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あの夏、エデン・ロードで の商品レビュー

3.8

9件のお客様レビュー

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2023/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かったー! 気の毒というかまあいろいろ痛々しいのでなかなか勧める人を選ぶけど。 個人的には最後の部分がすぐにはわからなかった。だって、あんなこともこんなこともしてて、今更?(しかもそれはすでに時効では…とか)いつ隠したの?というかなぜそのタイミング?とかまあ、色々と疑問が湧きまして。 ただとにかくわたしは、この作品好き。帯買い最高。「最悪の結末に備えよ」ほど最悪ではないと思ったけど。 好きポイントは ・あらゆる伏線が見事に回収! ・そこここに示される三男と妹の関係、そうならざるを得ない長兄・次兄との関係性など、人間関係の描写が見事 ・ワンダーウーマンのお人形とか真実の輪とか、小道具も効いてる 苦手ポイントは ・最初の方で時間軸があっちこっち行って戻ってが1-2ページごとにあったのが慣れるまでしんどかった 読み終わって「その女アレックス」と「白夜行」が読み返したくなったなあ。アレックスとは兄との関係性はまるで違うけどこう、色んな意味で逆バージョンぽいなあと。そして白夜行はこれも、違うんだけど根っこの気持ちにどこか、類似性があるような気がして。あとは、最後の最後のメッセージの強さでいうと、「ゴールデンスランバー」かな。 ああ、名作はなんかこう、定期的に読み返したくなるんだよなあ。そしてその着火してくれちゃう作品ってのもまた、自分にとってはけっこう、長く付き合うことになる、大切な本になったりするんだなあ。

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2017/04/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み終えて、やっとプロローグの独白はグレースだとわかる。読み終えてもう一度、プロを再読すると、こんな終わり方はあまりにもキツイ  兄ちゃんを信じて頼って、強くなって乗り越えてほしかったけど、逆に大好きな兄ちゃんだからこそ打ち明けられなかったのか…切なすぎるよ・゜・。

Posted byブクログ

2015/08/17

イヤミスという造語を知り、そのキーワードから見つけたのがこの本。自分にとってイヤミスとは、ケッチャムの世界観だったから、同じものを期待した。似ている。しかし、思ったより、エグくない。つまり、イヤミス度が高くない。 不良少年による喧嘩、イジメ、度を越したイタズラ。夫婦喧嘩、DV、...

イヤミスという造語を知り、そのキーワードから見つけたのがこの本。自分にとってイヤミスとは、ケッチャムの世界観だったから、同じものを期待した。似ている。しかし、思ったより、エグくない。つまり、イヤミス度が高くない。 不良少年による喧嘩、イジメ、度を越したイタズラ。夫婦喧嘩、DV、事故。キチガイ、監禁、強姦、薬物。こんなキーワードがずらずら並べば、組み合わさる世界は、まさにイヤミスである。そして、イヤミスとは、救いのない絶望。 面白いが、帯が伝えるほど、過激ではない。いや、私が麻痺しただけかも知れない。

Posted byブクログ

2014/04/22

1976年、ジョージア州の小さな田舎町のエデン・ロード沿いの家に住む少年の話。少年が自動車事故を目撃するところから始まる。自動車事故被害者が行方不明の謎と同時に、少年とその妹に恐怖を与えようとする不気味な中年男がからんでくる。中盤で謎は判明するのだが、幼い子供たちに与える恐怖の大...

1976年、ジョージア州の小さな田舎町のエデン・ロード沿いの家に住む少年の話。少年が自動車事故を目撃するところから始まる。自動車事故被害者が行方不明の謎と同時に、少年とその妹に恐怖を与えようとする不気味な中年男がからんでくる。中盤で謎は判明するのだが、幼い子供たちに与える恐怖の大きさがじわじわ伝わる作品。なんだかいたたまれない気分させられる。

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2013/05/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

しばらく、あとをひきそうな感じ。 読み終わった後も、切なく苦しい。 子供が本当は何に悩んでいるか 親はわからないものですね。 まして他の人からみたら全くわからないものですね。 親も自分のことでいっぱいなこともあるだろうけど、 あの刑事さんも、外から見た方がわかっているような雰囲気もあるけど 肝心のところでは、やはり本人しかわからない苦しみが、 人にはいえない悩みや事件があるんですね。

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2013/05/26

タイトルからもっと南部の牧歌的でのどかなストーリーの印象を受けたが、実際には全く違った。 少年の頃の世界観における恐怖と人生の転機について良く描けていると思うけど、途中で読むのがつらくなる。 丁度真ん中すぎから話は大きく進み、普通の子供の生活はできなくなり、最終的には最悪な結末と...

