新ナニワ金融道(1) の商品レビュー
(10) 本書に登場する金を借りる側の人間はどうしようもない人間として描かれている者が多い。本巻の転落していく夫婦もまさにそうだが、こうはなりたくないなと他人事のように考えながら一方で自分とは全く人間とも思えず、一歩間違えば自分も転落していく気がして怖ろしくなる。泣きを見るのは愚...
(10) 本書に登場する金を借りる側の人間はどうしようもない人間として描かれている者が多い。本巻の転落していく夫婦もまさにそうだが、こうはなりたくないなと他人事のように考えながら一方で自分とは全く人間とも思えず、一歩間違えば自分も転落していく気がして怖ろしくなる。泣きを見るのは愚か者ばかりで、勝つのは知恵者なのか。 (11) 「5歳の子の1年は生きてきた5年間を分母にしたら5分の1やけど、50歳やと50分の1しかあらへんのやからな」。 1年が過ぎるのが早く感じるようになったという部長との会話での金畑社長の一言。 「時間ゆうもんは振り返ったら短いもんやで」。言われてみてなるほど。 (12) 原爆を落としたエノラ・ゲイ、アパッチ族、朝鮮人特攻隊、大村入国者収容所、M資金…戦時戦後の知らない言葉が出てきて不勉強を知る。 (13) 若い頃の金畑社長は横山の死に接して「人間は欲の塊」と思う。性善説や性悪説やいろいろ考えた末、今の自分もその思いに至る。 愛する横山を失った性子がヤケ酒する時に「最高のお酒ゆうんは『好きな人達と好きな場所で好きなだけ呑む酒』やよって」と言い放つ。いい言葉だ。 (14) 正男が祖国(北朝鮮)へ旅立つ時、若かりし頃の金畑社長は駅前で人目も憚らず、大声でエールを送る姿にジンと来る。 (15) 金畑社長の生い立ち物語が終わると政治色全開のシリーズが始まる。やや違和感。 (16) この漫画はどん底の人生を見ることができる。人生を賭けて何かに挑戦している時に読むと心が折れるかもしれない。 (18) 「人は拠り所がないと生きていけへんよってに」。飯場で働く年配の夢がマチュピチュに行くことだと聞いて作業員の飯の世話をする女がぽつりと言った言葉。同感。
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