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反教育論 の商品レビュー

3.6

23件のお客様レビュー

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2022/12/08

全体的に他人を馬鹿にしている文体が鼻につくし、主張も近視眼的でガバガバな所も多く非常に気に食わない。だが書いてあることはそこそこ程度には面白い。人間社会における教育の問題点は、膨大な「それらしく振る舞うためのマニュアル」を教える点にあると言う。この「流動性能力」を鍛えるだけでは人...

全体的に他人を馬鹿にしている文体が鼻につくし、主張も近視眼的でガバガバな所も多く非常に気に食わない。だが書いてあることはそこそこ程度には面白い。人間社会における教育の問題点は、膨大な「それらしく振る舞うためのマニュアル」を教える点にあると言う。この「流動性能力」を鍛えるだけでは人間の本来持つ「考える」能力(=疑問を持つ能力と即興性、好奇心)を失ってしまうと言う。 フロムによる分析。 「服従によって、私は自分が崇拝する権力の一部になることができるのであって、そのために自分も強くなったと思うのである。権力が代わりに決定してくれるから、私があやまちを犯すはずはない」 これは非常に面白い。考えることをやめて服従すれば過ちを犯さなくなる。自分は権力を煙たいものと感じているが、それでも権力に従うことはメリットをもたらすのである。権力は模範解答を用意し、その権力に歯向かう者には権力にへつらう奴らが厚顔無恥にも批判をしてくるのである。権力が倒れると自身が生きていけなくなると考えれば免疫反応みたいなものか? そういえば『石の花』も似たようなテーマだった。 『「自由」とは内的な秩序もしくはルールの存在を認識しこれに従う在り方のことであり、外的なルールに従った窮屈な在り方でもないし「勝手気まま」なものでもない、と言っているのだ』 ここはすごくピンときた。「自由を履き違えている」とかいう母校御用達のクソな自由の蹂躙はここなんだよな。各人が考える自由とは各人ごとのものであり、それを頭から押さえつけるのは良くない。自由がぶつかり合った時その都度その都度利害関係者で話し合うべきなんだよな。これをわかっていない奴らが先公にも同級生にも多すぎた。 オオカミを褒める→わかる部分もある。しかしオオカミはサルと違って下剋上はないとか言うが、それはまさしく構成員は考えていない服従する「サル」なのでは? てか、前半の『オオカミと人間』の話は、オオカミは実は社会的生物で人間や猿のような邪悪さはないよって主張している意味でわかる。後半のエレーヌの話って何ぞや? たまたま「社会不適合」(不適切な言葉をあえて使っている。本の意味で言うならば「サルではない、誰にも服従せず自分で考えられる人間」となるだろう)な人間がオオカミを好いたというだけでしょう。別に散歩の時にオオカミと会わずにハムスターと会っても大腸菌と会ってもおんなじ反応だったかもしれなくない?しかもそのオオカミも近所の変人に飼われていたものだし。それこそ哲学ですが飼われているオオカミは犬なのでは? 露骨なサルディスり→は? 作者は下剋上を嫌っているが、無能な上を除くのは組織の健全性を保つ上ではあり得るのでは? あと、幸福とか感情を数値化することの何が問題なのかを詳しく言ってない。いや、多分理性が全てを支配することに疑問を持っているのだろうけど個人が自分で考えてそれらに数値化するならいいでしょう。シカゴ学派見てみろよ。 いやー、、仮に才能に溢れる人間であればいいですよ。いつの世も才能にはタレントが支払われるからそれで生きていけるでしょう。エレーヌさんだってピアノの天才らしいし。でも、才能がない人間は? 少なくとも彼らには自己実現や満ち足りた人生よりも日銭の問題が大きいでしょう。たとえ搾取と裏切りの社会であろうともそこに入れば生きていける可能性があるなら凡人にはそこに行くのが一番でしょう。全体的に持つものの論理で気に食わない。 教育の本質が洗脳→わかる 教育で画一なプログラムが個人の自発性を失わせる→わかる 『「道徳」教育の推進指定校だったからこそ深刻な「いじめ」問題が発生した、という逆説的な真実に、われわれはきちんと目を向けなければならない』ソースくれや。 主張は確かにわかる。ムラ社会では個人を抑圧する。それゆえムラから突出した個人は抑圧されねばならない。道徳教育はムラから突出しないことを是とし、目的とする。それゆえ道徳教育が活発なほどいじめは起こる。 しかしそれなら他国の道徳教育といじめの関連性を比較に出すべきである。オーストラリアとか出る杭は打たれることで有名でしょ? 社会学的な研究テーマとしては非常に面白いがそれを偏見で解答しようとしているから失笑もの。まあ社会学的にデータを集めるのが面倒だったのだろうが。

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2019/08/14

評価を見て規定していただけに、 期待ほどの目新しさはなく、 私が以前知り得たことの復習だったり、 改めて自分の意識・意思の確認をしているみたいだった。 とはいえ、結構極論~!っておもうこともあったりして、 面白くはあった。 「師から必要なところだけを盗んで、不要なところには染ま...

