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レニングラード封鎖 の商品レビュー

4.9

9件のお客様レビュー

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2024/08/17

この本はあまりにショッキングです。かなり強烈な描写が続きます。地獄のような世界でレニングラード市民は生きていかなければなりませんでした。市民が飢えていき、どんどん死んでいく様子がこの本では語られていきます。生き残るために人々はどんなことをしていたのか。そこで何が起きていたのか。そ...

この本はあまりにショッキングです。かなり強烈な描写が続きます。地獄のような世界でレニングラード市民は生きていかなければなりませんでした。市民が飢えていき、どんどん死んでいく様子がこの本では語られていきます。生き残るために人々はどんなことをしていたのか。そこで何が起きていたのか。その凄まじさにただただ呆然とするしかありません。80万人以上の餓死者を出したというその惨状に戦慄します・・・

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2018/11/05

ドイツによるレニングラード封鎖は1941年から42年にかけてほぼ900日に及んだ。 60万人とも110万人とも言われているが、餓死に至り、人肉食も行われたらしい。 ドイツはロシア消滅も狙っていたらしい。

Posted byブクログ

2014/02/28

第2次世界大戦、ナチス・ドイツはソ連に対して電撃侵攻を開始。 準備万端なドイツ軍の前にソ連軍は壊走し、モスクワすら陥落の危機に陥りました。 そのドイツ軍の猛攻にさらされた都市の一つがレニングラード、現在のサンクトペテルブルクです。 当初、快進撃を続けていたドイツ軍はソ連軍の反撃...

第2次世界大戦、ナチス・ドイツはソ連に対して電撃侵攻を開始。 準備万端なドイツ軍の前にソ連軍は壊走し、モスクワすら陥落の危機に陥りました。 そのドイツ軍の猛攻にさらされた都市の一つがレニングラード、現在のサンクトペテルブルクです。 当初、快進撃を続けていたドイツ軍はソ連軍の反撃により苦戦を強いられ、その結果、予定を変更してレニングラードを包囲。 そして数百万に及ぶ市民に対して飢餓作戦を実行に移したのです。 本書は題名からも分かる様にこの包囲作戦をテーマにしたものです。 内容はドイツ視点で同軍の侵攻を見た後、開戦前のソ連の国情 -反逆を恐れるスターリンが知識人、士官を大量粛清していた― について触れており、その後、包囲下のレニングラード市民の姿と戦後、ソ連政府が彼らに取った口封じが記されています。 冷酷な敵と腐敗した指導者層によって追い詰められた市民の間にカニバリズムすら起きる中、必死に人間であり続けようとした人々が何を感じ、何を考えていたのか。 そしてレニングラード再建の為に連れてこられたドイツ人捕虜を見てどう感じたのか。 これらを知りたい方は必読です。

Posted byブクログ

2014/01/17

レニングラード封鎖について、ある程度は知っていたつもりだったけれど・・・実際にそのときを生きていた人たちの証言や日記はやっぱり重い。そして驚いたのが責任者や上層部の人たちの対応とか行動。「さもありなん」という気もするし、「え、こんなときでも!?」と呆れもした。飢餓と非情はナチスド...

レニングラード封鎖について、ある程度は知っていたつもりだったけれど・・・実際にそのときを生きていた人たちの証言や日記はやっぱり重い。そして驚いたのが責任者や上層部の人たちの対応とか行動。「さもありなん」という気もするし、「え、こんなときでも!?」と呆れもした。飢餓と非情はナチスドイツに齎されたものではあるけれど、と同時にスターリンをはじめとするソビエト指導部にもあるといえる。ドイツの攻撃や食糧難よりも政府を批判する者を捕まえることの方が大事だなんて、なんだか冗談としか思えない(もちろん冗談じゃないんだけど)。

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2017/08/15

 想像を超えていた。『卵をめぐる祖父の戦争』を以前に読んでから、レニングラードの包囲戦に関する歴史に興味を持っていたところ、うみこさんのレポでこの本を知り、読んでみた。  小説は小説でユーモアとペーソスを兼ね備えた傑作なのだが、その中から得た印象と、実際に900日にも及ぶ包囲...

