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夜の底は柔らかな幻(下) の商品レビュー

3.3

148件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    35

  3. 3つ

    66

  4. 2つ

    18

  5. 1つ

    1

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2024/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最強で最高にグロテスクな作品です。いろいろな意味で。そうとしか言いようがないし、こういうものを書かせたら恩田陸の右に出る人はいないのではないかと思うほど(グロテスクと言ってすぐ思い浮かぶのは乱歩ですが、乱歩の湿度の高いグロテスクさとはまた違う、どこまでも冷えて乾いたグロテスクさ)。恩田作品の暗くて不穏で突き抜けて荒唐無稽な方の側面を最強にしたのがこれ、という感じ。人もガンガン死ぬしエグい描写も容赦なく出てくるので嫌いな人はものすごく嫌いだと思いますがハマる人にはすごくハマると思う。ラスト実邦と葛城がいい雰囲気になるのまで含めて本当にグロテスクです。救いのなさに脳内麻薬出ます。文句なしの傑作。

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2023/06/14

内容はあんまり覚えていなかったけど、上巻の感想が書いてあったし、話もちょっと知っているところもあったので、おそらく再読。 読み終わった感想としては、恩田陸ってこんな感じもあるんだよねー、みたいな。笑 もっとちゃんと終わらせてくれ!って思うけど、この自由度?突き放されてる感もクセに...

内容はあんまり覚えていなかったけど、上巻の感想が書いてあったし、話もちょっと知っているところもあったので、おそらく再読。 読み終わった感想としては、恩田陸ってこんな感じもあるんだよねー、みたいな。笑 もっとちゃんと終わらせてくれ!って思うけど、この自由度?突き放されてる感もクセになる。 おそらく前に読んだ時も、感想書き様がなかったんだと思うw もう文庫も出ているし、じっくり何回も読んだらわかってくるのかな?怖い描写は斜め読みしちゃったので、話わかった上で読み返したら、また発見があるかも? でもとにかく怖かったから、そう何回も読めないかなー。鹿ボールとか、ホントやめて〜 恩田陸さん、クセになりますね。でも次は、チョコレートコスモスとか、分かりやすくて平和なのが読みたい!

Posted byブクログ

2023/02/08

2023.02.07 ★4.6 ↓↓↓内容↓↓↓ 国家権力すら及ばぬ治外法権の地である〈途鎖国〉。ここには在色者と呼ばれる特殊能力を持った者が多く、暗殺者を養成しているとも噂されている。自身も在色者である有元実邦は、警察官という身分を隠し、ある目的を持って途鎖国に密入国を企...

2023.02.07 ★4.6 ↓↓↓内容↓↓↓ 国家権力すら及ばぬ治外法権の地である〈途鎖国〉。ここには在色者と呼ばれる特殊能力を持った者が多く、暗殺者を養成しているとも噂されている。自身も在色者である有元実邦は、警察官という身分を隠し、ある目的を持って途鎖国に密入国を企てる。闇月といわれるこの時期、在色者たちは途鎖に君臨する導師の地位をめぐって殺戮を繰り返し、またある者は密かな目的を持って山深くを目指す。密入国に成功した実邦だが、かつての実邦の婚約者で入国管理官として強権を揮う葛城や、途鎖での同級生だったが何かを隠している黒塚と再会する。さらに実邦の指導者だった屋島風塵、葛城の旧友で快楽殺人者となった青柳淳一など、関係者がいっせいに闇月の山を目指しだす。山の奥にひそむ導師の神山倖秀――実邦の元夫であり、葛城、青柳とともに幼少期を過ごした殺人者――と、途鎖の山奥に隠された〈宝〉をめぐって、彼らの闘いが始まる。

Posted byブクログ

2023/01/22

全てを語りきらず、想像の余地が残るいい終わり方だなと思った。 が、最後は怒涛の展開すぎて半ば、追いつけなくなっていった。以前読んだドミノのような疾走感が面白くもあり難しくもあった。 物語の結末について余地はあるがもう少し、色々と説明が欲しいなと思う部分もあった。

Posted byブクログ

2022/01/17

いつ始まったのかも分からないまま終わってしまったような、この読後感。力技で読ませられました。 『常野物語』の一族が闇堕ちしたらこんな感じでしょうか?屋島はツル先生を彷彿とさせますし、『エンドゲーム』の拝島一家も頭を過ります。 恩田さんの著作は物語同士が共鳴し合って世界観を補完し、...

いつ始まったのかも分からないまま終わってしまったような、この読後感。力技で読ませられました。 『常野物語』の一族が闇堕ちしたらこんな感じでしょうか?屋島はツル先生を彷彿とさせますし、『エンドゲーム』の拝島一家も頭を過ります。 恩田さんの著作は物語同士が共鳴し合って世界観を補完し、より強固にしていると思うので、他の作品を読めば読むほどこの物語も響いてくる気がします。

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2021/08/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