評価を見て規定していただけに、 期待ほどの目新しさはなく、 私が以前知り得たことの復習だったり、 改めて自分の意識・意思の確認をしているみたいだった。 とはいえ、結構極論~!っておもうこともあったりして、 面白くはあった。 「師から必要なところだけを盗んで、不要なところには染まらないように」「懐疑的精神で」選ぶというようなことが書いてあって、(あ、自分の中にもちゃんと育ってたんだな、その芽が)って思ったり。 そしてそれこそこの本からだって、 取捨選択する気持ちが大事なんじゃないかなと思った。 星は3をつけたけど、面白くなかったという意味ではなく、 一度読めば十分かな、と思ったので。 あと、モンテッソーリ教育に通ずるものがあるな、 ともおもったり。 彼女も精神科のお医者さんだったな、そういえば。

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2019/01/05

最後の章の結論は深く同意する。全体を通して、著者の教養の深さを感じるとともに、引用されている本を読みたくなった。

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2018/11/12

いじめの仕組み、マザコンは今やデフォルトなど、今時の子供が晒されている過酷な環境の深層が良く分かる。自分が良い親だと確信している人には是非目を通して欲しい。多分つまらないことが書かれている本だと一蹴することだろう。それ自体が、子供にとって良い親でないことを示していることに気がつか...

いじめの仕組み、マザコンは今やデフォルトなど、今時の子供が晒されている過酷な環境の深層が良く分かる。自分が良い親だと確信している人には是非目を通して欲しい。多分つまらないことが書かれている本だと一蹴することだろう。それ自体が、子供にとって良い親でないことを示していることに気がつかずに。

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2016/05/07

教育は「自立し自ら学ぶ子を育てよう」という方針に従順に従うのは自ら学ぶ力など得ることができないという原理的矛盾に満ちている。

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2016/01/03

教育のことを書いているようだが、どちらかというと 『自立のすすめ』とでもいうほうがしっくりくる内容。 内容は、『普通という病』と同様、とても興味深い。 テーマが絞られているぶん、『普通という病』より読みやすいかもしれない。 さまざまな本からの引用も内容に即しており納得感があり、 ...

教育のことを書いているようだが、どちらかというと 『自立のすすめ』とでもいうほうがしっくりくる内容。 内容は、『普通という病』と同様、とても興味深い。 テーマが絞られているぶん、『普通という病』より読みやすいかもしれない。 さまざまな本からの引用も内容に即しており納得感があり、 また、医師でありながら、東洋的(?)な思考で 話を進めているため、文系の人が読んでも腑に落ちやすい。 オオカミの思考や帰納法の大切さや複雑系思考についてなど、 すべては「心が主で、現象をあるがままに考える」ことにつながっている。 なお、文中では人間を「サル」と「オオカミ」に断じすぎているきらいはあるが、 それも著者の熱の表れだろうか。 こちらもまた読み直したい一冊。

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2013/11/04

タイトルからして何とも挑発的だ。しかし、著者は教育学者というわけではなく精神科医である。 あとがきにあった執筆に至った想いが興味深かった。 精神科医として、抑うつ症状、パニック症状や離人症など、現代的な心の病の快復に取り組むなかで、悩みの質の変化を感じ、しつけや教育を根本から問い...

タイトルからして何とも挑発的だ。しかし、著者は教育学者というわけではなく精神科医である。 あとがきにあった執筆に至った想いが興味深かった。 精神科医として、抑うつ症状、パニック症状や離人症など、現代的な心の病の快復に取り組むなかで、悩みの質の変化を感じ、しつけや教育を根本から問い直すことが必要であると思い至ったという。 内容的には、哲学的で難しく感じるところもあったが、興味深い示唆に満ちたものであると思う。 それは、表層的な小手先の教育論ではなく、もっと深い部分の人間の本質を理解した学びが必要であるとしている。 現代教育は意識的にか無意識的にか、次のような思考停止人間を育成しているとしている。「こういった場が目指しているのは、マニュアルを要領よく使いこなし、組織の有能な歯車になるような人間の育成である。」 本書では、随所に引用文を用いている。 過去にも同様の指摘や警告を行っている者がいたということであり、その危惧した状態が現実になってきているということでもある。 これらの指摘を受け止め、どう行動していくか、すぐに答えが出るものではないが考え続けていく必要があると思う。

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2013/10/23

守破離の段階が必要 教育は受けるがわが能動的でなければ意味がない 猿的な知能より オオカミ的な知能を育む方がより大事 知識をたくさん詰め込むより考える力本質を知る力が必要

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2013/10/14

学校教育の欠陥をいろんな視点から指摘し、あるべき姿を提案したもの。言葉自体は語り尽くされたものが多いが、著者、音楽や演劇も手がける精神科医ということで着眼点がとてもユニーク。繰り返し読むごとに味わいが深まる。

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2013/08/07

著者の考えには納得。そして引用が面白い。簡単に解釈できず、そこで”む?”っと一歩踏み込んで解釈することができる。 しかし、懐疑的に読んでみると著者の解釈に偏りを感じる。例えば、4章「正しい子育て」において、子どもは”すき間をなんとかする”ためにゲームにいそしむ。何もしないことへの...

著者の考えには納得。そして引用が面白い。簡単に解釈できず、そこで”む?”っと一歩踏み込んで解釈することができる。 しかし、懐疑的に読んでみると著者の解釈に偏りを感じる。例えば、4章「正しい子育て」において、子どもは”すき間をなんとかする”ためにゲームにいそしむ。何もしないことへの罪悪感から、強迫的にすき間を埋めずにはいられないという解釈である。そうか?

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