風雅と官能の室町歌謡 の商品レビュー
植木朝子氏の『五感で読む閑吟集 風雅と官能の室町歌謡』(角川選書、2013)をふたば書房京都駅八条口店で買う。小野恭靖氏の『戦国の流行歌』は16世紀末の隆達節だつたけど、閑吟集は永正十五(1518)年と16世紀初頭に成立している。著者の本を読むのは『梁塵秘抄の世界』(角川選書、2...
植木朝子氏の『五感で読む閑吟集 風雅と官能の室町歌謡』(角川選書、2013)をふたば書房京都駅八条口店で買う。小野恭靖氏の『戦国の流行歌』は16世紀末の隆達節だつたけど、閑吟集は永正十五(1518)年と16世紀初頭に成立している。著者の本を読むのは『梁塵秘抄の世界』(角川選書、2009)以来だから、久しぶりとなる。論文をまとめた関係で、今様から隆達節まででてくることになる。 五感に分けて閑吟集から歌を選んで分析する。「味わう」では、「日本の古典文学において、食べ物やその味わいが詳述されることはまれである。」(14頁)としながらも、「青梅の枝」に若い女の暗示をみる。「愛欲の表現においては、当然予想されることながら、五感のうちでも特に触覚に訴えるものが多い。」(32頁)。「香りは人の記憶をよみがえらせるのに大きな働きを担う。」(92頁)、「小歌は、当然ながら耳で聴くものであり、その旋律やリズムを楽しむものであった。」(150)。「日本の伝統的な和歌の世界では、目で楽しむ四季折々の自然の美しさが重要な詠歌の対象となってきた。」(202頁)としながらも、「季節の風物を恋人の比喩に用いたり」(203頁)、「意匠・文様の世界と深く関わる器物が歌われる」(同)という。著者の読み方はしっかりしているな〜。
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