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後鳥羽院 の商品レビュー

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2023/05/06

筑摩書房 日本詩人選 丸谷才一 後鳥羽院 新古今和歌集を中心として、後鳥羽院の歌を解説した本。古典主義的な歌を想像していたが政治色が強く、「承久の乱は、文芸の問題を武力によって解決する試みだった」という著者の見解に驚いた 後鳥羽院と藤原定家の違いを「後鳥羽院は最後の...

筑摩書房 日本詩人選 丸谷才一 後鳥羽院 新古今和歌集を中心として、後鳥羽院の歌を解説した本。古典主義的な歌を想像していたが政治色が強く、「承久の乱は、文芸の問題を武力によって解決する試みだった」という著者の見解に驚いた 後鳥羽院と藤原定家の違いを「後鳥羽院は最後の古代詩人となることによって近代を超え、定家は最初の近代詩人となることによって中世を探していた」としたことは とてもわかりやすい 著者が、和歌史上最高の作品としたのは、百人一首「人もをし 人もうらめし あぢきなく 世をおもふ故に もの思う身は」でなく 「見渡せば 山もと霞む みなせ川 夕べは秋と何思ひけん」上句と下句の衝突と調和を見出している 個人的には「鶯(うぐいす)のなけども いまだふる雪に 杉の葉しろき あふさかのやま」が 色彩豊かで わかりやすい 「我こそは 新じま守よ 沖の海のあらき浪かぜ心してふけ」も島流しに負けないメンタルを感じる 風雅和歌集 あはれ昔いかなる野辺の草葉よりかかる秋風ふきはじめん *古代への思慕〜天地のはじめから現在までの厖大な時間を三十一音に封じ込める 新古今和歌集 春歌 ほのぼのと春こそ空にきにけらし天のかぐ山霞たなびく *「ほのぼのと」は「春こそ空にきにけらし」「霞たなびく」の双方にかかる 新古今和歌集 春歌 さくら咲く とほ山 どりの しだり尾のながながし日も あかぬ色かな *めでたい言葉「さくら」「とほ山」「しだり尾」「ながながし」「あかね」を続けた挨拶の歌の傑作 新古今和歌集 春歌 みよしのの 高ねの桜ちりにけり 嵐もしろき 春のあけぼの *風に散る桜の花=日本人の美意識の基本 *春の夜明けの眺めは後鳥羽院の生涯の主題 新古今和歌集 秋歌 野はらより 露のゆかりを尋ねきて わが衣手に秋風ぞ吹く *「野原」が冒頭にくる破天荒さ *香をたきこめた袖に野の風がまつわる〜遠い野原から訪れる風は速い *一句の俗が 「露のゆかり」「わが衣手」の雅と衝突 新古今和歌集 哀傷歌 思ひいづるをりたく柴の夕けぶりむせぶもうれし忘れがたみに 新古今和歌集  みるままに山かぜあらく しぐるめり都もいまや夜さむなるらん *熊野詣りの旅の心 *都の人=広く都の人、後宮の女性

Posted byブクログ