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桂枝雀名演集(3) の商品レビュー

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2013/08/03

枝雀落語は愛らしい。枝雀のふるまいも、枝雀が演じる人間たちも、すべてが愛らしい。落語は話芸であるから、芸を練って練って、人々に聞かせるものを作ってこそ本物の落語という考え方があるが、それをしのぐ人間味というか、自然に身についたコミカルさが落語家自身に備わっていれば、それだけで落語...

枝雀落語は愛らしい。枝雀のふるまいも、枝雀が演じる人間たちも、すべてが愛らしい。落語は話芸であるから、芸を練って練って、人々に聞かせるものを作ってこそ本物の落語という考え方があるが、それをしのぐ人間味というか、自然に身についたコミカルさが落語家自身に備わっていれば、それだけで落語は成立する気がする。そのような落語家が個人的には大好きだ。上方でいえば、五代目古今亭志ん生のような落語家が。 もとより、枝雀そのものがコミカルなだけで、枝雀自身が話芸を上達させることに努力をしなかったというわけではない。枝雀は真面目で努力の人だったと伝えきいているし、彼の最期はそうした真面目さに起因するのだということも伝えきくところである。 小米時代に傑作に仕上げたという「宿替え」、とにかく面白いから、たくさんの人に観てほしい。本書のコメントの中で、みうらじゅんが枝雀落語を「エキセントリック」、枝雀が演じる人物を「クレージー」と評しているが、それをみうらじゅんが言うところが面白い。

Posted byブクログ