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新しいウイルス入門 の商品レビュー

4.1

17件のお客様レビュー

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2022/10/05

https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057329

Posted byブクログ

2021/03/11

「さいごの色街 飛田」と一緒に図書館で借りた本。高校生の頃、「お色気本」を買うとき、恥を隠すために「螢雪時代」を買っていましたが、当時の心境に似ています。 要はカモフラージュで借りた本ですが、良書でした。 今年ほど人類がウィルスに悩まされた年はないと思いますが、まずウィルスは生...

「さいごの色街 飛田」と一緒に図書館で借りた本。高校生の頃、「お色気本」を買うとき、恥を隠すために「螢雪時代」を買っていましたが、当時の心境に似ています。 要はカモフラージュで借りた本ですが、良書でした。 今年ほど人類がウィルスに悩まされた年はないと思いますが、まずウィルスは生物ではありません。なぜなら「ウィルスは宿主の細胞の中に入っていかなければ増殖することができない」からです。「生物は自分自身の力で代謝活動し、増殖できなければならないが、ウィルスは宿主の細胞の中に入り込まないとそれができないのだ」。 「入門」とある通り、本書は基本形のウィルス、すなわち核酸(DNA/RNA)をタンパク質でできたカプシドという殻が覆っている基本形と分類体系を説明。そして増殖の過程や病原体としてのウィルスをわかりやすく説明します。 本書には「単なる病原体でなく生物進化の立役者?」というサブタイトルが付いています。ウィルスが生物のゲノムの中に入り込み、生物の進化にとって重要な役割を果たしてきたことが明らかになってきました。胎盤の機能にとって重要な遺伝子に「シンシチン遺伝子」というものがあり、それがかってはウィルスの一種であることが論じられています。そして私たちが哺乳類であり続けることができるのは、私たちの祖先がこのウィルスに感染したためと推理します。 著者の武村政春さんはDNAやタンパク質など生命に関わる多数の著書を持つ生物教育学の先生。 「筆者が言いたいのはウィルスは生物のことなど知らないで、ただそこに私たちが細胞と呼んでいるものが厳然としてあって、その中に入り込んでただ増殖しているだけであり、何の他意もないと言うことである」 この本を読んでいると、新型コロナウィルス自体にも悪意はないということは理解できます。重要なのはウィルスに我々の細胞を晒さないことですね。 著者の趣味は落語とのこと。そのせいかウィルスを擬人化した例え話も多く、読みやすいブルーバックスになっています。 ウィルスを知りたい人にお勧め。出版されたのは2013年。今、出版されたら内容も変わったものになったかもしれませんが、ウィルスの基本が3時間程度で理解できます。

Posted byブクログ

2020/04/05

新型コロナのパンデミックで世界中がエライことになっている中で、改めてウイルスについて知りたいと思って。 天然痘や麻疹は一度かかったら二度はかからないとされているのに、インフルエンザはなぜ毎年ワクチンを打たないといけないのか。 ウイルスはそもそも何を食べて?生きて?いるのだろう? ...

新型コロナのパンデミックで世界中がエライことになっている中で、改めてウイルスについて知りたいと思って。 天然痘や麻疹は一度かかったら二度はかからないとされているのに、インフルエンザはなぜ毎年ワクチンを打たないといけないのか。 ウイルスはそもそも何を食べて?生きて?いるのだろう? ウイルスが生物なのかどうかはともあれ、なんかしている(から病気になる)以上は活動のためのエネルギーをどこからか得ているはずだが、いったいどこから? ちなみに最初の疑問については、本書の中にそのものズバリが提起してあって、回答もちゃんと書いてある。やっぱりそういうことだったのか。 たとえ話等でわかったように思わせる、のではなくて、初心者向けとはいえ本気の解説本で、専門用語が頻出する。生化学や分子生物学の基礎知識がないと読み進めるのは厳しい。だが、頑張ればいろいろと発見もある。バクテリアにくっつくバクテリオファージを、殺菌剤代わりに加工食品に添加することがあるなんて知らなかった。 当面の課題である対ウイルス防御、つまり免疫反応やワクチンについては本書の守備範囲外だったので、別の本を探してみよう。 症状が出なかった人も含めて、新型コロナに感染して回復した人は免疫を獲得したってことだよね? つまりまだ存在しないワクチンを受けた状態になっているとぼくは思っているのだが、正しいだろうか? 抗体/免疫ができていることはどうやって調べるのだろう? 免疫を持ったひとが一定数増えたときに、社会的免疫として働くようになって、パンデミックは収束に向かうということなんじゃないだろうか?