タイトルからもっと南部の牧歌的でのどかなストーリーの印象を受けたが、実際には全く違った。 少年の頃の世界観における恐怖と人生の転機について良く描けていると思うけど、途中で読むのがつらくなる。 丁度真ん中すぎから話は大きく進み、普通の子供の生活はできなくなり、最終的には最悪な結末とまでいかないけど、主人公たちにあまり救いがないまま結末を迎えるので、後味も良くない。 最初の3頁のヤク中女が最後の独白で嫌な予感がしたが、それで読むのが合わないと思ったらやめた方がいい。 網目女についてはいろいろ話に無理がある気がした。

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2013/05/11

「スタンド・バイ・ミー」みたいなもの?と読み始める。途中、あまりにもつらくなり、最後まで読み進められるだろうか、読んでいいのだろうか、と躊躇うことになったが、最後まで読むと今度は悲しくなる。よく練られよく道筋をつけられたことによってその哀切は導き出されているわけだけれど、それにし...

「スタンド・バイ・ミー」みたいなもの?と読み始める。途中、あまりにもつらくなり、最後まで読み進められるだろうか、読んでいいのだろうか、と躊躇うことになったが、最後まで読むと今度は悲しくなる。よく練られよく道筋をつけられたことによってその哀切は導き出されているわけだけれど、それにしても途中があまりにもつらくて、これでいいのだろうか?と一抹の疑問が消せない。

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2013/05/03

 若い書き手の二作目ということだから、読みにくいのかな、と思った。プロローグで、50歳にしか見えない37歳の薬中女性が死のうとしているシーンが紹介され、話はいきなりジョージア集のエデン・ロードという、概ね3km程度しかない子供にとっての全世界へと移る。そこは、砂利道と、とうもろこ...

