理解しやすい物理 物理基礎収録版 新課程版 の商品レビュー
高校物理の参考書としては難易度、説明量、収録内容、分量ともにもっとも標準的な参考書の一つではないだろうか。 概ね教科書に準じた説明のしかたでこれを詳しくする形で説明しており、取り扱っている教材も教科書の配置に準じて学習が進行していく。なお、同じ出版社の本で『これでわかる物理』とい...
高校物理の参考書としては難易度、説明量、収録内容、分量ともにもっとも標準的な参考書の一つではないだろうか。 概ね教科書に準じた説明のしかたでこれを詳しくする形で説明しており、取り扱っている教材も教科書の配置に準じて学習が進行していく。なお、同じ出版社の本で『これでわかる物理』という本もある。難易度は『これでわかる物理』の方がやややさしく、親しみやすい紙面などで挫折しにくくするような工夫がある。各自の状況に応じてどちらかを選べばよい。個人的には背伸びはしないほうがいいと思うが、教科書をベースにして参考書で背伸びしてみるのも判断ではある。あと、『これでわかる物理』は「物理基礎」と「物理」の合本がなく、高校物理をマトモに学ぶにはややめんどくさいように思われるので、長期的には理解しやすいの方が良いと思う。 本書は標準的であること、言ってみれば「平凡さ」が最大の売りである。このため、日々の授業とあわせた予習復習だけでなく、理系受験者の先取り学習からおちこぼれかけた人が後追いするなど幅広く対処できるはずで、教科書から一部のハイレベルな問題集を除く大抵の問題集や参考書と併せて使うことが出来るはずであるし、また資格試験等や教養を高めるために高校物理くらいの知識を知っておきたいというときの教科書の代用に手ごろと思われる。このように、この本単体でも教科書や他の本と併せても使うことが出来るはずである。 使い方も通読するはもちろんのこと、練習問題も重要度のグレードつきで収録されているので日々の学習に役立つことだろう。また索引も充実しているので、参照用として使う、もしくは索引を中心に知らない単語をつぶしていくという勉強法など、多様な使い方が想定できる。 とまあ色々書いてはきたが、やはり平凡さというのは良くも悪くも平凡なのであって、講師のキャラを売りにするような本が持っているようなツボに嵌るような意味でのわかりやすさは期待できないかもしれない。また、本当にわからんちんな人(物理は科目の性質上、どうしてもそういう人はたくさん出る)の場合、本書のような本で学ぶことで着実な成果を出すことが出来るだろうが、時間がかかることだろう。そういう人の場合、一か八か著者のキャラを全面に出すような本を読んでみてもいいかもしれない。物理は同じような説明をしていても、学習者によって相性があるので、本をいくつか読み比べてみることも(お勧めはしないが)考えられてもいい。『理解しやすい物理』は物理の学参では正統派かもしれないが、残念ながら物理の勉強の定番とはいえない。そもそも物理の勉強法(特に学習の初期)に王道とか定番なんてものはない。多くの人の意見を参考に各自で勉強法を模索してもらうしかない。私のレビューがその一助になれば幸いである。
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