上下巻の感想をまとめて書きます。 私の敬愛する恩田陸先生によるホラーファンタジー(おそらく)。同著者は多彩なジャンルの作品を執筆することでも有名ですが、著作の中ではファンタジーな雰囲気のある作品が特に好みです。「麦の海に沈む果実」「ネクロポリス」など浮世離れした世界観に没入していく感覚が何より心地よい。 本作「夜の底は柔らかな幻」について言及すれば、読了後の第一声は「なんじゃこりゃ」でした。 冒頭から世界観の説明はほとんど無し。イロと呼ばれる超能力や途鎖国、ソク、ウラなど独自設定が当然のように飛び交い、読み進めることでわずかずつイメージが掴めていく。その感覚は他作にも共通し好奇心を掻き立てられる。同時に正体を掴めないもどかしさがページを捲る手を止めさせない。 文体も著者の中ではかなり軽いように感じ、読みやすいため次々にページが進む。そして登場人物たちの関係が少しずつ明らかとなり、話が繋がり始める。異なる思惑を胸に秘めたキャラクターたちが、最後はひとつの目的地に収束し結末を迎える展開は、王道かつクライマックスにふさわしいと感じます。 しかし結果、爽やかな読後感も尾を引くようなノスタルジーも残りませんでした。内容的にも文章的にもライトノベルかライト文芸を読んだ気分です。ラストを曖昧なまま余韻を残す手法は他作とも共通していますが、本作では印象深い余韻が引くことはありませんでした。残念ながら恩田先生の他作品と比べて満足度の高いものではありません。失礼なこととは重々承知ですが、これが初めて読む恩田作品でなくて良かったと思います…。 おそらく私の読解力不足なのでしょうが、「麦の海に沈む果実」「ネクロポリス」「夜のピクニック」で感じられたような、見たことのない世界、すでに通り過ぎてしまった時代のはずなのに、どこか既視感・懐かしさを感じさせるような哀愁は無く。また「蜜蜂と遠雷」「チョコレートコスモス」にて感じた、五感が刺激され色や音が伝わってくるような文章は鳴りを潜め。そして「ユージニア」「六番目の小夜子」のようなひっそりと歩み寄ってくる恐怖は生じることなく。 速筆家でも知られる恩田先生なので、もちろん全作品が面白いと感じるとは限りません。だからこそ作品をひとつずつ読み進め、私にぴしゃりと当たる本と出会えたときは心から震えます。なので今回抱いた期待は次の作品に持ち越しということで。 非常に上から目線で失礼極まりない感想で申し訳ありませんでした。個人の感想ですので、誰も参考になさらぬよう。

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2020/12/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

みんなさまざまな思いで、山に集まる。 圧倒的な在色者3人の過去の真実にぞくぞくした。 その3人や第三世代の少年、先生、黒塚など、化け物ばかりで、有元の存在がかすむと思っていたら、めっちゃ強いのには、驚いた。

Posted byブクログ

2020/02/15

『仔鹿が浮かんでいる。』、上巻から続く恩田さんのファンタジー世界。上巻で山のように出てきた意味不明な名詞たち。その幾つかの意味が少しづつ明らかになっていきます。 でも名詞の意味は明らかになってもこの奇妙な世界はどんどん不思議さを増して行くばかりです。『吊り橋が笑っている。彼をあ...

『仔鹿が浮かんでいる。』、上巻から続く恩田さんのファンタジー世界。上巻で山のように出てきた意味不明な名詞たち。その幾つかの意味が少しづつ明らかになっていきます。 でも名詞の意味は明らかになってもこの奇妙な世界はどんどん不思議さを増して行くばかりです。『吊り橋が笑っている。彼をあざ笑うかのように、橋は笑い続ける。ぎしっぎしイ/ぎしっひいひいひい。』グロテスクなおぞましい情景も登場して作品はホラーの雰囲気も纏っていきます。あまりの突き抜けっぷりに感動する一方で、これ、最後に纏められるのだろうかという一抹の不安。そしてどんどんスピードが上がる。残りのページ数ヤバシ。放り出される…強烈なデジャ・ビュが頭をよぎります。 そんな中、『いったい、この力はどこまで行くのか。どこまで行けば極限なのか。誰が最強なのか。』、『出てきてしまう。あたしの中の/リミッターが外れる/制御不能』、そもそもの謎な主人公・実邦が『覚醒』する瞬間。上巻に引き続き激しい生身の戦闘シーンが繰り広げられ、上巻よりもさらに読者に要求される想像力のレベルが引き上げられます。物凄い表現の数々。凄いなぁこれ、と思いつつも一方でついて行けなくなっている自分にも気づきます。 そして、その時、物語の終わりも唐突にやってきます。振り落とされまいとしがみついていたのに、気づいたら路上に佇み、恩田さんの遠くなった後ろ姿を茫然と見送るしかない結末。『理解したいという欲望は、不幸だな。人は理解していなくても暮らしていける。幸福でいられる。何も知らないことを幸福と呼ぶのであれば。』 なんだろうこの作品。なんだろうこの虚無感。恩田さんの作品の中でもここまでの振り落とし、突き放され感は経験がなく、気持ちの持って行き場がない自分がここにいます。 でも落ち着いて思い返すとこの不思議な世界に、生身の戦闘シーンに、想像力をめいっぱい働かせた時間がありました。そう、エンディングだけが読書じゃない。途中の世界観を楽しむ読書のススメ。そういう意味ではとても恩田さんらしい作品だったと思いました。

Posted byブクログ

2019/12/12

上巻で出そろった登場人物たちが 山奥へ、「ソク」の元へと向かう 殺戮に巻き込まれながら 終結したその場所は・・・ 下巻はさすがのスピード感 ただそのスピードのまま、わけがわからないままのラスト(笑) え・・・ここで終わり?

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2019/07/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ついに特殊能力者たちが一堂に会しぶつかり合う。それなのにページ数が残り少なくなっていて焦る。わけのわからないまま終わってしまうかもという不安がよぎって、その通りになった。 読んでいる最中も、問題が降りかかりすぎてヘトヘトになっていた。 私にとって怖かったのは、人物達よりも「虚像」の方だった。まず自分に打ち勝たなくては他の何にも勝てない。 大いなる力であり抗えない存在、同著『月の裏側』を思い出した。

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