 想像を超えていた。『卵をめぐる祖父の戦争』を以前に読んでから、レニングラードの包囲戦に関する歴史に興味を持っていたところ、うみこさんのレポでこの本を知り、読んでみた。  小説は小説でユーモアとペーソスを兼ね備えた傑作なのだが、その中から得た印象と、実際に900日にも及ぶ包囲下で辛酸をなめた市民の日記や証言を載せたこの本から受ける衝撃は、かなりかけ離れていた。  一番の違いは、小説の主人公はよくしゃべるし、走れる。空腹で栄養失調だろうけれど死の臭いはしない。でも実際の市民は飢えで足元がふらつき、路上で倒れこんだら「最期」で、日本の冷凍庫の中より寒い冬のレニングラードでは確実に凍死する。一日数千人から、多いときには二万人死んだという。    前を歩く人の足取りが力なくふらついていたら「ああ、あの人はもうすぐ動けなくなって死ぬな」と誰もがわかったらしい。助けようにも自分自身が飢餓状態だから、ミイラ取りがミイラになるのが目に見えているので、助けない。  それでも助けようとする慈悲深い人もいて、そういう人は病院にまで連れて行ってあげたりするけれども、病院の内も外も死体で溢れて、死体安置所と変わらない状態になっている。    人肉食の記述も出てくる。誤解されるかもしれないが、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされ、生きるには食べるしかないというときに、目の前に山のように積まれた凍死者の遺体があるなら(凍死だから腐敗もしてないし)、ちょっとぐらい食べてもかまわないと考えてしまう人が出てくるのは理解できる。女性の胸部や臀部の肉が削ぎ取られている死体がいっぱいあったという記述もある。  人肉食の罪での逮捕者が最も多いときは月で100人くらいだが、もちろんこんな数字は氷山の一角で実際にはもっと多いだろう。たぶん逮捕者というのも人肉を売買したとか、殺人をしたとか、そういう明らかな犯罪で、夜中にこっそり剥ぎ取った行為とかは摘発されてないのではないだろうか。    ただこれで生き延びたとしても、戦後に通常の市民生活が戻って、異常から正常な精神状態にかえったときのことを思うと、これも悲惨で、罪の意識に苛まれて辛い人生を送ったのではないかと思う。  この状況下でどうしたら絶望しないでいられるのだろうか。  自分なら人肉食はしたくないし、凍死が一番苦しくなさそうだから凍死を選ぶ。生き残れる気がしない。  しかし、こんな状況下でも「誰かのために尽くす」ことを考えて行動した人たちがいた。自分も苦しい、でも同じように苦しんでいる人たちのために音楽を奏でようした音楽家たちがいた。空腹で何度も気を失いながらも舞台で喜劇を演じた俳優たちがいた。  路上に大の字で倒れ、いままさに死の間際にいる見知らぬ男性に、大切にとっておいた氷砂糖を口に含ませてあげた女性もいた。「もうすぐ死んでしまう人間に大事な食糧をあげるんじゃない」と様子を見ていた人に怒られたが、女性は「私はこの人を見捨てられたまま死なせたくはないの!」と毅然と答えた。  ヒトラーの非情とスターリンの無能によって惹き起こされた悲惨をこの街が乗り越えられたのは、為政者の勝利でも赤軍の勝利でもない。市民が人間性を失わなかったからだ。この軸を見失ってはいけないと思う。  

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2013/08/15

サンクトペテルブルグを訪問するにあたり、その歴史を何一つ知らずには行くべきでないという思いもあり、分厚く重厚そうな本書にやや抵抗はあったが思い切って手にしてみた。 何より、こんな悲惨な凄惨な事実があったことを全く知らなかった自分を恥じた。 結果として、ドイツ軍に包囲されたレニン...

