皮膚感覚と人間のこころ の商品レビュー
皮膚感覚の低下によって身体のイメージに異常が生じ、それが原因で、実際には普通に食事をして保つべき身体であるにもかかわらず、「食事すべきでない」という意識が、摂食障害を引き起こしたのではないか? 健常者では意識されることはありませんが、実は私たちの皮膚は常に、健康であるべき身体の形...
皮膚感覚の低下によって身体のイメージに異常が生じ、それが原因で、実際には普通に食事をして保つべき身体であるにもかかわらず、「食事すべきでない」という意識が、摂食障害を引き起こしたのではないか? 健常者では意識されることはありませんが、実は私たちの皮膚は常に、健康であるべき身体の形のメッセージを脳にもたらしていて、それが食事の量に影響を及ぼしているのかもしれません。
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皮膚には視覚や聴覚もあるらしい。意識のあり方も成長も左右するとか。この世にスキンシップほど大切なものはないのだなー。
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タイトルから、もっと抽象的な内容を想像していたのだが、具体的な論文や実験データが多く引かれ、非常に科学的。かなり専門性の高い記述も多く正直手こずったのだが、興味深い内容で引き込まれた。 「皮膚の最も重要な役割は、生体を環境変化から護る、防御システムとしての機能」このあたりは、誰...
タイトルから、もっと抽象的な内容を想像していたのだが、具体的な論文や実験データが多く引かれ、非常に科学的。かなり専門性の高い記述も多く正直手こずったのだが、興味深い内容で引き込まれた。 「皮膚の最も重要な役割は、生体を環境変化から護る、防御システムとしての機能」このあたりは、誰でも想像がつくだろう。 では、表皮は脳に似ている、と言われればどうか。一体何を言い出すのかと、面食らうに違いない。 第1章から6章までは、様々な論文や、具体的な働きを研究した結果を数多く引きながら、人間の生育過程や進化の面から見た表皮、また、触覚だけでなく聴覚や視覚といった感覚まで有する皮膚について解説、脳の働きによく似た皮膚の情報処理システムのしくみを説く。 それを踏まえて、7章では皮膚が生み出す「自己意識」について考察されているのだが、ここがとにかく面白い! 自己意識とは何かに始まって、単細胞生物の集合から出現した「自己意識」的なもの(イグノーベル賞を受賞した中垣教授の粘菌研究が例として挙がっている!)、また脳科学的に考察した自己について、さらには皮膚がなぜ自己意識を生んでいると言えるのか、実験を引きながら解説。 視覚、聴覚と比較した社会システムにおける皮膚感覚についても言及され、非常に興味深く読んだ。 ただ一つ、ここまで徹底的に科学的に論拠が進められ、神秘主義的な事柄には興味ないと明言したにもかかわらず、最終章で突然、宇宙の創造者としての神云々とか、創造主の神が与えたもうたナントカ、とか言い出したのには、ちょっと違和感を覚えた。 なぜいきなりここで「なんと神秘的だろうか」とくるかなぁ…。ちぐはぐな印象が否めず。 余談。 皮膚の話なので当然、しわがどうとか、老化現象でどうとか、バリア機能を回復させるタンパク質の働きについてもいろいろ解説がある。 そして著者は、分子生物学の学術的研究や解明よりむしろ、非線形科学の考え方で、表皮の問題に対処する方法を解決していきたいと言っているのだ! しかも著者は資生堂の研究員じゃあないか。しめしめ…。 実は、読みながらずっと、これをすると機能が回復、とかいう記述を見るたびに、え、じゃあ今それをやるにはどうすればいいのかしらん?とそればかり気になっちゃって…。 ぜひとも少しでも早く、その皮膚の老化現象を解決する画期的な方法を見つけて、世に出してほしいなぁ~。 期待しちゃおう。
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人間のこころ、とあるが、内容はかなり科学的な印象。実験に基づく考察の連続という感じだけど、それなりの納得のいく内容だと思う。とりあえず、まだまだ未知の領域の皮膚とそれに伴う感覚、ケアや愛着にも興味があるので、ぜひ解明して欲しいところ。
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