ビジュアル版 縄文時代ガイドブック の商品レビュー
縄文時代へのお誘い 縄文時代はいつからか 縄文土器の謎 縄文人の素顔 移動生活から定住生活へ 縄文人の道具箱 縄文の四季と生業 多彩な猟法と漁法 豊かさの限界 高水準の木工・編み物技術〔ほか〕
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縄文時代についての入門書。ひとつのテーマについて文章2ページ図版での解説2ページとコンパクトにまとめられていてわかりやすい。いろんな学説が紹介されていて、昔はこう言われてたけど今ではこう考えられているのねってのがなんとなくわかる。 縄文時代にも漆器があったとか、カゴなどは今使われ...
縄文時代についての入門書。ひとつのテーマについて文章2ページ図版での解説2ページとコンパクトにまとめられていてわかりやすい。いろんな学説が紹介されていて、昔はこう言われてたけど今ではこう考えられているのねってのがなんとなくわかる。 縄文時代にも漆器があったとか、カゴなどは今使われているものとほぼ同じ種類が揃ってたとか、結構進んでいたのね〜と思うなど。 一方、植物の栽培は行われていたけれどまだ本格的な農耕といえる段階ではなかったこと、弥生以降の水田耕作との決定的な違いについての話も面白かった。
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縄文時代概説には、分厚いものが多い。そして、わかりやすいものは、子供向けのあまりにも短いものばかり。これはその中間にあって手頃。ビジュアル的だし、ところどころはかなり専門的な著述もある。全国の縄文博物館の写真や図をフォローしているのもいい。入門編としていいと思う。 幾つか面白か...
縄文時代概説には、分厚いものが多い。そして、わかりやすいものは、子供向けのあまりにも短いものばかり。これはその中間にあって手頃。ビジュアル的だし、ところどころはかなり専門的な著述もある。全国の縄文博物館の写真や図をフォローしているのもいい。入門編としていいと思う。 幾つか面白かったのをピックアップする。 (1)ポリオ麻痺のある人骨が、北海道入江貝塚9号人骨として出土。幼児がポリオで四肢全てが麻痺しても成人まで生きられた。日本人は昔から弱者を見殺しにしていない。 (2)国立科学博物館日本館二階に常設展示されている縄文人の写真を見ると、黒髪の白人という相貌。つまり眉間が出っ張り、鼻梁が高い。平均身長男性159センチ。女性149センチ。麻で編み込んだ貫頭衣に近いジャケットと短パンを履き、ミサンガのような腕輪をつけている。(以上18p) (3)「多彩な猟法と漁法」例えば、能登町真脇の前期末から中期初頭の貝塚層で、300頭以上のイルカの骨出土。遺跡の広がりを見ると、何千頭の骨が埋まっているか想像つかない。北海道では、トドやアザラシ。九州から東海沿岸部ではマグロやカツオなどが獲られていた。漁労具は、釣針、モリやヤス、漁網やウケ、エリなどの仕掛け。(33p) (4)縄文時代の木工品はほぼ全て刳(くり)物。石器で丁寧にくり抜く。新潟県御井戸遺跡のとって付き片口や水差しで、その製作過程が判明。(40p) (5)早期から既に網代編み・もじり編みなどを多用。カゴや袋、ムシロ、簾、布が作られた。(41p) (6)「世界の先史文化の中でも、縄文人ほど造形美に優れた生活用具を残した民族はありません。実用品以外でも見事な造形品を残しています」(44p) (7)縄文時代の家族構成は単婚家族を基本にしていた。根拠は・竪穴住居の床面積が20平方m。・一棟しか検出されない事例も少なくない。・死亡者遺棄住居の性別年齢構成を春成秀爾が調べて一組夫婦とその子供だった。・岩手県上里遺跡の7人土坑墓の歯を比較研究して、単婚家族だった。(57p) (8)縄文集落。最も多いのは3棟前後。親族により構成。拠点集落は10棟から数10棟(環状集落)。複数の親族で営み、中央に共同作業や祭祀の場を設ける。 (9)黒曜石やサヌカイト、翡翠の流通からわかること。集落ごとに個別ではなく、上位組織である「村落」が折衝や情報の交換をしていた。環状集落が解体され、集落が小型・分散化する東日本後期には、環状集落の中央広場に代わり、環状列石が作られる。(65p) (10)翡翠や塩の生産地の生産活動を調べると、余剰生産物を生み出していても、食料獲得の生業の「片手間」にされていた。つまり、商人が介在する「交易」と呼ばれるような経済活動ではなかった。(69p) (11)社会発展の諸段階を、バンド社会・部族社会・首長制社会・国家社会・産業社会と分けると、縄文時代は首長制社会ではなかった。リーダーはいたが、特別な墓はない。互恵と平等主義に基づいた氏族共同社会だった。(73p) (12)何故、縄文農耕は成立しなかったか。何故稲作は取り入れられなかったか?面白い推論であった。(77p) (13)1万年続いた縄文時代は、自覚的にスローライフを選んだ。だからこそ、素晴らしい造形美も生まれた。しかし、そうであっても、自然の再生産を超えるような人口増加をもたらし、自然から手痛いしっぺ返しを受けた。(85p) 2018年1月読了
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縄文時代ガイドブックという名称のとおり、縄文時代への基本的な興味を誘う本としてすばらしい構成内容でした。 内容ですが、01縄文時代へのお誘い から 21縄文時代に学べ までという編集ですが、理解しやすいように項目立てし、平易な文章で紹介するとともに写真・図解などビジュアルを工夫し...
縄文時代ガイドブックという名称のとおり、縄文時代への基本的な興味を誘う本としてすばらしい構成内容でした。 内容ですが、01縄文時代へのお誘い から 21縄文時代に学べ までという編集ですが、理解しやすいように項目立てし、平易な文章で紹介するとともに写真・図解などビジュアルを工夫し、ほんとうに解りやすく縄文時代を解き明かしている。 この本をきっかけに、ますます縄文時代について深く知りたいというインセンティブを与える本でした(感謝)。
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