サンクトペテルブルグを訪問するにあたり、その歴史を何一つ知らずには行くべきでないという思いもあり、分厚く重厚そうな本書にやや抵抗はあったが思い切って手にしてみた。 何より、こんな悲惨な凄惨な事実があったことを全く知らなかった自分を恥じた。 結果として、ドイツ軍に包囲されたレニングラードを、ソ連軍は900日近い包囲をなんとか耐え忍び解放させるに至ったわけだが、その裏に、百万人以上とも言われるレニングラード市民の大きな犠牲があったことは、巧妙に伏せられてきたのだという。 もちろん、レニングラードを兵糧攻めにすべく画策したドイツ軍が元凶ではあるのだが、当時の指導者たちの無能ぶり、つまるところはスターリンの指揮がその凄惨さを加速させたと言ってよさそうだ。 数百万人の市民が陥れられた状況は悲惨という以外なく、あまりの壮絶さに何度読むのをやめようと思ったことか。 考えられるかぎりの極限の中で、それでも人としての尊厳を失わず、立ち上がるのが精いっぱいの足で歩き、他人を助け、協力し合い励まし合い、街をきれいにし、本を読み、絵を描き、芸術を忘れなかった市民たちのその崇高さが、にわかには信じられないくらいだ。 だが実際に、人々はそのようにして地獄を生き抜き、封鎖を打ち破った。 人間の底力を深く感じさせられるとともに、戦争の愚かさを改めて思い知らされた本書であった。 サンクトペテルブルグでこんなことがあったなんて。 ネフスキー大通り、ネヴァ川、エルミタージュ美術館、幾度となく目にしてきた名前だったが、実際に行って目にしたとき、何か別の感慨がわいてきそうな気がする。 余談。 たまたま今日、予約していた『脳に刻まれたモラルの起源』を手にし、プロローグをぱらぱらと読んでいたのだが、そこに「人間の行動は、必ずしもそれが自己の利益に結びつかなくても、困っている人を見ると助けてあげたいと思うような、合理的でない損得勘定では割り切れない倫理観や道徳感情に突き動かされることがあり、それは生物学的進化の結果、人間の脳と遺伝子に組み込まれている働きである」といった記述を見つけた。 レニングラードの人々も、絶望の淵まで落とされて、でもそこから這い上がってこれたのは人と人との繋がりがあればこそだったのだ。 自分の利益のためでなく生きる、そこに人間の底力のヒントがありそう。 『脳に刻まれた~』を読むのが楽しみになってきた。

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2014/03/01

 いつの時代でも、どこの国でも、独裁政治や強権政治の支配下では、ゴマスリでしか生き延びられない高級官僚が卓越した専門的技量をもつプロフェッショナルを目の敵にして追い落とし、結果としてそのシワ寄せは権力とは無縁な民間人に集中して悲惨な生活を余儀なくされるという事例は枚挙に暇ないが、...

 いつの時代でも、どこの国でも、独裁政治や強権政治の支配下では、ゴマスリでしか生き延びられない高級官僚が卓越した専門的技量をもつプロフェッショナルを目の敵にして追い落とし、結果としてそのシワ寄せは権力とは無縁な民間人に集中して悲惨な生活を余儀なくされるという事例は枚挙に暇ないが、このレニングラード包囲下の特に初年度はその最悪な例の一つとして記憶さるべきであろう。  日々、兵士が最前線で戦死し、万を超える市民が餓死しているのを知りながら、市当局は食糧事情に不満を漏らした投書や日記の書き手を追跡するために食料の特配を割り当てた少なからぬ官憲を投入し、何年もかけて書き手を特定して処刑するなど、まことにもって愚の極みであるが、それだけになおさら、生死ギリギリの生活を強いられた市民が無意識のうちに行った雄々しくも英雄的な犠牲的行為には限りなく尊いものを感ずる。  食い物を漁るだけの獣に堕すのを拒否して研究を続ける学者、凍結した図書館で本を読みながら凍死した市民、体力がないので仰向けになって音をだす演奏家、栄養失調のためにリハーサルが20分も続かないオーケストラ、‥‥ そうした人たちがあつまって90分も続く長大なショスタコーヴィッチの交響曲第7番の初演を包囲下で実現したオーケストラとその聴衆に、スターリンをはじめとする権力者たちは秘かに震え上がったのではなかろうか。  画学生が克明に描いた包囲下のスケッチが戦後何十年も公開できず、その全てが初めて公開されたのは1991年、それもベルリンのギャラリーであったという事実は、まことに印象的であった。

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2013/06/11

タイトル通りのナチスドイツによるレニングラード封鎖とその間の市民達についての本 戦史として同じ主題でもっと詳しい書籍も何冊かあるし、著者の言葉遣いも極めて叙情的なので、内容にはある程度の留保が必要で、ノンフィクションとして読まれるべきではないが、その物語としての壮絶な内容に引き込...

タイトル通りのナチスドイツによるレニングラード封鎖とその間の市民達についての本 戦史として同じ主題でもっと詳しい書籍も何冊かあるし、著者の言葉遣いも極めて叙情的なので、内容にはある程度の留保が必要で、ノンフィクションとして読まれるべきではないが、その物語としての壮絶な内容に引き込まれる

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2013/04/02

1941年、レニングラードはドイツ軍によって封鎖される。比較的少ない兵力をもって都市への供給路を断ち、大都市を封じ込める。すなわち攻撃側の損害を最低限にしつつ、都市の首をじわじわと絞め、住民を餓死させた後に占領しようという、極めて邪悪な発想に基づく作戦だった。封鎖状態は実に872...