Posted byブクログ

2020/04/18

 本書を読めば,私たちが持っている〈ウイルスに対する構え方〉が変化するだろう。〈感染症の原因〉〈諸悪の根源〉のようなウイルスのイメージは,ウイルスの一面しか知らないことから引き出されていることを教えてくれた。  そもそも,私たちのまわりにはじつに多くのウイルスが存在しているらし...

 本書を読めば,私たちが持っている〈ウイルスに対する構え方〉が変化するだろう。〈感染症の原因〉〈諸悪の根源〉のようなウイルスのイメージは,ウイルスの一面しか知らないことから引き出されていることを教えてくれた。  そもそも,私たちのまわりにはじつに多くのウイルスが存在しているらしい。本書の紹介によると「天然の水の中に,1mLあたりおよそ2億5000万個のウイルスがいる場合がある(海水中には約500万個から1500万個)」という。これは大変だ。がしかし,著者は,視点を変えるとこの数はたいしたことがないとも言っている。たとえば,人間の血液中にある赤血球の数は,1mLあたり40億個も含まれているらしい。「これに比べれば,海水中のウイルスの量など微々たるものだ」となる。  ウイルスの型わけなども分かりやすく説明してくれている。なるほど,ウイルスの世界にもこんな分類ができるんだなとかしこくなった気がする。今話題のコロナウイルスは,RNAウイルス→1本鎖RNA→コロナ(脊椎動物が宿主)→コロナ→(SARS,新型コロナ)となる。インフルエンザは,RNAウイルス→1本鎖RNA→オルスミクソ(脊椎動物が宿主)→インフルエンザ→インフルエンザ。  鳥インフルエンザとかトンコレラなどといって騒いでいる時期もあったけど,そもそもウイルスは,もともと細菌・植物・昆虫・脊椎動物など,いろんな宿主に感染しているんだと知っていれば,「それがなぜ人間に…」と考えることもできる。そうすれば,これまでいなかった場所にクマが出てくる現象とつながってくるような気してくる。そもそも,人間の生活を省みる必要はないのか…と。  新型コロナのように,ときにパンデミックを引き起こすウイルスたちは,人間の細胞の中に入り,細胞が持っているコピー機能を使って自らのコピーを作り瞬く間に増殖する。こうなってくると,ウイルスは「やっつける相手」としか感じられないし,そのときはそれでいいのだとは思う。  しかし,こういう流行をきっかけに,いったいウイルスとは何なのか。なぜ,生物が持っているDNAやRNAを持っているのか。そもそも,生物の細胞の中のDNAやRNAとどこが違うのか…いろいろと気になってくるのも仕方ない。そして,その振る舞いを見るにつけ,生命の基本の部分にウイルスがいるのではないかとも思えてくる。  この辺りに興味がある人は,是非,本書を手に取って読んで欲しい。  ところどころ,ユーモアのある表現もあって,難解な内容を説明しているわりにはとっつきやすいと思う。  

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2020/03/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まずこのご時世ウイルスが人工に膾炙しているわりに、自分がほとんどウイルスについて知らなかったのでこの本を手に取った。内容は、生物学を全く知らない人には読みづらいかもしれないが非常に面白いものだった。 ウイルスの構造、生活環、多様性や生物との違いなどしっかり学ぶと似て非なるものが多々あり非常に興味深く感じた。個人的に学びとなったのは、哺乳類の胎盤はもともとウイルス由来の遺伝子によって作られるものであること、ウイルスの起源の仮説、多細胞生物の本当の姿の考察、また食品添加物にウイルスが利用されていることなどである。ウイルスを悪者のようには思えなくなりそうだ。

Posted byブクログ

2019/05/21

ウイルスについて何も知らなかったのでいろんな新発見があっておもしろかった。そもそもウイルスって分類すると生物じゃないのね。そんなことも知らなかった。私たち真核生物の細胞の中にある細胞核って、もしかしたら太古に感染したウイルスかも?っとかいう説にもドキドキする。恐ろしいことに、この...

ウイルスについて何も知らなかったのでいろんな新発見があっておもしろかった。そもそもウイルスって分類すると生物じゃないのね。そんなことも知らなかった。私たち真核生物の細胞の中にある細胞核って、もしかしたら太古に感染したウイルスかも?っとかいう説にもドキドキする。恐ろしいことに、この本読んでたらウイルスに感染して風邪をひいてしまった。まるで呪いのビデオのような感染コードがどこかに隠されています。ウイルス恐るべし。

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2018/10/26

核酸(DNAあるいはRNA)を持つが細胞膜は持たない。自己複製能を持つが、単独では生きていけない。ウイルスは「限りなく生物に近い物質」と見なされているそうだ。しかしウイルスが生物か否かは定義上の問題であって、本質的な問題ではないと思う。生命の起源が自己複製能を持った有機物だったと...

