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熟れごろ保母さん の商品レビュー

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3年半振りの復活はオトナの切ない不倫物語

前作『僕の通学路には四人のお姉さんがいる』(フランス書院文庫)から実に3年半振りの復活である。このブランクで何かしらの変化があったのかどうかは定かでないが、前作とは打って変わった1人ヒロインの切ない不倫物語となっている。27歳のヒロインが勤める保育園に娘を預けている45歳の父親が...

前作『僕の通学路には四人のお姉さんがいる』(フランス書院文庫)から実に3年半振りの復活である。このブランクで何かしらの変化があったのかどうかは定かでないが、前作とは打って変わった1人ヒロインの切ない不倫物語となっている。27歳のヒロインが勤める保育園に娘を預けている45歳の父親が主人公……なかなかに大人テイストと言えよう。ただし、理性と感情の狭間であっちにいったりこっちにいったりと揺れまくる主人公のはっきりしないところには作者らしさを感じたので、これまでの鏡作品と比べて何から何まで変わってしまった訳ではない。 ふとした出会いから始まる2人の関係は、どちらにとっても「このまま進むべきか?早々に戻るべきか?」といった憂いに満ちている。妻も娘もいる主人公にとっては尚更なのだが、まぁ、そこは男なだけに突っ走ってしまう場面もちらほら。しかし、保母さんには保母さんの事情があり、これが物語としての肝となっている。 ある意味、現実的な幕引きを迎える展開には一抹の切なさと悲しみが横たわっているのだが、だからこそ美しくも淫靡な2人の世界が描かれているとも言える。サラッと読み終えただけでは「なんだ、あまり面白くない結末だったな」と思うかもしれないが、終盤を読み返すと「これはこれで悪くない、というか、却って良いんじゃね?」などと思えてくるから不思議である。それだけ男女の繊細な心と体の交錯が描かれているのかもしれない。 マドンナメイト文庫としてはやや地味な印象を拭えない官能描写ではあるが、押しに弱い保母さんの被虐美が垣間見える前半や、逆に想いをぶつけていく開放的な後半といった、心の動きとリンクした官能シーンはどれも魅力的である。

DSK