1941年、レニングラードはドイツ軍によって封鎖される。比較的少ない兵力をもって都市への供給路を断ち、大都市を封じ込める。すなわち攻撃側の損害を最低限にしつつ、都市の首をじわじわと絞め、住民を餓死させた後に占領しようという、極めて邪悪な発想に基づく作戦だった。封鎖状態は実に872日に及んだ。 極限状態でレニングラードの人々が目にしたものは何か。 本作では、レニングラード市民やドイツ兵など、さまざまな人々が残した記録を元に、封鎖下のレニングラードを描き出していく。多数の視点からの描写は、地獄と化してゆく都市を立体的に再構築する。語り手は数多いが、巻末の人名索引がよき手引きとなる。丁寧に読んでいけば個々人の息遣いまで感じられるような、多層的なノンフィクションである。 絶望的な状況の中で、浮き彫りにされていく人の弱さ・強さ・醜さ・崇高さ。 パンは配給切符がなければ手に入らず、それとてごくわずかである。市民はベルトの革や壁紙の糊までも煮出して飢えを凌ぐ。さらにそれでは足らず、人肉食も頻発する。ついに、配給がまったく途絶えたのは厳しい冬の真っ只中、死者数は1日2万にも上ったと言われる。 「飢餓」の中でむき出しになる人間の姿は衝撃的である。 その一方で、人々を精神的に支えたのは、日常的な規則正しい活動であり、公共に対する奉仕であり、他者に対する思いやりであり、また芸術であった。日に何度も気を失うほどでありながら自発的に清掃に取り組む人々や、力を振り絞って楽器を演奏する演奏者の姿が胸を打つ。 ドイツ軍による作戦の非情さは言うまでもないが、赤軍側もまったく落ち度がなかったとは言い難い。少なくとも上層部の無能さが被害に拍車を掛けたのは間違いないだろう。また、一般市民の餓死が続出している一方で、職権で得た食べ物を飽きるほど食べ、あるいは高額で売り飛ばし、文字通り私服を肥やす者も現れていた。 長きにわたる封鎖に耐えたレニングラードの勝利は英雄的なものとして賞賛されたが、ソヴィエトの公式記録の中では、「飢餓」の部分は削られている。人に知られぬまま闇に葬り去られた悲劇がいかに多かったか、想像も付かない。 犠牲となったレニングラード市民は当局発表によれば63万人だが、実際のところはその倍かそれ以上という説もある。飢餓に加え、初期の児童疎開の失敗、氷結した湖上を逃走中に氷の裂け目に沈んだ人々など、記録に残っていない犠牲者も多い。 重い内容であるので、読むにはいささかの覚悟があった方がよいかもしれない。 個人的には「これほどのことがあったのか」「これほどのことを自分は知らなかったのか」の2点に衝撃を受ける本だった。 封鎖下で数多くのスケッチを描いたエレーナ・マルチラが後に語った言葉が印象深い。 「戦争は怖ろしいです。でも私が闘っていたのは、ファシズムに対してであって、ドイツ国民ではありません。そしてファシズムは私たち全員の中に存在するのです」 この主題では『攻防900日』(ハリソン・ソールズベリー(原著出版は1969年))が古典的名著と言われる。その後、多くの新資料も得られてきているようである。 著者は軍事史研究が専門であるが、本書では市民の苦難や活力に重点を置いている。丁寧な取材による労作である。 訳者の注やあとがきも綿密で、非常に参考になった。 *『卵をめぐる祖父の戦争』は、このときのレニングラードを舞台としている。本書を読んだ上で読み返すとまた印象が変わりそうである。 *ビリー・ジョエルの「レニングラード」(Storm Front(1989))に出てくるヴィクターはこの包囲戦の孤児である。 *このテーマに関して、日本で出版されている本のほとんどは翻訳書であり、さほど多くはないようだ。訳者あとがきに、前出の『攻防900日』に加え、『封鎖下のレニングラード』(ドミトリー・パブロフ・大陸書房・1971年)、『ドキュメント:封鎖・飢餓・人間』(ダニール・グラーニン・新時代社・1986年)が挙げられている。

Posted byブクログ