核酸(DNAあるいはRNA)を持つが細胞膜は持たない。自己複製能を持つが、単独では生きていけない。ウイルスは「限りなく生物に近い物質」と見なされているそうだ。しかしウイルスが生物か否かは定義上の問題であって、本質的な問題ではないと思う。生命の起源が自己複製能を持った有機物だったとすると、それはまだ現代の定義で生物と呼べるものではなかったであろう。結局、生物は無生物から進化してきたのだ。そして生物進化のかなり初期の段階で支流となったウイルスは、その寄生性から生物進化に大きな影響を与えながら、受けながら、今に至るのだろう。 プロローグ  発見された巨大ウイルス 第一章 生物に限りなく近い物質 第二章 ウイルスの生活環 第三章 ウイルスはどう病気を起こすのか 第四章 ウイルスは生物進化に関わったのか 第五章 ウイルスの起源 第六章 巨大ウイルスの波紋 第七章 ウイルスによる核形成仮説 エピローグ 結局、ウイルスとは何なのか

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2015/12/25

巨大ウイルスの発見で、ウイルス研究は新段階を迎えた。ウイルスとはどんな形をし、どんな種類があり、どんな働きをしているのか。

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2014/11/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ウイルスの基本的な構造・生活環、ウイルスによって病気が起こる仕組みから、ウイルスの起源と生物進化との関わりについての最先端の研究の知見まで、薄いわりに内容のぎゅっとつまった本。DNAとRNAの違いやセントラルドグマなど、基本的な話から始めてくれるので、初心者にもおすすめ。 「ウイルスは生物ではない!」なんて思っていたが、いよいよそんなことも言ってられなくなってきた。ホットで興味深い話題がたくさん!もっと詳しく知りたい。 ・ノロウイルスの感染と血液型には関連がある? ・タバコモザイクウイルスの内部の細長い空間を使ってナノマシンをつくる試み ・私たちヒトゲノムのおよそ半分に、ウイルス由来の塩基配列がある! ・有胎盤類の胎盤形成に関わる遺伝子が、かつてレトロウイルスだったときのエンベロープ形成に関わる遺伝子に由来していた。(内在性レトロウイルス配列) ・最小の生物といわれるマイコプラズマを凌駕する大きさ、遺伝子の多さ、複雑さを持つ巨大ウイルス(ミミウイルス)の発見は、生物とウイルスの境界をより曖昧にさせた。 ・ミミウイルスにくっついて一緒にアメーバに感染するウイルス、ヴァイロファージ ・真核生物の核形成は、DNAウイルス由来である? ・自身の2つの核のうちひとつを、まるでウイルスのように、ほかの紅藻の細胞に注入して寄生する紅藻がいる!

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2015/04/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

○人びとを苦しめ、時には死に追いやってしまうウイルス。ところが、その憎むべきウイルスの新しい姿が見直されつつあります。たとえば、ウイルスが、人間の進化の過程、哺乳類(哺乳類の有胎盤類)の胎盤形成に重要な影響を与えたということが最近になって明らかになってきたというのです。生物とウイルスの共生的な関係にも注目。 ○生物に近いものの生物ではないとされるウイルスについてこう語るのは奇妙なことですが、ウイルスの世界がとても生き生きしているようにみえます。ウイルスが細胞の表面に吸着し、侵入し、自らのコピーを生産する過程をみると、宿主である生物の機能をいかにうまく利用しているかということに驚きます。 ○とくに、不勉強なぼくには素朴な疑問が山積します。ウイルスはどうして細胞の表面に吸着できるのか。どうしてそんなへんてこな侵入方法があるのか(たとえば、バクテリオファージは吸着してから細胞内に自らのDNAを注入するといいますが、このイラストがまた面白いです。ぶちゅ, p. 53)。なにより、生物の細胞を巧みに「利用」するウイルスの話を読めば、ウイルスがどうしてこのような機能を持つに至ったのかということが気になるのは僕だけではないはずです。 ○その答えは、結局のところ仮説でしかなくて解明されておらず、さらには巨大ウイルスという異物(比喩的にいえば、身長が12階建てのオフィスビル並みの人が発見されたというようなもの, p. 168)の存在が明らかになり、ウイルスの謎は深まるばかり。 ○おすすめしたいのは中学生や高校生です。私たちの目に見えないほど小さな世界で、こんな複雑な世界が存在していると知ったら、こんなに楽しいことはないと思います。冗談も混ざっていて面白くもありながら、ウイルスに関する研究の最前線を紹介している欲張りな本だと思います。

Posted byブクログ