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漢字字形の問題点 の商品レビュー

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2013/03/10

感動の書である。Amazonから送ってくる広告を見てなにげなく買ったのだが、予想に反し、たいへんな労作である。野崎さんは85歳になるそうだが、文字に対する執念、みずみずしさが本書のはしばしから感じられる。わたしたちは、文字というと活字というふうに思いがちだ。しかし、「比」を5画と...

感動の書である。Amazonから送ってくる広告を見てなにげなく買ったのだが、予想に反し、たいへんな労作である。野崎さんは85歳になるそうだが、文字に対する執念、みずみずしさが本書のはしばしから感じられる。わたしたちは、文字というと活字というふうに思いがちだ。しかし、「比」を5画と思っている人は(かつてのぼくもそうだったが)完全に明朝体の罠にはまってしまっているのである。現在の活字の基本形である明朝体は、本来木に彫りやすく、さらに見やすいことを目指し形成されてきたもので、ともすれば、文字というものの本来の形である書写体、手書き体というものを忘れさせてしまう。(『明朝体の美しさ』という本まであるくらいだ)野崎さんは長年、書道教育、書写教育に携わってきた人で、文字は本来どう書くべきかを本書で詳細な例をあげて解説している。野崎さんは島根の在だが、一つの文字を調べるのに、全国の図書館を訪ね歩く。ぼくが、この問題に目を開かれたのは、中国語教師として、簡体字がどこからきたかをつきとめたからで、大熊肇さんの『文字の仕組み』で、まず蒙を啓かれ、大熊さんの本にあった江守賢治さんの『解説字体辞典』でさらに興味を深めた。野崎さんはこの世界の権威的存在である江守さんや白川静、阿辻哲次さんらをはじめ『康煕字典』の説をも正す。そのたびにぼくは、思わず襟を正したくなる。文字に関心のある人には必読の書である。

Posted byブクログ