サイト 建築の配置図集 の商品レビュー

松岡聡(著者),田村裕希(著者)

2022/06/12

平面という鉛直の俯瞰図にして、線で描くことは、切り取りだけれど、解像度を下げているのではない。むしろ、状況を解釈するための手助けになる。ひとつの測点から写して、定点を設けるほうが、物事を認識し易くすることにはたらいている。図面という道具を使って、考え、示し、伝達するということは、言語的な役割において、創造的な行為を導いてくれる。

図面を見ることの楽しさ。図面に置き換えることの楽しさ。図面を描くことの楽しさ。それが建築をつくることの楽しさになっているし、建築的に世界を扱うことの楽しさを覚えさせてくれている。

平面図から、世界を変換し、自らのなかで再構築する際の想像が、面白いことだと、図集を繰りながら確認していた。

縮尺を認識する。
どこまでも広がるし、どこまでも精細にできる。その制御は映す側、自分次第のものだ。

縮尺を繰り広げる、どんな風にでも。
解釈し、抽象化する制限と、どこまでもスクロールできる認識によって、世界を固定しない、固定する必要がない世界が表れてくる。それは、世界という意味のそのままだし、そして、世界に向き合う、その楽しさを発見させてくれる。

2013/01/23

2月1日発売とありますが店頭に並んでました。
配置図集とありますが平面図や立面図も載っていてなかなか楽しめます。
80以上もの名建築が収録されボリュームたっぷりですが、
あまり大きい本ではないので図が少々小さめなのが残念。
(シュレーダー邸の配置図が1:500で平面図が1:300など)
でも内容はわかりやすいので許容範囲かな。

写真やイラストがほとんどない割には高めのような値段に感じますが、
このボリュームを考えるとお買い得かな？