわずに行う。それは間違いないんだが、実際のところほとんどすべての家族が、初めて身内を送るときでも、多くの人が思うような(あるいはドラマに出てくるような)どうにもならないような感じにはならない。もちろん看護スタッフのきめ細かな気遣いあってのことではあるけれど、身内が亡くなるとき、医療が提供するような通り一遍の「心のケア」など入り込む隙間がないほど当たり前のように、家族はそのときを過ごす。こういう能力が人には自然に備わっていることは、もはや疑いのないことのようにすら思える。 そんな考えを裏打ちしてくれるような本。悲嘆について、実験や調査などの方法を駆使して解明していく様は唸らされる。そしてみずからの「神秘」体験。なんとも豊かな内容の本だ。

Posted byブクログ