残夢整理 の商品レビュー
読後、不思議な爽快感。読みながら、著者と一緒に自分も心に溜まっているものを見つめて整理しなおしていたのかも。 「能の毒に中(あた)る」という表現があった(p74)。著者の新作能も読んでみたくなった。
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20140324読了 なぜ「読みたい」登録したのか謎な本だったが、とにかく読む。●著者は平成22年に70代後半で死去。昭和の時代に著者が深く関わりをもち、その死を見送ってきた人たちとの思い出。●題名が語るように、命の終りが見えてきてそれまでの人生を振り返り、記録したもの。6章から...
20140324読了 なぜ「読みたい」登録したのか謎な本だったが、とにかく読む。●著者は平成22年に70代後半で死去。昭和の時代に著者が深く関わりをもち、その死を見送ってきた人たちとの思い出。●題名が語るように、命の終りが見えてきてそれまでの人生を振り返り、記録したもの。6章から成る。出てくるのは著者より先に亡くなった人。故人の話ばかりがこの筆致で続くのだと気づいたら、前半でちょっと気が重くなった。内容の濃さに支えられて読了。●昭和を生きた人間の人生が標本のように並んでおり、その時代の空気感を感じる本。
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もうすでに亡くなった親しかった人たちとの回想録。死は誰にでも訪れるもので受け入れざるを得ないけれど、どうしようもなく悲しい。切なくてもの悲しくて、愛しい…。
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筆者は免疫学者で画期的な発見により世界の医学の発展に貢献した人物である。その著者による回想録だ。6つの随筆からなるが、そのいずれにも筆者の人生において多大な影響を与えた人物とその死(一人は不明)が描かれている。それぞれの人物にはそれぞれの生きかたがあり、それがどんなに奇抜なもの...
筆者は免疫学者で画期的な発見により世界の医学の発展に貢献した人物である。その著者による回想録だ。6つの随筆からなるが、そのいずれにも筆者の人生において多大な影響を与えた人物とその死(一人は不明)が描かれている。それぞれの人物にはそれぞれの生きかたがあり、それがどんなに奇抜なものであれ、またどんなに純粋なものであれ、確かに自分の生を生きたと言える人ばかりである。なかには不治の病魔に命を落としたものもあれば、戦争の状況が人生の行方を大きくねじ曲げた人の話もある。それぞれが痛切で確かな重みがある。 書名の残夢整理は実は筆者自身の死期が近づく中で書かれた随筆であることを示している。残夢をひっくり返すと無残とは筆者が述べていることではあるが、死に近づくとある意味冷静になれることもあるのかもしれない。それは筆者が医学の権威であるからかもしれないが。 日常を何気なく生きている私にとって、死は漠然たるものにすぎない。しかし、生あるものは必ず死を迎える。それを見通さなくてはすべての生の活動はむなしい。私はこの歳になって、このようなエッセイを読む意味が以前よりも分かるようになった気がしている。
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