秘された情欲 の商品レビュー
羞恥方面に寄った誘惑SM調教ロマンチカ第3弾
庵乃音人×竹書房ラブロマン文庫のタッグで人気を博す「誘惑SM調教ロマンチカ」シリーズも、『やさしく躾けて』から『とろける兄嫁』を経て本作で第3弾となる。作品間に関連性は無いので、どの作品からでも読み始められるが、この路線で3作目との意識が書き手側にはあると思われる。そのためか、何...
庵乃音人×竹書房ラブロマン文庫のタッグで人気を博す「誘惑SM調教ロマンチカ」シリーズも、『やさしく躾けて』から『とろける兄嫁』を経て本作で第3弾となる。作品間に関連性は無いので、どの作品からでも読み始められるが、この路線で3作目との意識が書き手側にはあると思われる。そのためか、何となく予定調和のような雰囲気もほんの僅かだが展開に漂っているため、せっかく読むのであれば本作は3番目にされることをおすすめする。ただし、この「ほんの僅かな、何となく予定調和」にネガティヴな印象は無く、むしろ、シンプルなアプローチに留めることで、その後の官能面に力点を置いているようにも見受けられる。 哀しい過去によって自身を卑下する恋人の姉と出会い、その(心身共の)相性の良さから恋人との現状を曲げてまで姉のココロとカラダを救済し、自らに芽生えた真の想いを成就させようと奮闘する男の物語の中で、その救済方法が「羞恥」の調教となっている本作。数々の羞恥プレイが登場してくる。合体こそ主人公とのみだが、様々な場面では他の男にも嬲られる(嬲らせる)淫猥さで姉の羞恥を煽り、その改心を迫っていく流れが読み手にも迫ってくる。興奮度の高い官能描写が続くが、妹思いで過去にも執着する姉はある意味で手強いのである。 このシリーズではお馴染みとなった、過去に調教を施されたサブヒロインや、もちろん恋人も登場するが、これらの人間関係が基本的に全てズレているために引き起こされ、醸成されていく、ある種の満たされないモノを皆がそれぞれ抱えているところに何とも言えない悲哀が全編に漂っており、好みによっては酷い仕打ちを受け続ける報われないヒロインもいるように写るであろう。また、それを解決に導くのが優しい思いやりと愛情というのも、これはこれで良くも悪くも都合の良い男の論理なのかな?とも思ってみたり。特に今回は主人公の恋慕の矛先が途中から変わるため、余計にそう感じたのかもしれない。
DSK
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