 若い書き手の二作目ということだから、読みにくいのかな、と思った。プロローグで、50歳にしか見えない37歳の薬中女性が死のうとしているシーンが紹介され、話はいきなりジョージア集のエデン・ロードという、概ね3km程度しかない子供にとっての全世界へと移る。そこは、砂利道と、とうもろこし畑と、老いて攻撃的になっている荒くれ牛の放牧された牧場、数える程しかない田舎家、オアシスのような木立に囲まれた緑沼くらいでできた小さな世界なのだが、それがこの小説の舞台である。  子どもの眼線で描かれる小説は、およそ二つに分かれる。子供らしくおおらかで自由で夢あふれる冒険の物語か、暗く陰鬱な大人や怪物たちの怖い世界を盗み見ながら多くの苦難を背負わされる試練の物語だ。もちろんそれら両方が適当にブレンドされていることもあるが、傾向としては陽か陰かのどちらかに分かれることが多い。この小説は、まぎれもなく後者である。ジョー・R・ランズデールの『ボトムズ』のような世界である。いわゆるディープサウス、深南部と呼ばれるランズデールの世界と共通する、夏の汗の臭いに満ちた世界である。  舞台に最初に登場するのは、網目模様の女である。主人公である10歳の少年カイルが自転者を漕いでいると、彼との正面衝突を避けようとした猛スピードの車が横転。割れたプロキシガラスの向こうからは、顔面に網目状の血を流した若い女性が現れ、カイルに助けを求めてきたのだが、カイルは怖くなって自宅に逃げ帰ってしまう。二日後に、女性黒人警察官のデイナが自宅に姿を見せ、メロディという娘が行方不明になっているので目撃していないかと質問してくる。一家は否定する。カイルも。  カイルには二人の粗暴な兄と、一人の愛くるしい妹がいる。両親は離婚を考えているのだが、それをカイルは知らない。  カイルには三つの怖いものがある。地面に時折り転がっていて触ると爆発する雷管、近隣の不良少年トリオ、牧場の老いた荒くれ牛である。  すべてが敵であるような子供世界の中で唯一の見方が妹のグレイスであり、父や母にもあまりカイルは本当のことを語らない。  この家庭では子供の過ちに余程の体罰を加えるのだろうかと疑われるくらいに、カイルは叱咤を避け、嘘をつき、親を避ける。そのあたりの独立心などは、この風土に生きるために必要な生存本能なのかもしれない。そう思わせるほどに、人間以上に、この風土、この地帯、このエデン・ロードを囲む少年の全世界は、物語の主体であるかに見える。  前半では滔々と少年の世界が書かれ、少年の苦難や不安や緊張が描かれる。あるところを境に少年にも少女にもより真の試練がやってくる。怪物の存在である。  その怪物がその程度異常で、どの程度残酷で、どの程度暴力的で、どの程度狂っているかを、少年も読者も最初はわからない。しかし、徐々にその実態がわかってくる。網目模様の女の運命がわかってくる。女性警察官デイナの捜査が事件の軸に近づいてくる。しかし、誰も彼もがもう少しのところで真相にぶち当たらず、少しだけずれてゆく。そのズレを知っているのは読者と作者だけである。どこにも名探偵は存在しない。  痒いところに手が届かない苛立たしさが螺旋状に組み上げられ、不快と不安と緊張が頂点に達した時、物語は突然の収束を迎える。そして結末は、プロローグの謎に答えを与える。  痛快さもなければ、安堵もない。一体何が行われたのだろう、と思われるほどの謎めいたこの土地の過去が多く土中に埋められ、あるいは沼の底に沈められ、山になり、汚泥になり、その謎を掻き回したままに、上から舗装される。幾年もの年月を経て、今では整然とした宅地と化した現代のエデン・ロードが残される。皮膜のように覆われた平和の底にかつて怪物がいた記憶を残して。  杉江松恋氏が解説で書いているように、確かに作者の筆はかしこでぶれる。突然キャラクターのその後、末路までを語ってしまったり、突然物語の視点を少年から親や警察官に移してしまったり、時間を巻き戻してしまったり。その決して少なくないストーリーのぶれが、若書きのせいか、とも思える一方で、作者の独特の意図した筆使いなのかなとも思える。  一作では評価は下せないまでも、トマス・H・クックのような叙情のオブラートに包むわけでもないこの手の小説作法の独自さに、少なからず驚きを感じさせられたのは間違いない。あまり何度も体験したいと思う世界でないことは確かであるのだが……。

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2013/02/19

真っ青な空。柔らかな日差し。一面のトウモロコシ畑。 「あの夏、エデン・ロードで」という、印象的なタイトル。 これだけだったら、きっと手に取る事はなかっただろうな。 「最悪の結末に備えよ。」という帯が目に留まり、 表紙とのギャップに、思わずレジへ直行してしまいました(笑) 田...

真っ青な空。柔らかな日差し。一面のトウモロコシ畑。 「あの夏、エデン・ロードで」という、印象的なタイトル。 これだけだったら、きっと手に取る事はなかっただろうな。 「最悪の結末に備えよ。」という帯が目に留まり、 表紙とのギャップに、思わずレジへ直行してしまいました(笑) 田舎道、兄妹、<怪物>…とくれば、 映画「ジーパーズ・クリーパーズ」を思い出すのですが、 ある意味それよりもおぞましい、何とも後味の悪い作品です。 ある夏、幼い兄妹を襲った悲劇。 安全なはずのエデン・ロードで、突然日常が崩壊してしまう瞬間。 少年カイルの視点から展開していく物語は、あくまでも淡々としています。 大きなどんでん返しがある訳ではないし、ラストも予想の範囲内。 それでも引き込まれてしまう。例え最悪の結末が待っているとしても。 心にどんよりと重いものが残りますが、嫌いじゃないです! 読後にもう一度プロローグを読み返すと、胸が痛くなります。。。

Posted byブクログ