赤と白 の商品レビュー
新潟の雪深い町を舞台にしたサスペンス・ミステリー。 ホラーテイストだけれどそこまで恐ろしさは感じない。 冒頭にはある停電の夜、火災により民家が全焼したというニュース記事が紹介される。 最初はその家に住む母子だと思われていたが、若い遺体は長女のものではないと判明、長女は別の場所で...
新潟の雪深い町を舞台にしたサスペンス・ミステリー。 ホラーテイストだけれどそこまで恐ろしさは感じない。 冒頭にはある停電の夜、火災により民家が全焼したというニュース記事が紹介される。 最初はその家に住む母子だと思われていたが、若い遺体は長女のものではないと判明、長女は別の場所で保護された。 本編はその事件から時間を遡ってはじまる。 全焼した民家に住む小柚子は、母子家庭で育ち、母との折り合いがあまりよくない。 母のボーイフレンドが苦手で、過去のトラウマから恋愛関係もうまく行っていない。 弥子は精神病質の母に支配され、家事やひきこもりの叔父の面倒を見させられている。 表紙からも冒頭の記事の遺体は弥子なのではないか、と想像する。 そして家庭に問題を抱えながらも、ごく普通の女子高生だったふたりが事件に巻き込まれたのかを想像しながら読み進めていく。 遠くに引っ越していった幼なじみがふたりの前に現れたことで平穏な学校生活は崩れていく。 テンポよく、先を読み進めたくなる構成なのだがその分重厚さが足りなくてさらっと終わってしまった。 崩壊の引き金を引く少女の精神状態と行動について唐突感があって、その違和感が消えなかった。 文章もきちんとしていてストーリーも無駄なく、ストレスなく読めるから軽く楽しく読むのはちょうどいいのでは。
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小柚子は弥子をとても大切に思っている。弥子もまた小柚子を守らなければと思っているのだが、苺実がグループに入ってきたことから小柚子に弥子への不信が生まれる。 それぞれが抱える家庭の事情や屈託と、苺実の、本人は何にも感じていない悪意が呼応して悲劇的な結末へと向かう。
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女の子たちのやり取りがなんともリアル。 酒に溺れ小柚子も、叔父の介護のために生まれてきてしまったと思う弥子も、リスカをうまく使い親より優位に立つ苺実も、愛されず役立たずの京香も、みんなみんなリアル。 それでもみんな強がってぐらぐらしながら必死に生きてるあたりがずしんと来ました。 ...
女の子たちのやり取りがなんともリアル。 酒に溺れ小柚子も、叔父の介護のために生まれてきてしまったと思う弥子も、リスカをうまく使い親より優位に立つ苺実も、愛されず役立たずの京香も、みんなみんなリアル。 それでもみんな強がってぐらぐらしながら必死に生きてるあたりがずしんと来ました。 後味は決してよくない、でも読んだよかったと思えます。
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地方の、子供時代の閉塞感が書かれている作品。個人的には好きな話でした。中盤までは引き込まれて読めたが、ラストが飛躍していた。あまり読後感がいいものではないが、そんな本が読みたいときにお勧めです。
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新潟の長い冬の中の学校だったり、家庭での話。 よくある設定ちゃ設定なんですが、 冬の雪の情景描写が、雪の降らない所に住むわたしにもすごく伝わりました。 雪の圧倒的閉鎖感っていうのが高校生の狭い世界と家庭に閉じ込められているかんじがひしひしと感じた。 悲しくて、温度がすごく低い小説...
新潟の長い冬の中の学校だったり、家庭での話。 よくある設定ちゃ設定なんですが、 冬の雪の情景描写が、雪の降らない所に住むわたしにもすごく伝わりました。 雪の圧倒的閉鎖感っていうのが高校生の狭い世界と家庭に閉じ込められているかんじがひしひしと感じた。 悲しくて、温度がすごく低い小説だけど、読ませる力をもった良い小説。 冬のあとには必ず春がくるという当たり前のことを、なんかすごくいいなあと思ってしまった。
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仄暗いストーリー展開。雪の描写が印象的で、読みやすく丁寧な文章でした。引き込まれる内容だったけれど、個人的にはラストに少し物足りなさを感じました。次作に期待。
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雪国に住む陰を抱えた女子高生たちの息詰まるような閉塞感。 彼女たちが我慢して受け入れてきた運命はいつしか狂いはじめて・・・。 小説すばる新人賞受賞作品。 もう少し焦点を絞るともっとずしんとくる作品になった予感。
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彼女のデビュー作といってもいいこの一冊。 上手くて驚いた。 リズム感があって読みやすい。 ページをめくりたくなる展開と緊張感。 冒頭に事件記事があって身構えた。 おっと、もしかしてこわい?と。 辻村さんをどことなく思いだし、読み進める。 青春まっただなかな高校生たちが 進路や...
彼女のデビュー作といってもいいこの一冊。 上手くて驚いた。 リズム感があって読みやすい。 ページをめくりたくなる展開と緊張感。 冒頭に事件記事があって身構えた。 おっと、もしかしてこわい?と。 辻村さんをどことなく思いだし、読み進める。 青春まっただなかな高校生たちが 進路や恋愛といったことがら以外に抱える重いもの。 それぞれも本当に重い。 親友のように見えても話すべきことを話せない。 そしてその荷物はどんどん重くなる。 そうして冒頭の記事を忘れたころに その記事を思い出させられる。 ラストは意外にあっさりめなので 濃い闇のなかに沈みきることはなく 読後、思ったより楽になる。 それにしてもマイミ・・・コワイ・・・ 本当にいそうでコワイ。 母親が娘に逆らえないとか 人の携帯に届くメールを自分のところに転送されるようにするとか 人の家のポストから郵便物をもってきてあけるとか 諸々。 罪悪感のなさがなによりコワイ。 あなた以外にも人はいて、みんな心があるんだよ。 あなたとおなじように。
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図書館で立ち読み。どこかで読んだ設定、人物描写と展開だったのでラストまで一気読みしてしまった。小柚子に絞った物語にしていれば、もっと読みやすかったかも。次の作品を楽しみにしたい。
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面白かったけど、全ての要素に対して言及不足。改行しすぎ。新人さんなので、これからですね。方向性としてはとても好き。
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